【ベルリン=宮下日出男】北大西洋条約機構(NATO)は28日、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」などのテロの脅威を受けるトルコ情勢をめぐり、ブリュッセルで緊急の大使級理事会を開き、テロを批判するとともに、空爆に踏み切ったトルコへの「強い連帯」を示す声明を発表した。トルコが米国と進めるシリア北部での「安全地帯」設置構想も歓迎した。
理事会はイスラム国などによるテロを受けたトルコが北大西洋条約4条に基づき要請した。同条は加盟国が安全などを脅かされた場合、NATO全体で協議できると規定している。この規定の適用はNATO創設以降、5度目となる。
トルコはシリア北部のイスラム国、イラク北部の武装組織「クルド労働者党」(PKK)に対する「二正面作戦」を展開中で、理事会でも説明した。だが、NATOストルテンベルグ事務総長は理事会後の記者会見で、トルコから軍事支援の要請はなかったと明らかにした。
AP通信などによると、トルコと米国は28日までに、シリア北部のトルコ国境沿い約100キロにわたり安全地帯を設ける計画で大筋合意。ストルテンベルグ氏は「イスラム国との戦いのための一段の努力であり、歓迎する」と述べた。