浜井浩一さんからのメッセージ《罪を犯した障害者と向き合う(1)(2)》
2012年12月06日(木)
12/5、6放送の
「罪を犯した障害者と向き合う
(1)もう刑務所には戻らない、
(2)福祉が変わる 司法が変わる」
にご出演の浜井浩一さんに収録の感想をお聞きしました。
浜井浩一さん(龍谷大学法科大学院教授)
Q. 改めて、今回の番組をご覧いただいた方に、知って欲しいこととはどんなことですか?
軽微な犯罪を繰り返している人たちは、
“モラルが低かったり懲りていないから繰り返している”わけではなく、
“社会的にそういう立場に追い込まれている”のです。
貧困が犯罪に走るすべての原因ではないですが、
貧困が作り出すさまざまな困難の蓄積が犯罪の原因なわけですから。
その蓄積の部分に社会的な支援があれば
犯罪者にならずにすむ人もいるんです。
そこを理解して欲しいと思います。
私が刑務所に勤務していて特に思ったのは、
「この人と私の違いはなんだろう」ということでした。
でも考えてみると、おそらく私のほうが恵まれているだけなんです。
いろんな意味でサポートがあっただけ。
それを削ぎ落としていくと、おそらくまったく同じ立場なんだと思います。
そういうことをしっかりと理解して、
自分の問題として考えてもらいたいです。
今回、当事者の顔を出せなかったことは残念でした。
それはある意味仕方がないことですが、
ただあの人たちの顔をもし見てもらうことができたとしたら、
普段「犯罪を犯した人はもう自分たちとは違う人」
と思っている人が多いかもしれませんが、
そうしたイメージとは全然違うことを
わかっていただけるのではないかと思います。
我々だって、いつそういう立場に追い込まれるかわからないのだ、
ということも言えるかと思います。
「反省はひとりでできても、更生はひとりじゃできない」
ということを理解して、
これを社会的な問題として考えて欲しいと思います。
コメント
浜井浩一「罪を犯した人を排除しないイタリアの挑戦」(2013年1月30日、現代人文社)の内容自体を視点論点で紹介させるべきだ。
今回は障害者が再犯を繰り返す事案のみを扱っているが、彼は、15頁で、そもそも厳罰化すると犯罪が減るというのは科学的根拠のない幻想である、と断言してしいる
日本の刑事司法は間違っておりイタリアを見習えと言っている。
投稿:深 2014年07月01日(火曜日) 21時31分
医療観察法の時にも思ったのですが、やはり地域の福祉施設と刑務所側との連携がもっと密にできるようになることが今後の鍵になるのではないかと、地域で支援をしながら感じていました。
ただ、地域への啓蒙をしていきたくても、
マスメディアの視聴率や売れ行きの為だけに、
ほんのごく一部の凶悪犯の記事が
全ての障害をもつ受刑者が凶悪犯だと勘違いしかねない公表の仕方
まず、このメディアの皆様方の知識とそして理解がなければ今後の進歩は厳しく、支援者も燃え尽きていきます。
NHKを含め、他の民放各局と手を組んで
より良い未来の道筋を作っていただきたいと思っております。
投稿:bun1973 2013年02月13日(水曜日) 20時26分
龍谷大学の先生の指摘は一番大切なことだと思います。障害者の犯罪と犯罪をしない人の違いは、ほんの少しだけだと思う。生きずらさのなかで引きこもり。精神を壊された人には、すべての言葉が信じられなくなる。彼らは犯罪を犯したくて犯すというより、そこに追い込まれてしまった。そんな、気がする。人間はすべてスペクトラムの中で生きていて線引きはできないのではないでしょうか。犯罪はすべての人を不幸にする。家族を傷つけることは自信もさらに深く傷つき負の連鎖が始まる。すべては同じとはいえないが、少なからず障害により人と付き合えずに苦しんでいたのならすべてが彼らのせいでしょうか?多様性を理解していければ、戦争もいじめも、争いも少なくなると思う。ほんの少しの理解が人生をわける分岐点。更生する施設や支援が命を救う。支援のあり方も重要だと感じる。
投稿:海洋天堂 2012年12月13日(木曜日) 13時10分