野良猫に関する苦情が後を絶たないことを受け、県は、野良猫への餌やりを原則禁止することを盛り込んだ県動物愛護管理条例を改正する方針を明らかにした。都道府県では初めてで、猫の殺処分数ゼロを目指すとしている。
県食品・生活衛生課によると、平成25年度の県内の猫殺処分数は2521匹で減少傾向にはあるが、人口10万人あたりでは257・5匹と全国で4番目に多い。
背景には、無秩序な餌やりなどが野良猫の増加につながるといい、対策として具体的なルールを条例に盛り込むことにした。
条例改正案では、生後91日以上の飼い猫の所有者は名札などで所有者を明示し、なるべく屋内で飼うよう求める。また、他人の土地などにしたふんについても、適切に処理するよう条例で定める。
一方、特定の所有者がいない猫のうち地域で面倒を見る場合は、周辺住民や自治会などが不妊去勢手術やトイレの設置、排泄(はいせつ)物の片付けを義務づける。こうした対策がなされた猫を「地域猫」とし、野良猫と区別。そのうえで、地域猫以外の野良猫への餌やりを原則禁止とする。
同課は、条例違反者のなかで勧告や命令に従わない場合は、過料も検討しているという。
仁坂吉伸知事は4日の会見で「動物の命を人間が一方的に増やしたり殺したりするのは良くない。一定のルールを設けて、猫と人間の共生を理想としたい」と説明した。県は9月7日まで県民の意見を募集している。