静岡県、相模トラフ大地震の新想定発表 熱海・伊東両市、ハザードマップ更新へ

 県は30日、相模トラフ沿いで大地震が発生した場合の津波の高さについての新たな想定を発表。マグニチュード(M)8・7クラスの地震が発生した場合、熱海市で最大18メートル、伊東市で最大17メートルなど、伊豆半島東部の一部では第4次地震被害想定を上回る大津波が襲来すると予測した。新想定を受け、両市ではハザードマップの更新を行うなど津波対策を改定する方針だ。

 新想定は、平成25年に県が発表した4次想定を補足するため、同年に国が初めて発表した相模トラフ沿い地震についての断層の位置やずれなどの「津波断層モデル」を基に、県が算出した。4次想定では、県独自の断層モデルなどに基づいて、相模トラフ、南海トラフ沿いの地震による津波高や震度分布などが算出されている。

 今回発表された想定は、関東大震災(M8・2)クラスの200~400年に1度発生するL1の地震が起きた場合と、元禄地震(M8・5)や想定される最大クラス(M8・7)の2、3千年に1度発生するL2の地震が起きた場合の地震規模別に3パターン。いずれの場合も4次想定よりも県内各地の震度は弱くなると見込んでいる。

 しかし、津波については、M8・7クラスの場合、4次想定による南海トラフの巨大地震発生時の津波予測を、熱海市で最大13メートル、伊東市でも最大7メートル上回る巨大津波が予測されている。M8・2、M8・5の場合も、4次想定による相模トラフ地震発生時の津波予測を熱海から南伊豆町にかけての地域で最大3メートル程度上回ると推定された。

 こうした伊豆半島東部地域の想定津波高の更新を受け、県交通基盤部も30日、伊豆半島東部各港で津波対策として十分に機能する堤防の高さを発表。熱海市の初島港で2・5メートル、下田市の外浦港で2メートルなど9港で堤防のかさ上げが必要としている。新想定を受け、岩田孝仁危機管理監は「新たな津波断層モデルなどの知見を国が発表すれば、さらに津波や地震の想定を更新していく」と述べた。

 4次想定を上回る津波が想定された熱海市では、新たな津波想定浸水域の住民を対象にした避難訓練を3月8日に開催。また、これに先だってハザードマップを更新して全戸に配布する。また、今回の想定で最も津波浸水域が広がる伊東市では、来年度に3年ぶりにハザードマップを更新して注意喚起するほか、津波避難場所を示す看板も新設する。

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