イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」関連の画像や、日本海に韓国が強く主張する「東海」という呼称を併記した地図など、全国の小中高校で不適切な補助教材が使われる事例が相次いでいる問題で、文部科学省は今月、補助教材の適正な取り扱いを求める通知を出した。日本教職員組合(日教組)の教員らを中心に、偏向的で不適切な補助教材使用は後を絶たない。文科省は40年ぶりの通知発出で不適切教材の一掃を狙うが、効果のほどは…。
「イスラム国」画像使用は「露出狂」
「まるで露出狂みたいなもの。教師である前に、社会人として常識がないとしか言いようがない」
今年2月以降、授業でイスラム国に殺害されたとされる日本人の遺体の画像を児童や生徒に見せる事例が相次いだことについて、ある文科省幹部は吐き捨てるように言う。
名古屋市の市立小学校の20代女性教諭は、5年生の社会科の授業で、イスラム国が日本人人質を殺害したとする遺体の画像を見せた。テーマは「情報を生かすわたしたち」。女性教諭は「見たくない人は見なくていい」と説明し、3~5人が顔を伏せたという。女性教諭は「報道のあり方を考えさせるとともに、命の大切さに目を向けさせたかった」と話したという。
多くの親たちにとって、大人でも目を覆いたくなるようなイスラム国による残虐な画像は子供には絶対見せたくないものだろう。だが、ある学校では親から「なぜ、見せないんですか」という問い合わせがあった-との話も文科省に伝わっている。
文科省幹部は「見せる教師も非常識極まりないが、見せろという親もありえない」とあきれる。
昨年7月には仙台市の市立中学で、旧日本軍の南京占領下で起きたとされながら存否でも議論がある「南京事件」について、「1000人の婦人が強姦された」とする真偽不明の資料が使われた。同年10月には、東京都武蔵野市の市立中学で、日本海を「『日本』海(東海)」と韓国が強く主張する呼称を表記した地図が使われていたことも発覚した。
補助教材とは、市販や自作を問わず、副読本や解説書、資料集、学習帳、問題集などのほか、視聴覚教材や掛図、新聞、プリント類などで、学校教育法で有益適切なものは使用が認められている。
学校現場で使用される教科書は、文科省の検定制度により不適切な記述や表現が排除されてきたが、個々の教員が自作したり、使用したりする補助教材については、昭和49年に出された通知で、教育関連法令や子供の発達段階に即していることのほか、特に政治や宗教に関し、特定の思想や題材に偏らないよう示されていただけだった。
教科書に準ずる副読本などは教育委員会への届け出や承認が必要とされているが、これも学校内、教室内という密室では、どこまで適切に運用されてきたかは不明だ。長年にわたり、補助教材使用は事実上、野放しの状態となってきた経緯があり、そんな中で、偏向的で不適切な教材を使用してきたのが日教組の教員たちだ。