セルフ・ブランディングの時代

2010年5月31日(月) 8:51:22

先週末に「iPad」が発売されたが、それを使った素晴らしいマジックをやっている動画がある。「iPad magic」

これ、やっているのは、実は会社の後輩くん。見て気づいた。
面白いことやってるなぁ。発売に合わせたタイミングも素晴らしい。まだ誰もやってないことを先にやるのがイイ。昨日はまだ2万回弱だったのに、今朝見たらすでに9万回も再生されているし、海外からのコメントも多い。言葉がわからなくても楽しめるしね。

彼、内田伸哉くんは、数年前、確かあれは誰かの結婚式だったと思うが、「スケッチブックからボーリングボールを出す」というマジックをやった。素晴らしいマジックだった。あんな重いボール、どうやって仕込んでいるんだ? そのころ彼はまだ入社数年だったが、数百人いる若手の中でもすぐに名前と顔が一致した。芸は身を助く。一芸持ってるって強いよなぁ。手が長くてマジシャン向きの体型。しゃべりもうまい。

しゃべりがうまいと言えば、彼はこんな本も3月に出した。「年収があがるしゃべり方。」(内田伸哉著/クロスメディア・パブリッシング)
わざわざデスクまで持ってきてくれたが、まだ読めてない(笑)。本をいろいろいただくが、追いつかない。書評を書きたい本もいろいろあるんだけど…。

ま、それはそうと、ホント、これからは「セルフ・ブランディング」の時代だなぁと思う。
自分の売りをどう作り、どうアピールしていくか。組織の人間であろうとなかろうと関係なく、自分の得意分野をきちんと持ってそれを核に世の中に関与・貢献していくことが必要になっていくと思う。ソーシャルメディアの伸長で、組織と個の境目がどんどん崩れていっている。ソーシャル上で「個」としてアピールできるものを持っていることはとても大切だ。組織で肩書きや地位があってもソーシャル上ではほとんど関係ない。

というか、そういうものを持つと、いきなり「世界」と勝負できるのもこの時代。
内田くんの動画が世界から見られているように、「個」でもいきなり世界レベルで戦えるし、彼の元に海外から何かのオファーが来ないとも限らない。大チャンスの時代なのだ。

電子書籍が普及すれば(翻訳が前提とはなるが)、日本語で書かれた本が手軽に世界に流通する時代も来る。
日本のすぐれた小説、絵本、マンガ、実用書、雑誌なども、iPad などで数ドルで買えるようになればあっと言う間に国境を越えるだろう。言葉や出版形態の問題もあって閉ざされてきたコンテンツ業界だが、実は世界で闘えるクオリティを持っていると思うし。

特にマンガなんか、超キラーコンテンツだなぁ。電子書籍で相当マニアックなマンガまで世界に流通するようになると、ハリウッド産業的な規模に化ける可能性だってあるかもしれない。なにしろパイが違いすぎる。

あ、マンガといえば、先週の iPad発売と同じ日、「第14回手塚治虫文化賞」の授賞式があって、友人のヤマザキマリさんの「テルマエ・ロマエ」が見事「短編賞」を受賞した。

彼女の息子さん(日本語とポルトガル語とイタリア語堪能)は大の手塚治虫マニア。お母さんの受賞を一番喜んでいるのは彼だと思うが、どうやら喜びを通り越して「頼むからこれを機にもっと素晴らしい漫画を描いてくれ、そうしないと手塚治虫先生に示しが付かない」と困惑しているらしい(笑)。でも、おめでとう! 本当におめでとう! すぐに英語とイタリア語(ローマが舞台)にセルフ翻訳して、アメリカの iBooks で発売するとイイと思ふ。

佐藤尚之(さとなお)

佐藤尚之

佐藤尚之(さとなお)

コミュニケーション・ディレクター

(株)ツナグ代表。(株)4th代表。
復興庁復興推進参与。一般社団法人「助けあいジャパン」代表理事。
大阪芸術大学客員教授。やってみなはれ佐治敬三賞審査員。
花火師。

1961年東京生まれ。1985年(株)電通入社。コピーライター、CMプランナー、ウェブ・ディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。

現在は広告コミュニケーションの仕事の他に、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。
「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。

本名での著書に「明日の広告」(アスキー新書)、「明日のコミュニケーション」(アスキー新書)、「明日のプランニング」(講談社現代新書)。最新刊は「ファンベース」(ちくま新書)。

“さとなお”の名前で「うまひゃひゃさぬきうどん」(コスモの本、光文社文庫)、「胃袋で感じた沖縄」(コスモの本)、「沖縄やぎ地獄」(角川文庫)、「さとなおの自腹で満足」(コスモの本)、「人生ピロピロ」(角川文庫)、「沖縄上手な旅ごはん」(文藝春秋)、「極楽おいしい二泊三日」(文藝春秋)、「ジバラン」(日経BP社)などの著書がある。

東京出身。東京大森在住。横浜(保土ケ谷)、苦楽園・夙川・芦屋などにも住む。
仕事・講演・執筆などのお問い合わせは、[email protected] まで。

アーカイブ

同カテゴリーの他記事