何を隠そう、実は私は、政見放送マニア(笑)。 だいぶ昔からマニアだったのですが、こんな「選挙マニア」なんていないだろうな・・・と隠していました。
でも、探してみると意外といるんですよね・・・。
びっくりしました。
政見放送マニアの中では「伝説のアイドル」とも言えるのが、三井理峯(りほう)女史。まさに、伝説中の伝説とも言える女性です。今回は、その三井理峯さんについてまとめました。伝説の「政見放送」動画もご紹介します。
目次
「政見放送マニア」のアイドル、三井理峯女史
三井理峯さんは、伝説の選挙立候補者です。戸籍名は成澤芳子。1911年5月生まれです。お亡くなりになったのは2002年の7月14日のことだったようです。91歳という高齢だったことがわかります。
都知事候補と市議会議員選挙、国会議員選挙などに、繰り返し立候補されたおばあさまで、その政見放送での度肝を抜く演説は、マニアの中では、それはそれは有名なものでした・・・。ウィキペディアの情報によれば、以下のようになっています。
選挙日 | 選挙名 | 票数 | 順位 |
---|---|---|---|
1989年7月 | 第15回参議院議員通常選挙(東京都選挙区) | 2,109票 | 43名中27位 |
1990年2月 | 第39回衆議院議員総選挙(東京都第3区) | 674票 | 12名中9位 |
1990年9月 | 鳩ヶ谷市長選挙 | 82票 | 5名中5位 |
1991年4月 | 東京都知事選挙(統一地方選挙時) | 829票 | 14名中16位 |
1992年7月 | 第16回参議院議員通常選挙(東京都選挙区) | 1,615票 | 52名中35位 |
1994年11月 | 鳩ヶ谷市議会議員選挙 | 35票 | 30名中30位 |
三井理峯先生による伝説の政見放送
例えば、こちらの2作品をご覧ください。
■三井理峯 1991年 都知事選挙 政見放送
■三井理峯 1992年 参議院議員選挙 政見放送
だって、政見放送が始まるなり、「自費出版、『我は平民』の一部分を読ませていただきます」と宣言し、その一行目、「国立公園は麻薬・暴力団の隠れ蓑!」
このスケールの大きさって、ありえなくないですか?
とはいえ、上のyoutubeでは音声のみなのでわかりにくいかな・・・と思い、映像と字幕付きの作品も載せておきます。
■三井理峯 政見放送 字幕 (1991 年東京都知事候補者)
選挙が行われるたびに、「今回は、三井さん、出ているかな・・・」とチェックするのが日常でした。
ところが、ここ数年は、ぱったりと姿を消しておられました。どうしたんだろう・・・。ずっと気がかりでした。まさか亡くなられていたとは驚きです。
三井理峯先生による伝説の選挙広報
政見放送でびっくりするだけでなく、選挙広報を見ても、「えっ、うそぉっ!」と、驚かされるものばかりでした。
印刷体の選挙公約が並ぶ中、三井先生の公約は、筆ペンで直筆されたものがほとんど。
(あえて、先生と呼ばせていただきます)
例えば・・・、
「にしんを食べると怒らない」 「公共お料理教室を実施」 「国歌を都で制定、実施」 「夏休みの宿題は有害、禁止」 |
などなど。もう、本当にびっくりな内容ばかりでした。
その一方で、前回選挙の得票数に対する、えも言われぬ感謝の念を選挙公報の隅に記していたりする茶目っ気もあったりします。
三井理峯先生は、ひっそりとお亡くなりになっていた
先日、書店で、政見放送マニアである大川豊さんによる新刊本を手に取る機会がありました。「日本インディーズ候補列伝」という本です。
『日本インディーズ候補列伝』とは、選挙マニアとして知られる大川興業・大川総裁が『週刊プレイボーイ』で連載していた政治の現場リポートの中から、味わい深いインディーズ候補(総裁は泡沫候補と区別して、敬意を込めて“インディーズ”と命名している)25人を抜粋し、多額な選挙供託金を私財から投じながらも大手メディアに無視されてしまう彼らの主張・活動を大川総裁が綴った人間賛歌溢れる単行本です。
驚きました。泡沫候補ファンの長老アイドル、三井理峯先生が、実は、お亡くなりになっていたのです!
7月6日現在、まだウィキペディアには、三井先生がお亡くなりになっている旨の記述はありませんでした。
でも、今みたら、さっそく記事が更新されていました。いやぁ、びっくり・・・。というか、ファンの方による更新のすばやさにも驚きです。
三井理峯ファンの熱意、その行動力には驚き
どうして、これほど選挙に出られたのか。その真相は、三井理峯先生がお亡くなりになった今となっては謎のままですが、もしご存命であればぜひ教えていただきたかった点です。
三井理峯先生へのインタビューを試みたサークルも!!
ブログを調査した結果では、早稲田のあるサークル学生たちが、ご本人への突撃インタビューを試みたりもしたそうですが、念願かなわなかったそうです。
ご本心がどこにあったのか、とっても知りたかった私としては、残念でなりません。
(実は、『日本インディーズ候補列伝』を読むと、ご親族インタビューの結果、その一端が垣間見られて、これがまた、なかなか感動的ですらあったりします)
「三井理峯耳」を身に着け、選挙演説の書き起こしに成功したファンも!!
ところで、ブログを見ていて、実に秀逸だと思ったのが、こちら。
■三井理峯先生まとめ 酒と食い物と美術と旅と横浜…などの記録。Twitterやってます @zaikabou |
あの、聞き取りにくいことで知られる、伝説の政見放送を、繰り返し視聴したことによるヒアリング能力向上により、(ご本人は、英語耳ならぬ、三井理峯耳と言っています:笑)なんと、見事なまでに、書き起こしに成功されているのです!
これを読むと、こんな立候補をOKにしてしまう日本って、すごいと思いませんか?
(今回のブログは、マニアック度全開ですみません・・・)
三井理峯先生を追いかけた熱烈なファンたちの行動
それにしても、今回いろいろ検索していて驚かされたのは、マニアの方々の、すさまじい熱意です。
・政見放送に出てくる東北の温泉に、わざわざ出かけて行った方 ・政見放送に出てくる自費出版本の印刷会社に問い合わせをした方 ・その本をドイツ大使館に寄贈したとのことから、ドイツ大使館に電話した方 ・国会図書館に出向いて、在庫確認した方 ・鳩ヶ谷市にあるドイツ関連資料館に行って、在庫確認した方 ・鳩ヶ谷市に行って、聞き込み調査をされた方 |
この熱意、すごくないですか? 言葉を変えれば、ストーカーと紙一重な感じもしますが(笑)、熱意には、本当に恐れ入ります。何事も、徹底するということは、本当にすごいことです・・・。
ツイッターには名言を吐き続ける「三井理峯bot」も
なんとtwitterには、数々の名言をツイートし続ける「三井理峯bot」なるアカウントまで。見た限りでは、自費出版「我は平民」からの抜粋を、自動でツイートしているようです。
選挙活動を楽しんでおられた三井理峯先生
いや、でも、お亡くなりになったとは・・・。
書籍のページをめくっていて、本当に衝撃的でした・・・。
三井先生(しかも本名ではないそうです!)の登場は、いろいろな点で、
「ありえねー」
「すげー」
という、既存の枠を超えた、前衛的な視野の広がりを与えてくれて、狭い視野を打ち破るという点で、感謝をしています。
ご冥福をお祈りするばかりです・・・。いやはや、びっくり、ただそれだけです。
なお大川さんの本によると、三井先生は、選挙活動自体を、楽しんでおられたようでした。大川さんは、人生に悩んでいる人に相談に乗る際、よく「立候補してみては?」と薦めるそうです。選挙制度の乱用は良くありませんが、でも、なるほど、たしかにそれも一理あるな・・・と強く思った次第です。
【追記:参考】選挙の泡沫候補に関する書籍や映画
今回の記事では「日本インディーズ候補列伝」という書籍をご紹介しましたが、その後、選挙の「泡沫候補」という点で、以下のような書籍や映画がリリースされています。やはり注目テーマなんですかね。3つの作品をご紹介します。
「黙殺・報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い」
「泡沫候補」
映画「立候補」
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【 時の運と人の縁を極める日々の記録 】 渡邉 裕晃
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