正論

「華夷思想」が国際標準となる可能性はゼロだ 日米は中国に「普遍主義」外交を促せ キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏(恵守乾撮影)
キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏(恵守乾撮影)

 10月中旬に英国からルーマニアとウクライナを回った。同じ欧州だが7日間で3カ国の出張は強行軍だった。日本の総選挙の結果はキエフで知った。中国共産党党大会では習近平総書記が2049年までに「中華民族は世界の諸民族の中で聳(そび)え立つ」と豪語した。

 一方、米国ではロシア・ゲート関連でトランプ陣営の元幹部が起訴され、来週からはトランプ大統領のアジア歴訪が始まる。この国際情勢をどう読み解くべきか。簡単に世界一周して考えてみよう。

≪「国際標準」の確立目指す恐れ≫

 〈米国〉

 米国内政の左右分裂・両極化はますます深刻化している。トランプ氏は国際協調よりも国内支持層へのツイートの方に関心がある。民主党系リベラルはもちろん、共和党系穏健派・国際派も従来、米国主導で築き上げてきた国際秩序が風化する恐れを現実の問題として感じ始めている。

 〈欧州〉

 欧州、特に東欧諸国の戦略家たちはトランプ政権の対北朝鮮対応を懸念していた。彼らの関心はトランプ氏が同盟国へのコミットメントを忠実に果たすか否かだ。他方、彼らにとり脅威はあくまでロシアであり、中国や北朝鮮ではない。欧州と東アジアの最大の認識ギャップがこれだ。

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