煮炊きのほか、お好み焼きの具材に用いるなど関西人にもなじみ深いスルメイカが今シーズン、異常な高騰を見せている。市場関係者によると、卸値が前年の3倍以上になることもあるという。海水温の変化に伴い太平洋側を回遊するイカが極端に少なくなっているのが要因とみられるが、不漁は2季連続。「このままではイカが一般家庭の食卓に並ばなくなるのではないか…」。関係者らは憂慮している。
「とても買えない」
連日、買い付け業者や観光客でにぎわう大阪木津卸売市場(大阪市浪速区)でもイカの品薄と高値が続く。市場内の鮮魚卸「関西共栄」によると、スルメイカは例年ならば、年中取り扱いがあるが、店先に並ばないこともあるという。
卸値も例年100円程度だが、昨年秋ごろから高騰し、今は300円ほど。品薄で冷凍のイカも倍程度の値段になっている。店主の田中智博さん(57)は「600円する場合もあるが、(この値段では)とても売れないから仕入れらなれない」とこぼす。
イカは本来、安価で幅広い料理に使える便利な食材。市場に買い物に来ていた同市住吉区の主婦、北野千賀子さん(67)も「この値段では、いつものことを思うとなかなか手が出ない」とため息を漏らす。
水揚げ量は半減
高騰の要因は、国内のイカ漁獲量の大半を占めるスルメイカの不漁にある。
スルメイカは夏から翌年2月ごろまでが漁期とされるが、漁業情報サービスセンター(東京)によると、昨年の主要港水揚げ量は計3万5555トン。前年と比べて半減し、1キロあたりの平均卸売価格は前年の1・8倍の514円と高額になっている。