これはきっと世界中に欲しい人がいっぱいいるであろう「NOVO」と名付けられた、米・ViewFactor社製Cマウント・レンズ交換式 GoPro3ケース… というか、カバーというか。おぉ〜ボクも欲しぃ〜!と思ったのだけど、運が良くてレンタルのみ。販売はされないそうです。というのも、これは Radiant Images社というハリウッドのレンタルハウスが「End of Watch(2012/邦題:エンド・オブ・ウォッチ)」という映画のために ViewFactor社に特注した、れっきとした本編撮影用のワンオフ・シネマカメラなのでした(中身、まんま GoProですけどなにか?)。
▶ ViewFactor : Novo Digital Camera
▶ Radiant Images
さすがにハリウッドの要請で特注されただけあって、色々と小ワザを効かせています。例えば、ただ単にCマウントレンズがつくだけじゃなくって、いつの時代にどこの国で作られたレンズでも使えるよう、ちゃ〜んとバックフォーカス調整機能つき(BMCCにも欲しいぞ!)。CPU内蔵で GoPro Hero3の自動露出をオフにできたり、フォーカスとりやすいように液晶画面をデジタル拡大表示できたり、あるいはボディ前面に用意されたファンクション・ボタンによく使う機能を割り当てたりだってできんだぞ!ってんだから、そのまま全て次の GoProに入れて〜!って感じ?
さて、なにしろ機動性重視ということで、この NOVOを初めとした小型カメラを縦横無尽に使い、いわゆる POVショット(主人公の視点)を多用したドキュメンタリータッチで撮影された「End of Watch」。
脚本・監督のデヴィッド・エアー氏は、デンゼル・ワシントンさんにアカデミー主演男優賞をもたらした「トレーニングデイ(2001)」の脚本を書いたかただそうで。
で、この映画に使用された小型カメラは、すべて上述の Radiant Imagesさんが手がけてるんですが、POVショットは ViewFacor NOVOの他に SI-2K Nanoなる手のひらサイズのシネマカメラを多用したそうな。
▶ Cinescopophilia : Cameras Used In The End Of Watch Movie
▶ Silicon Imaging : SI-2K Mini
ほ〜ら、こちらを見てください。なんですかこのハンディカム撮影の学生映画のようなアットホームな撮影風景は?(笑) マットボックスつけてこのサイズ、このハンドリングってのが素晴らしいですね。
で、その「End of Watch」のトレイラーがこちら。
さて、とりあえず上ではサラッと流しましたが「SI-2K」というカメラの名前を聞いて「え?」と思った人はいますか? はい、あなたは恐るべきシネマカメラ・オタクと認定されました(笑)。
センサーサイズが 2/3型ということで、うちでは今まで採り上げたことはありませんが、これは主人公(子ども)がインドの雑踏を駆け抜ける絵が印象的な「スラムドッグ$ミリオネア(2008)」の撮影に使われたカメラとして有名です。
実物を見れば一目瞭然ですが、SI-2K Miniは、カメラというよりも “レンズマウントがついたセンサー” とでもいうべき外観にして、データ収録部は別体としてケーブルだけ繋いで背中のバックパック等に入れておけるのだそうで(笑)、ダニー・ボイル監督、アンソニー・ドッド・マントル DPをして『このカメラがなかったら「スラムドッグ$ミリオネア」は撮れなかった』と言わしめた、なりは小さくてもれっきとした非圧縮 4:4:4 2K RAWのシネマカメラです。
もともと大がかりな撮影機材が大嫌いな同映画のダニー・ボイル監督は SI-2K Miniを大層気に入り、次の「127時間(2009)」も引き続き Mantle DPに撮影を任せ、カメラは引き続き SI-2K Miniを使って撮っています。
全篇インドでの撮影だった「スラムドッグ$ミリオネア」の時には、そもそも DPのマントルさん(←実はラース・フォン・トリアー監督らと共に「ドグマ95」運動に参加していた筋金入りのハンドヘルド派)がこのカメラを見つけてきたそうですが(笑)、米国内での制作だった「127時間」の時にはカメラを含む機材の手配及びメンテナンスを Radiant Images社に依頼し、同社はこの時以来、SI-2Kの改良と小型化に取り組み続けてきたそうです。
そして昨年、エアー監督の要請により Miniよりもさらに小さい SI-2K Nano(上写真)を開発し、「End of Watch」で実践投入!という流れのようです。
いやあつい先日も友人たちとの与太話で「GoProったらフツーな顔して今や解像度 2K越えてるし、CineForm RAWだし、Technicolor CineStyleだし、もうその内ハリウッド映画も GoProで撮るんじゃね?w」な〜んて軽口をたたいてたんですが、どうもスミマセン。もうとっくに撮り終えて… 公開してたんですね〜。(^_^;)
15 Comments
来年にはGoogleがこんなの発売しようとしてますよ。
http://www.google.com/glass/start/what-it-does/
これぞ究極のPOV!
2年もするとこれで4Kとかになっていそうで・・・((((;゚Д゚)))))))
情報、ありがとうございます。コード、ちらっと直させて頂きました!(笑)
いやしかし、これは一体なんですか? メガネのカタチをした POVカメラ? Googleがこんなもん出して、なにするんでしょう? YouTubeのコンテンツ集め?
ありがとうごぜーます。お手数かけました。
ちなみにPOVときたら、こんなのも。
http://www.arretetoncinema.org/leviathan/
Oh!No! POVとかなんとか以前に、なんか怖いんですけどー!?(゚Д゚;) リバイアサン。でもどんな海獣が出てくんのか?と思ったら、ドキュメンタリー? え? よくわかんなーい。。。
まあ、眼鏡型のカメラレコーダーなら、すでにpivotheadというのがありますけどね。
http://pivothead.com
これで1080pですからねえ。
リバイアサンについてはドキュメンタリーですね。
GoProで撮影したようですが、詳細は不明です。
なにこれ詳し過ぎ(笑)>ぬほ さては POVカメラつけてウロウロしてるんでそ?(^_^) リバイアサンは GoProでっか。サカナとと一緒に網にかかって引き上げられたり、ってのを GoProの視点で見せられると怖いですな(笑)。
認定ありがとうございます。SI-2Kは素晴らしいカメラです。
去年のNABで、BMCCがSI-2KのコピーかどうかでジャーナリストのIさんと論争したのが懐かしい。。。
あれからまだ1年たってないんですよねえ。
ものすごく長い一年間です。
おりょりょ?そんな論争されていたんですかー? 全然知りませんでした。っていうか、去年の NABつったら、まだこの映画がポスプロやってる頃ですよね。…気づくの早過ぎです、社長(笑)。
Iさんが、プロトタイプの銀色のSI-2KがBMCCそっくりだという主張でやり合ってたのです(笑)
本当にどうでもいい話ですが、結論としては二人とも、こういう弁当箱系カメラが流行るのではと言うものでした(^^;
なるほどー。で、「流行るのでは?」と仰っていたご本人は、さっさと… 1年すら待たずして弁当箱を卒業し、1D Cに… てことは、DSLR路線に逆戻りっすかー。そりゃあ、長〜い1年ですよねぇ。(^_^;)
長いというか、堂々巡りの一年ですね(^^;
結局GH2や5D2のところに帰ってきてしまった感じです。とほほ(^^;
読みながら「Apertus Axiom」や「Flea 4K USB3 camera」を思い出しました。さすがの米映画業界、カメラ好きが「こんなんいつ出るんかなぁ」なんてノンビリ構えている間に、もう形にしてしまっているんですね(笑)。
Silicon Imagingの他製品も興味深いです。360°撮るカメラとか。うーん、NYの田舎にこんな会社あるんですね〜!
たしかにボクもAXIOMを思い出しました。
後方オープンでケーブル這い回すような、なんかうまーいモノ出てくるといいですよね。Rec側ってけっこう色々できる気がしていて。要はセンサーとマウントのボックスなのかなぁ、と。
当方はCCD好きなので、このあたりをたまに巡回し夢想します。笑
http://www.truesenseimaging.com/products/interline-transfer-ccd
わわ。「当方はCCD好きなので…」って、フツーこんなサイト巡回しますかあ(笑)? 「マニア」ですねぇ。いやしかし、いつの間にやら、すっかり CMOSだらけになってしまいましたね。こんなん、ケータイカメラにしか使えんだろ!とか云ってたのに。あと、すっかりベイヤーの単板式になっちって。高画質は 3CCD!なんて時代はどこへ?
あーそうでした。Apertusに関して一言添えようと思いつつ、すっかり忘れてしまいました。というか、さすがはオープンソース!で、いつまで待ってもカタチにならない Apertus。だけど関係者ご本人様たちは全く焦ってもいない Apertusってだけなんですが(笑)。でもホント、NYの田舎にこんな会社があるんですねぇ…。
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