星野リゾートの主な旅館・ホテル【拡大】
星野リゾート(長野県軽井沢町)の拡大が止まらない。経営不振に陥った旅館を次々と傘下に収め、「おもてなし」を尽くした高級リゾートとしてよみがえらせる手法などにより、国内で34カ所の施設を運営するに至った。今後も国内外で積極展開する計画だ。7月には自社物件を組み込んだ不動産投資信託を東京証券取引所に上場。「日本の観光をやばくする」と鼻息が荒い星野佳路社長だが、一方で急速な成長の盲点も指摘され始めた。
初の旅館ファンド
「スタッフがきちんと動いていて、料理も温泉も楽しめた」。米カンザス州から初来日し、星野リゾートの温泉旅館「界 熱海」(静岡県熱海市)に泊まった退役軍人のリチャード・センフテンさん(68)と妻のペニーさん(60)は話す。
「界 熱海」は約160年の歴史を持つ老舗旅館を改装、昨年9月にオープンした。外国人観光客の誘致に力を入れており、地元の熱海芸妓(げいこ)の舞を紹介するほか、Wi-Fi(ワイファイ)を無料で全室に設置し、洋食にも対応。並行して英語サイトでの情報発信を行い、10月には国際学術団体の招聘(しょうへい)に成功した。いまや宿泊客の1割が外国人だ。