相続、配偶者を優遇 民法改正要綱案 「居住権」新設

 高齢化社会などに対応するため、遺産相続のあり方について検討してきた法制審議会(法相の諮問機関)の部会は16日、相続関係の民法改正の要綱案をまとめた。被相続人(死亡者)の配偶者がこれまで住んでいた家に住み続けられるよう「配偶者居住権」を新設するなど、法的に結婚している配偶者の優遇を強く打ち出した内容。法案は22日から始まる国会に提出される見通しだ。

 総務省の平成26年全国消費実態調査によると、2人以上世帯の家計資産に占める不動産の割合は全国平均で約66・5%に上る。子供がいる場合の配偶者の法定相続分は遺産の2分の1のため、法定相続分で分割した場合、子供の取り分を捻出するため家を売却するなどの必要性に迫られる。

 そこで要綱案では、住んでいる家に限って所有権とは別に「配偶者居住権」を新設。この権利を設定すると、他者がその家の所有権を持っていても、配偶者は住み続けることができるようになる。配偶者居住権は家の評価額よりも低くなるので、配偶者が法定相続分で相続しても、住んでいる家を失わない上に、現金を相続することができるケースが増える。配偶者居住権の評価額は住む年数などに応じて変わる。また、権利を行使するためには登記しなければならない。

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