銀幕裏の声

終戦の葛藤に迫る「日本のいちばん長い日」 政界・軍部重鎮が一堂に会した「座談会」秘話

【銀幕裏の声】終戦の葛藤に迫る「日本のいちばん長い日」 政界・軍部重鎮が一堂に会した「座談会」秘話
【銀幕裏の声】終戦の葛藤に迫る「日本のいちばん長い日」 政界・軍部重鎮が一堂に会した「座談会」秘話
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 戦後70年目の夏を迎えた。8月8日、全国一斉に封切られる大作「日本のいちばん長い日」は昭和20年8月15日、日本が国際社会の中でどうやって終戦を迎えたのかを克明に描いたヒューマンドラマである。42年に映画化された岡本喜八監督版では三船敏郎、笠智衆、松本幸四郎(八代目)ら当時の大物俳優を配役。今回の原田眞人監督版も役所広司、山崎努、本木雅弘、松坂桃李らオールスターキャストで挑んでいる。わけあって1作目の原作者名は大宅壮一さんとなっているが、実は両作とも半藤一利さんの原作だ。当時、文芸春秋の編集者だった半藤さんが企画し、司会を務めた座談会から、この2本の映画は生まれた。(戸津井康之)

半藤氏の執念が実現させた驚愕の座談会

 昭和38年6月、東京・築地の料亭で、ある座談会が開かれた。出席したメンバーの顔ぶれを見て驚かない者はいないだろう。

 元内閣書記官長の迫水久常、元陸軍大将の今村均、阿南惟幾陸軍大臣の部下で元陸軍大佐の荒尾興功、鈴木貫太郎首相の元秘書官、鈴木一ら、終戦時、日本の政界、軍部などの中枢にいた主要人物たちが戦後18年を経て一堂に会したのだ。

 座談会を企画し、司会を務めたのは当時、33歳だった文芸春秋の編集者、半藤さん。この座談会の一部始終を描いた映画が平成22年に公開されている。

 タイトルは「日本のいちばん長い日」ならぬ、「日本のいちばん長い夏」。原作は半藤さん。公開直前、東京都内の半藤さんの自宅で当時の苦労話を聞いた。

 「築地の料亭にこれだけのメンバーがよく集まったですね。座談会は5時間以上に及びました。長かった…」。半藤さんは当時を思い出すようにこう振り返り、話し始めた。

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