恐竜絶滅に新説、隕石衝突で海が硫酸に
千葉工大など実験
千葉工業大学の大野宗祐上席研究員らは、白亜期末の6500万年前に恐竜など生物の約6割が絶滅したのは巨大隕石(いんせき)の衝突で硫酸の海が生じたためとする新説をまとめた。衝突後の地球を岩石を使って再現した実験で突き止めた。地球規模で起きた大絶滅をうまく説明できるという。英科学誌ネイチャー・ジオサイエンス(電子版)に10日発表する。
白亜期末、恐竜や空を飛ぶ翼竜など陸上の多くの生物だけでなく、海の大型爬虫(はちゅう)類やアンモナイト、プランクトンの多くが死に絶えた。直径約10キロメートルの隕石が今のメキシコのユカタン半島に衝突し、巻き上がった土やほこりが地球を覆って太陽光を遮り寒冷化したためとする説が有力視されている。
研究チームは大阪大学の施設を使い、隕石に見立てた金属片をレーザーで秒速20キロメートルに加速してユカタン半島と同じ硫黄の多い成分でできた岩板にぶつけた。衝突の衝撃で高温になった岩板から多くの成分が蒸発。そのガスを調べたところ、大部分が硫酸だった。
硫酸ガスは地球を覆い、酸性雨となってあらゆる場所に降り注いだ。衝突後1~3年は海の浅い部分が硫酸まみれになってプランクトンが死滅。食物連鎖が崩れたことが大型生物の絶滅につながったとみている。
大野上席研究員は「隕石が別の場所に落ちたなら、大量絶滅にはならなかった可能性がある」と話す。