これまでイネを食害する害獣と見なされてきた日本最小のネズミ「カヤネズミ」がイネをほとんど食べないことが、滋賀県立大環境科学部非常勤講師の畠佐代子さんらの調査で分かった。カヤネズミは、近年生息地の減少によって全国的に絶滅が危惧(きぐ)されており、畠さんらは「巣を見つけても殺さないでほしい」と呼びかけている。
カヤネズミは、体長約6センチ、体重7~8グラムの日本で一番小さなネズミ。主に草むらに住み、イネ科の植物で巣を作るため、イネ科の植物の総称「茅(かや)」からその名が付けられた。全国的な環境の変化によって減少傾向にあり、滋賀県では「希少種」に指定されている。
しかし、田んぼのイネにも巣を作ることから、農家にイネを食害する害獣と見なされて捕殺されることもあるという。
一方で、カヤネズミは夜行性で食事の行動を観察することが難しいため、これまでくわしい調査が行われてこなかった。そこで長年カヤネズミを研究テーマとしてきた畠さんが同大の高倉耕一准教授の協力を得て食性を調査した。