大津市、過疎地で自動運転車の実証実験

大津市内の自動運転の実証実験で使用する自動車。ルーフパネルにレーダーを取り付け、周囲の状況を認識する(大津市提供)
大津市内の自動運転の実証実験で使用する自動車。ルーフパネルにレーダーを取り付け、周囲の状況を認識する(大津市提供)【拡大】

 国土交通省や滋賀県、大津市などでつくる「自動運転サービス地域実験協議会」は4日、大津市役所で第1回会合を開き、同市和邇(わに)中の道の駅「妹子(いもこ)の郷(さと)」を拠点とした自動運転サービスの導入に向け、来年3月ごろに1週間の日程で、JR和邇駅と葛川支所(同市葛川坊村町)までの約18キロの区間で自動運転車の実証実験を行うことを決定した。

 実証実験は「特定条件下における完全自動運転」となるレベル4を想定し、ワゴンタイプの自動運転車を使用して行う予定。トンネルなどGPS(位置情報システム)が捕捉できない区間は運転手が運転する。

 山間部に位置する葛川学区は平成29年10月時点で人口251人、60歳以上の割合が61・3%と高齢化が進み、交通の手段の確保が大きな課題となっている。

 国交省は高齢化が進行する中山間地域における人流・物流の確保のため、道の駅など地域の拠点を核とする自動運転サービスの導入に向けた実証実験を29年9月から全国で開始。同市は自動運転サービスのビジネスモデルを検討する地域に選定され、住民らの需要調査などを進めていた。

 実証実験を行う区間は県道311号と国道367号など約18・2キロだが、山間部に位置する国道367号は勾配や急カーブに加え、12月下旬~3月上旬は積雪もあり、速度制限や路面の凍結など自動運転車の走行には課題も多い。

 会合に参加した葛川学区自治連合会の中西克己会長(75)は「通学や年配者の通院などの負担が解消されることになるなら、期待は大きい」と話した。

 これとは別に、市単独で葛川支所周辺の郵便局や診療所を回る約1キロでカートタイプの自動運転車を使用した実証実験を実施する予定。業者らと自動運転用の地図の作成などを進めたうえで今年度中に実証実験を行い、報告書を発表する。