【視点】ユダヤ難民を厚遇した日本 “金融先物の父”の思い (2/3ページ)

2015.11.10 05:00

 この前年、39年12月の5相会議(首相、外相、蔵相、陸相、海相)で「猶太(ユダヤ)人対策要綱」が決定、ユダヤ人差別は日本が戦ってきた人種平等の精神に反するので、平等に扱うべしとの方針が定められた。

 2年前の38年には、旧満洲ハルビン特務機関長の樋口季一郎少将がソ連領オトポールでシベリア鉄道で逃れながら吹雪で立ち往生したユダヤ人2万人を救出している。ドイツから抗議を受けながら一蹴し、逆に樋口を栄転させた。同じ頃、海軍の犬塚惟重大佐も上海の日本海軍警備地区にユダヤ難民収容施設を作り、世界で唯一、ビザのないユダヤ難民も受け入れ、1万8000人を収容した。

 ウラジオストクから敦賀までの船は、日本郵船の天草丸だった。難民の輸送は、全米ユダヤ人協会から依頼を受けたジャパン・トラベル・ビュロー(現JTB)が反ユダヤ政策をとるドイツやソ連ににらまれるリスクを承知で人道的見地から引き受けた。

 シベリア鉄道でソ連の秘密警察から貴金属や金目のものを奪われたユダヤ人難民は、敦賀に到着した際、所持金などはほとんど持っていなかった。見かねた敦賀市民は、リンゴなどの食糧を提供し、銭湯を開放して温かく接した。

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