日本の議論

「何を証明しているのか?持ってこられても…」激論の末に成立「渋谷区・同性パートナー条例」、戸惑いの声

 一方、賛成討論に立った長谷部健区議(無所属クラブ)は「20~30年も経てば、パートナーシップ証明書も普通のことになる。世界的にもこの流れは止まることはない。憲法違反という批判もあるが、多くの弁護士は違憲ではないと言っており、良識ある判断をお願いしたい」と述べた。

自公“異例”の分裂

 渋谷区議会は32人(欠員2)で構成され、討論後に行われた採決では、議長を除き自民7人と無所属3人が反対、公明や共産など残る21人が賛成した。自民と公明の態度が分かれたことに、区議会事務局は「採決で自民と公明の意見が分かれたケースは記憶にない」としている。

 条例成立後、LGBT(同性愛者、両性愛者、性別に違和感のある人)の当事者たちは、区役所前で喜びを分かち合った。

 女性として生まれたが、現在は男性として社会生活を送っている杉山文(ふみ)野(の)さん(33)は「国でやるといってもやらずに終わってしまう可能性があるので、小さな自治体で始め、悪いところを洗い出してから国がスタートすればいい」と話した。

 また、桑原敏武区長は区議会閉会後に記者会見を開き、「人権上の課題として、一石を投じる歴史的な一ページになった」と条例の意義を強調。作成過程が拙速だったなどの批判については「新しいことについて、自分たちの立場にマッチしなければしないほど、批判が出る。まず第一歩を踏み出したいという気持ちでやってきた」と述べた。

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