トランプ政権、米国製軍用ドローン輸出増狙う 国際的な規制緩和へ
10月11日、「バイ・アメリカン」を標榜するトランプ政権は、米国製の軍用無人機(ドローン)を海外に売りやすくして、この分野で急成長する中国やイスラエルに対抗できるよう、新たな政策準備を完了しつつある、と複数の米高官が明らかにした。写真は軍用ドローンの模型。ペンシルベニア州で昨年7月撮影(2017年 ロイター/Dominick Reuter)
「バイ・アメリカン」を標榜するトランプ政権は、米国製の軍用無人機(ドローン)を海外に売りやすくして、この分野で急成長する中国やイスラエルに対抗できるよう、新たな政策準備を完了しつつある、と複数の米高官が明らかにした。
大統領の側近は、選ばれた同盟国向けのドローン販売に関する国内規制緩和に着手すると同時に、1987年の「ミサイル技術管理レジーム(MTCR)」の再交渉を求めることで、米国製ドローン輸出を巡る国際規制の緩和を目指している、と政府や業界関係者は語った。
中東や南アジアなど紛争地域の不安定化に拍車をかけるリスクがあると人権運動家が警鐘を鳴らすなか、米政権は、国内メーカーからの強い要請を受け、ドローン輸出政策の見直しを進めている。
こうした変化は、米国の武器輸出手続きを全面的に見直す取り組みの一環であり、年内にも大統領令が発令される可能性があると、複数の政権当局者は匿名でロイターに明らかにした。
対テロ戦略の中核をなす遠隔操作可能なドローンの先駆者である米ドローンメーカーが、より緩やかな規制の下で中国やイスラエルが販売する海外市場において、シェアを取り戻すよう後押しすることが狙いだ。
輸出規制の緩和によって、大量の雇用を簡単に創出できるだろうが、実際に具体化するのはまだ先の話だと、米航空宇宙産業協会(AIA)のレミー・ネイサン氏は語る。
恩恵を受けるのは主に、非上場のゼネラル・アトミックスやボーイング、ノースロップ・グラマンやテキストロン、ロッキード・マーチンなど、米国のドローン製造大手だ。
「かつて経験したことのない方法で、ゲームに参加できるようになる」と、ある米高官は述べた。
「バイ・アメリカン」戦略
特に、情報収集や監視、偵察用の非武装ドローンの販売規制が緩和されるとみられている。こうした最も高性能なドローンは、戦闘機や海軍艦船、地上発射装置によるミサイル発射を援護するため、高解像度カメラやレーザー目標指示装置を搭載している。
だが、「プレデター」や「リーパー」のようなミサイル搭載可能なドローンに関する輸出規制の緩和は、さらに慎重さを要し複雑だ。現代戦争を様変わりさせた攻撃能力を有する「ハンターキラー」ドローンの需要は一段と増しており、米国モデルは最先端と見なされている。