日銀が物価2%上昇を29年度から1年程度先送り 決定会合、追加金融緩和は見送り

 日銀は1日、金融政策決定会合を開き、2%の物価上昇目標の達成時期を平成29年度中から「30年度ごろ」へと1年程度先送りした。消費不振で物価が伸び悩んでいることに対応した。これに伴い黒田東彦総裁は30年4月までの任期中の達成を事実上断念した。

 一方、原油価格が上昇し、雇用情勢も改善しているとして、追加の金融緩和は見送った。

 同時に公表された、「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」で物価見通しについて、平成28年度は前年度比0・1%上昇から0・1%下落へと、29年度は、1・7%上昇から1・5%へとそれぞれ0・2ポイント引き下げた。家計の節約志向の強まりや、円高による輸入品の値下がりが続いているため。

 総務省が先月28日に公表した9月の消費者物価指数(生鮮食品除く)は7カ月連続で前年割れが続いており、足元の経済情勢を反映した。ただ、物価上昇の重しとなってきた原油価格が上昇傾向にあることなどから、今後、物価は2%に向けて徐々に改善していくと判断した。

 9月の会合では、短期金利は年0・1%のマイナス金利を継続し、新たに長期金利に0%程度の誘導目標を設けた。新たな金融政策のもとでの金利の動きなど政策の効果を見極めるため、追加緩和は見送った。

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