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山本氏殿堂入り「野球界に感謝したい」
球界の功労者をたたえる「野球殿堂入り」が11日、野球体育博物館(東京ドーム内)で発表された。競技者表彰は、今年から2部門に分かれ、プレーヤー部門は「ミスター赤ヘル」広島の山本浩二氏(61)と、V9巨人のエースだった堀内恒夫氏(59)が選ばれた。表彰式は球宴第2戦(8月1日=横浜)で行われる。これで殿堂入りは164人となった。
「ミスター赤ヘル」が晴れの舞台で決意表明をした。山本氏は、スピーチの締めくくりに最も強く力を込めた。「61歳になってもまだ闘争心を燃やさせてもらっています。8月にオリンピックという舞台が待っています。その闘争心を持たせてもらっている野球界に感謝したい」。選手、監督として数々の栄光に彩られた野球人生。その集大成として臨む大舞台に並々ならぬ意欲をにじませた。
野球人生を振り返りながら、何度も口にした言葉は「闘争心」だった。同時に殿堂入りした堀内氏に目をやりながら「けっこう打ったんじゃないかな。対巨人という闘争心でやっていた」と笑った。広島の4番に定着したのが29歳だった75年。同年に初の首位打者、MVPに輝き、巨人を倒してのリーグ初優勝に大きく貢献した。星野仙一氏や衣笠祥雄氏などのライバルと必死にしのぎを削ってきた結果が、77年から5年連続40本塁打、大卒最多の通算536本塁打など数々の記録だった。
あふれる闘争心はいまなお健在だ。星野ジャパンでは守備走塁コーチの肩書を持ち、三塁コーチャーズボックスに立つ。「やったことないから周りが心配してくれる。その心配を振り払うのが自分の仕事だよ。一番不安に思われるのがワシのところだから、余計にちゃんと準備してやらなきゃいかん」。激戦の中でチームを支えるため、昨年から週4回のスポーツジム通いを始めた。三塁コーチャーの実戦も台湾での予選で自信をつかんだ。「やってやる」という闘争心には完全に火が付いていた。
今回の投票では星野仙一氏がエキスパート部門(今回は該当者なし)の2位、田淵幸一氏もプレーヤー部門の次点に名を連ねた。北京五輪の結果次第では、来年の同じ場所にその2人が立つ可能性もある。「年が明けるともう始まるぞという感じがする。ほっとしてる間もないな」。盟友たちより一足先の殿堂入り。その喜びに浸る間もなく、視線はこれから臨む戦いに向いていた。【大塚仁】
[2008年1月12日9時29分 紙面から]
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