【東京2020 国際都市への挑戦】(5)
年明けから始まる東京オリンピックの開催準備で、資材価格高騰とともに最も懸念されるのが建設産業の施工能力不足だ。東日本大震災の被災地でも高台造成工事が進み、来年度からは住宅や公共施設などの建設が本格化する。
「どちらも絶対に遅らせるわけにはいかない」(国土交通省幹部)工事だけに、政府は来年度にも、外国人技能労働者の規制緩和や工事発注方式の見直しなどの緊急対策に乗り出す方針を固めた。果たして施工能力不足を解決できるのか。
「地域の職人が札幌へ、札幌に集まった職人は東北の被災地や東京へと玉突きで動いている。職人を確保できずに公共工事に応札できない地場ゼネコンも出てきている。工事があるのに受注できずに倒産する建設業者が出てくるのではないか」
公共事業への依存度が高い札幌市の設計事務所社長がそう嘆く。冬場になって雪国では除雪の仕事も増えるが、東京に出て戻らない職人も増えるとみている。