JR九州が来年3月のダイヤ改正で九州7県を走る在来線全路線の運行本数を削減すると発表したことを受け、路線がある自治体は18日、相次いでJR側に計画の見直しを要請した。宮崎県と県内の沿線市町は「減便や特急のワンマン運転区間の拡大によって、利便性や安全性が低下する懸念が広がっている」と、計画中止を求める要請書をJR側に提出した。
宮崎県の日隈俊郎総合政策部長は要請後「減便の代替措置が示されておらず、ワンマン化も時期尚早だ。利用客の足をしっかりと守る必要がある」と強調した。延岡市の首藤正治市長も「住民生活を直撃する。鉄道で市民生活を支えることをおろそかにすれば、JRの存在意義に関わる」と訴えた。
日豊線津久見駅がある大分県津久見市の川野幸男市長もこの日、JR九州大分支社を訪れ、減便に反対する意向を伝えた。効率化を優先した減便ではなく、利用者が増加する取り組みを進めるよう文書で要望。川野氏は「市民の利便性が大きく低下するため、容認は難しい」と述べた。
特急の本数削減などが予定される佐賀県も要請書を提出した。JR九州の青柳俊彦社長に宛てた文書で山口祥義知事は「地域活性化を図る上で非常に厳しい」と強調した。昨年8月にJR九州と結んだ協定にも触れ「影響を与えるものであると極めて憂慮している」とした。
また大分市議会の野尻哲雄議長らは18日、福岡市のJR九州本社を訪れ、来年春に大分市内のJR日豊線と豊肥線の計8駅を無人化する計画に反対し、有人駅として維持するよう求める要望書を提出した。
市議会がまとめた文書は「(駅の無人化による)市民の不安は払拭されていない。安全性や利便性の低下が懸念される」と指摘し、現状を維持するよう求めている。野尻氏は要望後、記者団に「通勤通学の時間帯だけでも人員を配置するなど、JR九州には前向きな対応をお願いしたい」と述べた。