「VRは非常にインパクトある」米CNN幹部
米CNNのアンドリュー・モース代表取締役副社長とジェイソン・ファーカスVR(仮想現実)部門副社長は6日、日本経済新聞のインタビューに応じた。モース氏はネット上のウソのニュースがSNS(交流サイト)などを通じて世論を左右する現状をふまえ「真実はSNSでも展開していかないといけない」と指摘した。ファーカス氏も「VRにはインパクトがある」と報道への積極的な活用を示唆した。主なやり取りは以下の通り。
――SNSなどが広がるなかで、視聴者はどんなコンテンツを求めていますか。
モース氏「誰がホワイトハウスにいても、真実を伝えないといけない。視聴者は真実を求めており、フェイクニュース(ウソのニュース)は受け入れられない。それは世代が変わっても同じだ。変わっているのは、デバイスといえる」
――視聴者は既存メディアではなく、フェイスブックやツイッター、インスタグラムといったSNSの口コミ情報を信じる傾向が強まっているように見えます。
モース氏「我々はSNSのプラットフォームに力を入れてきた。真実はSNSでも展開していかないといけない。そのためには、まず視聴者をきちんと理解する必要がある。データを見て、どんな視聴者が興味があるかを分析し、投資もしている。政治や経済などに広げていきたい」
――なぜVRに力を入れるのですか。
ファーカス氏「メディアで大切なのは、真実をインパクトのある形で伝えることだ。VR映像は非常にインパクトがある。360度の映像でリポーターの立場になってニュースが見られるようになる。ストーリー性があるものを選んでVR向けに提供していく」
「VRは理解が深まり違う見方ができるようになる。例えば、トランプ大統領の就任式ではその場にいる観衆の1人としての映像を出した。用途は(ゲームなど)娯楽だけではない。ニュースもVRを使うことで理解が深まるはずだ。VRはその場で実体験を持って体験できることがポイントになる。CNNは世界中にある。VRを活用し(今いる場所に縛られず)自分ができないことができるようになる」
――現在、CNNではどれくらいの人材をVRに割いていますか。
モース氏「(VRを含めて様々なスキルを備えた)万能な人材を集めている。VRの新しいチームも作る予定だ。今後数年にわたって数百万ドルをVRに投資していく予定だ」
(山端宏実)
[日経産業新聞 2月7日付]