今月初めにイスラエルから複数の友人がやってきた。いずれも目的は、シリア情勢、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)の今後について、筆者と意見交換をすることだった。そのうち、表に名前を出すことができるのは、テルアビブ郊外のヘルツェリアにあるテロ対策センター(ICT)の所長を務めるボアズ・ガノル教授だけだ。
「3日にロシアのサンクトペテルブルクで発生して14人の死者を出した事件の性格をどう分析するか」という筆者の質問に対する、ガノル教授の回答が秀逸だった。ガノル教授は、イスラム過激派によるテロには3つの形があるという。
第1が、「一匹狼(おおかみ)」型のテロだ。インターネットを通じてテロの決心をする事例が多いが、こういう人は他人と共謀して行うことがないので、摘発が難しい。例えば、2016年7月14日にフランスのニースで、同年12月19日にドイツのベルリンでトラックを暴走させて行ったテロがこれに該当する。
第2は、兄弟もしくは夫婦などの近親者によるテロだ。この場合、テロ計画についての打ち合わせは行われるが、電話や電子メールを用いることがないので、事前の摘発は難しい。2015年12月2日、米国カリフォルニア州サンバーナディーノで起きた夫婦による銃乱射テロがその例だ。第1、第2の例については、組織的な背景がない。使用される武器もナイフ、斧(おの)、自動車、また銃の保持が自由な米国のような国においては猟銃、拳銃、自動小銃などが用いられることになる。