ISIL(イスラム国)が日本人を相ついで殺害し、「(日本の)国民がどこにいようとも虐殺をもたらす」と脅迫した。
この許し難い犯罪は、安倍晋三首相の中東演説や人道目的の支援がISILに正しく理解されなかったせいだなどという批判があるが、的外れであろう。ここに正すべきゆがみがあるとしたら、それはむしろ日本の安全保障体制と安保に関する考え方である。いま私たちに突き付けられているのはこのままの日本で、本当に日本国民を守り通せるのかという問いである。
国際法も人道も人権も認めないイスラム過激派勢力はパリのテロ事件で判明したように、カラシニコフ自動小銃や携帯型対戦車ロケット砲まで所有し、無防備の人を襲う。あるいは拘束して処刑する。海外で活躍する150万の邦人の安全や救出が喫緊の課題であるにもかかわらず、情報収集も邦人救出も日本国政府は事実上、他国に全面的に頼らざるを得ないのが現実だ。