靖国爆発

「軍国主義の象徴」への犯罪に揺れた韓国「身柄引き渡しの外交摩擦を回避」

事件現場となった公衆トイレは今も規制されたままだ=9日、東京都千代田区の靖国神社(早坂洋祐撮影)   
事件現場となった公衆トイレは今も規制されたままだ=9日、東京都千代田区の靖国神社(早坂洋祐撮影)   

 【ソウル=名村隆寛】靖国神社で爆発音がして不審物が見つかった事件で韓国人の全昶漢(チョン・チャンハン)容疑者(27)が9日、警視庁に逮捕されたことについて、韓国メディアは同日、日本メディアの報道を引用して一斉に伝えた。聯合ニュースによると、韓国外務省は「日本側の取り調べの結果を注視し、協力していく」としている。

 韓国世論が「軍国主義の象徴」として嫌悪する靖国神社で起きた事件は、韓国でも発生当初から注目された。容疑者に韓国人が浮上した時点で、韓国政府は日本在住の韓国人や訪日する者に対し、靖国神社に近づかないように「注意喚起」までしていた。

 一方で、韓国の国民が事件を起こしたことで、対日関係で新たな火種を抱えることへの懸念も浮上。「軍国主義の象徴だとしても公共施設の爆破を試みたことは許されない」(朝鮮日報社説)との意見も出た。

 過去には2011年、靖国神社の門に放火して韓国に渡った中国人をめぐる日本からの身柄引き渡し要求に対し、韓国は「政治犯」としたソウル高裁の判断に従い引き渡しを拒否、日韓の摩擦が強まったあしき前例がある。韓国側は、まさにこの身柄引き渡し問題の再燃を警戒していた。

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