主張

原発5基の廃炉 40年運転規制は理不尽だ

 だが、採算性をはるかに上回る大きな理由があることを見落としてはならない。

 それは、40年運転とその延長について定めた制度の欠陥だ。まずは、原子力規制委員会による審査期間が短すぎる。最長でも1年3カ月しかない。

 原発の40年が迫っても、電力会社は、その1年3カ月~1年前になるまで延長申請を行えず、審査中に満40年になるとその時点で廃炉を運命づけられるのだ。規制委の審査ペースが緩慢だと原発は廃炉を余儀なくされる。

 また、延長は最大20年だが、何年認められるかは、見通せない。決定は規制委にゆだねられる。これでは電力会社は、経営計画を立てられない。巨額の費用と人的資源を考えると延長申請には二の足を踏んでしまう。

 この理不尽な制度の早急な改正が必要だ。放置すれば、日本の原発はゼロに向かい、国力は地に落ちよう。それでよいのか。

 原発は、運転開始から多年の歳月が経過していても大部分の機器が新品に交換されているので、老朽化という概念はそぐわない。

 規制委の任務は、原子力利用における安全の確保を図ることであって、原発を止めることではないはずだ。これを忘れてもらっては困る。国の行政組織である規制委と原子力規制庁の自覚向上に期待したい。

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