主張

香港長官法案 否決の意味は極めて重い

 香港のトップを選ぶ2017年の行政長官選挙をめぐり、形だけの「普通選挙」の導入を狙った制度改革案が立法会(議会)で否決された。

 否決されたのは、有権者に1人1票の投票権を与えながら、候補者は親中派の指名委員会で選び、民主派を排除できるという仕組みだ。とても普通選挙とは呼べない。

 議会が、中国の意向に沿って親中派長官しか選べない制度を拒否した意味は小さくない。

 自由と民主主義という価値観を共有する国々には、住民たちが平和的な民主化運動を続ける限り、支援する道義的な責任があることを忘れてはなるまい。

 中国は1997年に香港が英国から返還される際、50年間は「一国二制度」の下での「高度な自治」を保つことを約束し、香港の憲法に当たる基本法も、普通選挙の実施を目標としている。

 恣意(しい)的な候補者選抜を許す制度は、「一国二制度」を骨抜きにする、明白な「国際公約」違反にほかならない。中国と香港政府には、誰でも一定の条件を満たせば立候補できる「真の普通選挙」を実現する義務がある。

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