東シナ海の日中中間線付近で中国が一方的に進めるガス田開発で、新たに掘削施設1基が確認されたことが31日、分かった。中国側が建造したものとみられ、17基目となる。中国側が開発の既成事実化を進める中、軍事転用の恐れもあり、日本政府の厳しい姿勢が求められる。
海上保安庁が10月28日に出した緊急安全情報「航行警報」によると、新施設が見つかったのは東シナ海の北緯29度45・4分、東経125度45・3分付近。日中中間線の中国側にある。
同庁は外部からの通報で新たな施設を確認。詳しい経緯については「今後の情報収集に支障をきたす」として明らかにしていない。施設の詳細や設置者は「把握していない」という。
日本政府は昨年7月、東シナ海中部の日中中間線付近で確認された海洋プラットホームは計16基になったと公表していた。新施設は、この海域の北東に位置する。日本側の海底資源が奪われたり、軍事用レーダーを設置されたりする危険性がある。
日中両政府は平成20年に東シナ海のガス田共同開発を合意したが、中国側が無視する形で開発を継続している。日本政府は抗議しているが、10月上旬には16基のうち、新たに2基で天然ガス開発を示す炎が確認されていた。
新施設について元自衛艦隊司令官、香田洋二氏は「事実だとすれば、相当の確率で中国のものだろう。中国は合意を自分に有利に解釈し、『火事場泥棒』をしている」と指摘。東海大の山田吉彦教授は「軍事利用も視野に入れ、今後も施設を造り続けるだろう。日本政府は中国政府に、合意内容を確認すべきだ」と話した。