静岡県立静岡がんセンター(静岡県長泉町)と静岡県産業振興財団ファルマバレーセンター(同)は、手洗いを頻繁に行う看護師からの意見を取り入れたハンドクリームを開発し、試作品を完成させた。院内感染予防に手荒れ対策が重要として開発をすすめた。静岡がんセンターは患者や医療現場の問題解決につながる商品開発を推進しており、今回のハンドクリームもこの秋に製品化される。
開発した「看護師さんのハンドクリーム」は、保湿効果を高めるため、天然型セラミドを配合。使用直後に手袋をはめても違和感がないよう、使用感を工夫した。
静岡がんセンターの名物でもあるバラ園の花300種の香り成分を調査。看護師約300人の意見から、バラ科のハマナスから採取した香りを高砂香料工業が再現した香料を用いた。強い香りを嫌う患者に配慮し、香りが長く残らないようにした。
肌荒れした部位は雑菌がたまりやすく、院内感染の原因とも言われ、医療従事者の手荒れ対策は重要とされる。また、バラの香気を医療分野に生かすため、高砂香料などと共同研究を進めていたことからハンドクリームへの採用を決めた。
静岡がんセンターは医療・健康産業の集積を目指す「ファルマバレープロジェクト」の中核として、医療現場に必要な患者ケア商品や医療器具のアイデアを集め、ファルマバレーセンター経由で企業連携を進めている。
2007年には、がん治療による口腔合併症の軽減などを目的に、サンスターなどと共同開発した歯ブラシや歯磨き粉などを商品化した。