【シンガポール=吉村英輝】ベトナムが南シナ海のスプラトリー(中国名・南沙)諸島に移動式のロケット弾発射装置をひそかに設置したことが10日、分かった。ロイター通信が複数の欧米の当局者の話として伝えた。ロケット弾は中国が軍事拠点化を進めている同諸島の人工島を射程に収めるとされ、中国の反発で緊張が高まる恐れがある。
ロケット弾発射装置は、ベトナムがイスラエルから調達した最新鋭のEXTRAロケット弾発射システム(最大射程150キロ)とみられ、数カ月前にベトナム本土から同国が実効支配する岩礁など5カ所の拠点に船で移送された。数日中に稼働を開始できるという。
ロケット弾は重さ150キロの高性能爆薬やクラスター爆弾を搭載でき、発射装置の機動性も高いため、敵の上陸作戦にも効果的に対処できる。現在の配備地点からは、中国が滑走路などを建設したミスチーフ(美済)礁、スービ(渚碧)礁、ファイアリークロス(永暑)礁が射程に入る。