【ロンドン=内藤泰朗】英国を訪問している中国の習近平国家主席は21日、ロンドン中心の首相官邸でキャメロン首相と会談した。会談後の共同記者会見で両首脳は、金融や原子力発電などの分野で、経済関係を「新たな水準に高めていく」ことで合意したことを明らかにした。一方、記者会見で中国の人権問題について質問されたキャメロン氏は、「人権を話すには経済関係の発展が重要だ」と語り、習氏は「世界の人権問題は改善の余地がある」と述べるにとどまった。
ロイター通信は21日、中国企業CGNが同日、フランスのエネルギー企業EDFが主導する南西部ヒンクリー・ポイントの原発建設に60億ポンド(約1兆1千億円)を出資し、事業の33・5%の株式を取得することで合意したと伝えた。ロイターによると、EDFは同日、建設が予定されている3つ目の原発については、中国製の原発建設を後押しすることで合意した。
中国は英国での建設を実現させ、原発の輸出に弾みをつけたい考えだ。ヒンクリー・ポイントの原発は2025年に完成の予定。また、キャメロン氏は中国以外で世界初となる人民元建て国債の発行をロンドンで始めることでも合意したと述べた。
英BBC放送によると、英中両国は習氏の訪英期間中に、「過去最大の対英投資」(BBC)である原発を含め、日本と競合する新高速鉄道(HS2)建設への中国企業の参入など、総額300億ポンド相当の経済協力文書に調印する予定だ。