リオデジャネイロ五輪のバドミントン男子で日本代表入りが確実視される世界ランク4位の桃田賢斗選手(21)と、2012年のロンドン五輪で日本代表だった田児(たご)賢一選手(26)=ともにNTT東日本所属=が東京都墨田区の違法な闇カジノ店=平成27年3月に警視庁が摘発、閉店=に出入りしていたことが6日、分かった。この店の元経営幹部や常連客らが、産経新聞の取材に「大金で賭博をしていた」と証言。NTT東日本広報部は「両選手に確認した結果、ともに『闇カジノ店に行ったことがある』と認めた」と回答した。
闇カジノ店は暴力団の資金源になっているとされており、今後、リオ五輪の代表選考に影響を及ぼす可能性がある。
闇カジノ店の元経営幹部の男性(47)によると、田児選手は26年12月ごろ、客引きの紹介で、違法なバカラ賭博を行っていたJR錦糸町駅に近い同店を訪問。約1週間後、田児選手の紹介で桃田選手が訪れた。この男性は「2人とも頻繁に来ていた。田児選手は多いときは100万円単位、桃田選手は数万~数十万円単位で賭けていた。最終的に2人で計1千万円以上は負けていた。ラケットを持った十数人の後輩らしき男女を連れてきたこともあった」と証言した。
常連客だった男性(45)は「ディーラーからバドミントンの有名選手だと聞かされ、驚いた。2人は顔をマスクで隠したりせず、『明日から海外遠征ですので、来なくても心配しないでください』などと話していた」と語った。
この闇カジノ店は昨年3月に警視庁の摘発を受け、賭博開帳図利などの容疑で元経営幹部の男性や暴力団関係者らが逮捕され、閉店した。
日本バドミントン協会によると、両選手は現在、インドとマレーシア、シンガポールで順次開催されている国際大会に派遣・出場するなどしている。NTT東日本によると、2人は緊急調査を受けるため早ければ7日にも帰国するという。
2人は2014年5月の世界国別団体戦「トマス杯」で、日本男子が初めて世界一に輝いたときの中心選手。桃田選手は昨年の世界選手権3位で、3日に閉幕したインド・オープンで優勝するなどエース級の存在。田児選手は平成25年に全日本総合選手権6連覇を果たしている。
NTT東日本は取材に「現在は海外遠征中で詳細な事実確認が困難なため、帰国次第、他の関係者らを含めて事情を聴き、対応を検討する」と回答。日本バドミントン協会は「本人と関係機関に確認し、事実が確認できれば処分を科すことを視野に入れて検討する」としている。
【用語解説】賭博罪
社会秩序維持の観点から、結果が不確定な事象に金銭などを賭けて取り合う行為を罰する罪。競馬や競輪といった公営ギャンブルには適用されない。闇カジノでの賭博や野球賭博をした場合は、行為の頻度などによって単純賭博罪、またはより罰則の重い常習賭博罪が成立する。賭博を主催した側に対しては賭博開帳図利罪が成立する。それぞれ刑法に規定されている。