港空研について

釜石港における津波による被災過程を検証

平成23年4月1日
国土交通省 港湾局
独立行政法人 港湾空港技術研究所

国土交通省港湾局では、独立行政法人港湾空港技術研究所及び国土総合技術研究所の協力を得つつ、東北地方太平洋沖地震・津波による港湾施設の被災原因等の調査を進めています。今般、(独)港湾空港技術研究所において、釜石港における被災原因を検証するため、数値計算(数値シミュレーション)により被災過程を再現しました。

1.津波による浸水高の再現

釜石港沖合のGPS波浪計で観測した津波波形を元に数値計算を行った結果、釜石港周辺の浸水域及び浸水高(最大値)は現地での実測結果とほぼ一致しており、再現性を確認。

2.津波防波堤の効果

上記数値計算により、釜石港において「津波防波堤が無かった場合」の想定津波高及び浸水状況等を算出。上記の「防波堤が有った場合」と比較した結果、釜石港の津波防波堤は大きな被害を受けたものの、一定の減災効果を発揮したものと考えられる。
釜石港内の津波高:防波堤が無かった場合/有った場合の比較

  1. 津波高の低減:8.0m(津波高を4割低減)
  2. 浸水域の低減:20.2m → 10.0m(最大遡上高を5割低減)
  3. 水位上昇を遅延:津波高が市街地を守る防潮堤(高さ4.0m)を超えるまでの時間を6分間遅らせた。

3.津波防波堤の被災過程

テキスト今回の計算結果を基に、現時点において津波防波堤の被災過程を推測すると以下の通り。ただし、被災過程及び原因については更に詳細な解析や実験等が必要。

  1. 第1波は(沖合20kmにおいて津波高6.7m)津波高10.8mに増大し、釜石港に到達。
  2. 防波堤が津波をせき止めた結果、防波堤外側の水位が+10.8mであるのに対して、防波堤内側の水位は+2.6mに留まり、港外と港内では最大8.3mの水位差が発生。
  3. 水位差により港の入口や防波堤ケーソンの間の目地(隙間)には強い水流が発生。これにより基礎マウンドの石材が洗い流された(洗掘)結果、その上部にあるケーソンが不安定になり破壊が進行。なお、国交省釜石港湾事務所への聞き取りによると、第1波襲来時までは防波堤の損傷は比較的軽微であったが、第2波以降により損傷は徐々に拡大。

【問い合わせ先】
港湾局 技術企画課技術監理室 石橋(46602)、宮田(46632)
代表 03-5253-8111、直通 03-5253-8681
独立行政法人港湾空港技術研究所
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下迫 046-844-5043(直通)