「別室で8時間も反省文」自殺高1男子の遺族が大阪府を提訴

 大阪府立東住吉総合高校で昨年5月、同級生とトラブルになった1年の男子生徒=当時(16)=が下校途中に踏切で自殺したのは、学校側が指導として約8時間も反省文を書かせ、一方的に停学処分を決めたためだとして、男子生徒の祖父と母親が府に計約7700万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしたことが18日、分かった。第1回口頭弁論が同日、地裁(金地香枝裁判長)であり、府側は請求棄却を求めた。

 訴状によると、生徒は昨年5月15日午前の英語の授業中、席を立って雑談している同級生を注意した。しかし同級生は応じず、威圧的に向かってきたため思わず平手打ちしたところ、胸ぐらをつかまれ押し倒されるなどトラブルになった。

 教諭らは同日午前10時ごろから、生徒を3畳ほどの別室に連れて行き、反省文を書くよう指導。教諭が入れ替わりで監視し、午後6時ごろに「相手をうっとうしく感じた」との数行の文章を書くまで下校させなかった。その間に学校は停学5日の処分を決定。生徒は帰り道で南海電鉄高野線の踏切に入り、電車にはねられ死亡した。

 原告側は「学級崩壊のような状態を見かねて注意したのに、反論や弁解の余地を与えられなかった」と主張。「指導とは呼べない行為で、人格を否定されたことが自殺の原因だ」と訴えている。

 訴訟で府側は、別室で約8時間にわたり指導したことは認めたが、「反省文をなかなか書かなかったためで、監禁という状況ではない」などと反論した。

会員限定記事

会員サービス詳細