全盲の生徒に「時計を見なさい」と言い放ち、足に障害のある生徒を立たせて実習させる-。大阪市立特別支援学校の女性教諭が不適切な言動を繰り返し、指導や研修後も改善されなかったとして、市教育委員会は7月11日、「公務員の適格性を欠く」として解雇にあたる分限免職処分とした。市教委による分限免職は6人目。「能力不足」の公務員を免職などにできる分限処分の法規定は以前からあるが、公務員の厚い身分保障ルールのもと、能力が明らかに低い状況でも免職に至るケースは極めて少ない。こうした甘い対応が〝公務員天国〟を生んできた側面は強い。
「指導が不適切」保護者から意見書
「経験はあるはずだったのだが…」。大阪市教委の担当者は冒頭の女性について困惑しながら語った。
市教委によると、女性は他都市で特別支援学校への勤務経験もあり、数年前に採用。だが昨年1月、保護者や地域住民が参加する学校協議会から校長に「指導が不適切ではないか」との意見書が出された。
女性が全盲の生徒に「時計を見なさい」と発言したり、足が不自由な生徒を実習で立たせたりしたほか、右手にまひがある生徒に左手で熱い急須を、右手でそのふたを持たせて、生徒が「こわい、熱い」と言うのもかまわずにやらせるなどしたケースが報告されたという。
学校側は以前から女性への指導を行っていたが、改善が見られないとして市教委に申請。市教委は同6月、「指導が不適切である教員」と認定した。
1年間の改善研修も「自分に課題はない」
女性は「不適格」の烙印(らくいん)を押された形だが、それだけでただちに処分はされないのが公務員だ。