■会員90人→960人
京阪電気鉄道の大津線(石山坂本線と京津線)沿線住民らでつくる「大津の京阪電車を愛する会」が、16日で設立から10年を迎える。乗降客の伸び悩みから一時は存続も危ぶまれた同線だが、会員らによるイベント活動などが奏功し、客数は徐々に回復。現在は廃線の危機を乗り越えた。15日には、記念フェスティバルも予定しており、同会が参加者を募集している。
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京阪大津線は、浜大津駅を拠点に大津市の市街地を縦断。一部の駅でJR東海道線やJR湖西線に接続するなど利便性もよく、沿線住民らの貴重な公共交通機関として利用されてきた。しかし、自動車の普及などで乗降客数は徐々に減少。平成7年度には約14万5000人いた1日当たりの乗降客数は、17年度には約7万7000人まで減少。経営を京阪電鉄本体から分離し、独立採算制をとる分社化も検討された。
「分社化になると、赤字に耐えられなくなり、存続が危うくなる」
こうした危機感から、市自治連合会や大津商工会議所などが集まって17年11月16日、「大津の京阪電車を愛する会」を設立。1口2000円の年会費で、170円区間の乗車券6枚と、沿線の飲食店や寺社などを割引利用できる会員証をセットで発行したり、1日小学生駅長やジャズ電車、落語電車など数多くのイベントを行ったりすることで、京阪電車に触れ合える機会をつくり、住民の利用促進を図ってきた。
その甲斐あってか、発起人約90人でスタートした同会は、沿線住民らの加入によって現在は10倍以上の約960人まで増加。1日あたりの乗降客数も、約8万1000人まで回復した。京阪電鉄大津鉄道部は「現在は大津線の分社化は検討していない」としている。
10周年を記念して、同会は15日、びわ湖大津館(同市柳が崎)で記念フェスティバルを開催する。10周年記念式典のほか、芝生の上でのミニ京阪電車乗車会や電車模型の走行会、「アニメソングの貴公子」喜多修平さんのライブなどを予定している。問い合わせは同会事務局(電)077・528・2736。