ad:tech tokyo 終了
2009年9月 4日(金) 7:42:35
2日間に渡った世界最大級の広告カンファレンス「ad:tech tokyo」が無事終了した。@パークタワーホテル。
段取りも内容も楽しさも海外のそれと遜色なく、第1回目としては大成功だったと思う。事務局の方々、そして武富さん、お疲れ様でした。ありがとうございました。
おとといの初日は比較的無難な内容だったけど、2日目の昨日はつっこんだ内容のセッションが多く、とても印象深かったしワクワクしたな。
特に「中村勇吾、伊藤直樹、田中耕一郎、岸勇希」という世界トップのクリエーター4人が揃った会(モデレーターが杉山恒太郎という贅沢さ)は圧巻。過去の事例紹介に終わってしまった部分はあったものの、ad:tech におけるジャパン・プレゼンテーションとしては素晴らしかったと思う。ad:techという国際カンファレンスのキーノート・パネルで日本人のみの登壇というのは珍しいことだと思うけど、このメンバーなら恥ずかしくない。というか誇らしい。知らない人も多いかも知れないが、いまノン・トラディショナルな領域(CMとかグラフィックとかではない領域)においては、日本の広告表現は世界のトップを走っている。この4人はその代表選手。一堂に会するなんて奇跡的だ。
午後からは「Agency Development」系のセミナーを中心に聞いた。わりと印象的だったのは「次世代広告会社への脱却」というセッション。Stephen Cox、Jonny Shaw、Ruth Stubbs、須田和博、渡邊竜介(モデレーター)というメンバーでのもの。最近特によく考えているテーマなだけにいろいろ再確認&整理できて良かったな。ラストの「マーケター・タレントの育成」セッションでのぶっちゃけトークも面白かったけど、ちょっと散漫になってしまったのは残念。
カンファレンス全体に「ソーシャル・メディアが話の前提になっていること」が心地よかった。
たとえば、会場での質問は "当たり前のように" Twitter でも受け付けていたりする。Twitter が使えるのが大前提の世界。海外のカンファレンスでは Twitter で質問を受け付けたり実況があったりも普通のことになってきているようだけど、日本での大規模カンファレンスでは初めてなんじゃないかな。
ボクもよく「コミュニケーション・デザイン演習」みたいな講義をしたりするが(社内だけではなく社外を含めて)、その講義の中で「ブログやってる人、手を挙げて下さい」とか聞いたりすると、たった5%くらいだったりする。「じゃ、Twitterやってる人は?」と聞くとまぁだいたい0.1%くらい。Facebookはゼロ。ミクシイでなんとか10%程度。
まぁそういう現状に毎回毎回ボクは絶句するわけなんだけど、そういう人たちと、当たり前のように使ってる人たちとでは、日々、毎秒ごとに差が開いていることを知るべきだ。ソーシャル・メディアを使いこなせずにこれからのコミュニケーションが出来ると思っているのなら転職した方がよい。ブログやTwitterやSNSで日々発信してつながっている生活者(数千万人)の空気感や肌感がわからなくて、どうやって彼らとコミュニケーションするおつもり? (まだ Twitter をやってない人、ボクのフォローからどうぞ → satonao310)
※「知ってる(使っている)」のと「それを組み込んでコミュニケーションを作れる」のは別だけど、少なくとも「知らないと作れない」。
※※昨日のあるセッションで会場に同じ質問をしたモデレーターがいたけど、ブログは80%、Twitterで60%くらいだった。多くの人が "当然のように" セッションを聞きながらTwitterに実況していた。この現実。
ちなみに、ad:techって参加費が高いので(フル参加パスは10万円くらいする)、自腹での参加はまず無理。どうしても会社からの参加になる場合が多くなる。
その場合、年長社員優先になってしまって「燃えてる若手」が行けなかった場合もあると思うけど(ボクの近くにも参加できなかった「燃えてる若手」がいる)、基本的に ad:tech は「最新事例キャッチアップ」なのでご心配なく。勉強熱心の若手には目新しい内容ではない(あなたが内外の最新書籍やブログ、セミナーなどを日々追っかけているならば)。
ただ、普段から内外の最新書籍やブログ、セミナーなども追いかけておらず、「自分の感性」で仕事しちゃっている人の場合、今回行かなかったことでものすごく大きな差がついてしまったかも。もともと差がついているのに、それがすごい勢いで離れて行っている感じ。この差はね、ちょっとやそっとでは埋められない。アナタが埋めようとがんばっても相手もそれ以上にすごい勢いで進んでいるから。
ちょっと言葉にしにくいくらい、広告業界は大きく変化していっている。
表面的なものでも、時代の気まぐれでも、一部の先端だけの話でもなく、根本的に徹底的に変化していっている。それにまだ(まだ!)目をつぶって気がつかないフリしている人が多いことに怒りすら覚える。特にトラディショナル・エージェンシーの一部の人たち。優秀だし大好きな人が多いからこそ言う。寝るな。目を覚ませ。凍死するぞ。