産業ガス団体、消費増税分の価格転嫁カルテル申請
工場や病院に酸素などを供給する企業でつくる日本産業・医療ガス協会は8日、消費増税分を協調して転嫁する「価格転嫁カルテル」を公正取引委員会に届け出たと発表した。政府が1日施行した消費税転嫁対策特別措置法に基づく申請の第1号となる。
消費税が5%から2014年4月に8%へ上がる際、取引先の大手企業などから増税分の値下げを半ば強制されるとの懸念が中小企業にはある。このため政府は増税分の上乗せ方法などの足並みをそろえられるカルテルを特措法で容認した。1989年の消費税導入時に容認した際には91年までに計4600件の届け出があった。今回も中小企業を中心に申請が相次ぎそうだ。
産業・医療ガス協会には大陽日酸やエア・ウォーターなどの上場企業が加盟しているが1086社(7月時点)のうち約9割は中小企業。販売価格に消費税分を上乗せした税込み価格と税抜き価格を併記し、1円未満の端数は四捨五入するなどの統一基準を決めた。
大手スーパーなどと取引する食品業界でも特措法に対する関心は高い。中小の豆腐製造会社でつくる全国豆腐連合会も価格転嫁カルテルを実施する方向で検討している。
産業・医療ガス協会では、増税分を転嫁しないと公言するなど有利に営業することを狙って取り決めに従わない企業に対する罰則規定を現時点では設けなかった。
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