謎な彼女の甘~いおつゆ「謎の彼女X」
2006年08月25日 17:57
(しばた@OHPのオススメ漫画)
キスはダメ。エッチはもちろんいうまでもなし。でも妙にエロチック。そしてラブリー。「ディスコミュニケーション」「夢使い」などで知られる植芝理一の新作、「謎の彼女X」はそんな不思議感覚に満ちた学園青春ラブストーリーだ。
物語は、主人公である平凡な男子・椿明が、彼が所属するクラスにやってきた転校生・卜部美琴に出会うところから始まる。彼女はボサボサ髪で目を隠し、授業中も寝てばかり。起きているときも学校のほかの女子とツルんだりせず、授業中に突然大声で爆笑し始めるなどの奇行を繰り返す。しかし椿くんは、放課後まで教室で寝こけていた卜部さんの寝起き顔を見た瞬間に恋に落ちる。そして、机に残されていた彼女のよだれを思わずなめてしまったことで、ときどき彼女のよだれをなめないと禁断症状に見舞われるようになってしまったのである……。
■「謎の彼女X」1巻~ 植芝理一 講談社
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■彼女である卜部さんの「よだれ」を舐めるのが主人公・椿くんの日課。ある意味すごくディープな関係。でも……やっぱりキスはダメ(「奥さまは魔法少女」風)(第1巻87ページ)
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といったわけで椿くんと卜部さんは知り合い、やがてつき合い始めるようになる。この作品ではその恋愛模様を描いていくのだが、その交際の様子はとてもヘン。卜部さんはキスは断固として拒否する。抱き締めたりしようとすると、スカートの中に仕込んだハサミを取り出して、周囲のものをめったやたらと切り刻む攻撃に出る。
その代わり、卜部さんは帰り際に毎日、ちょっとだけ彼女のよだれを椿くんに舐めさせてくれる。その様子がなんだかものすごくエロっぽい。卜部さんが口をくちゅくちゅさせて指を咥え、甘いよだれのついた指をつきだしてくる。そして椿くんはちょっととまどいながらも、顔を赤らめつつその指を口に含む。別に直接的なエッチをしているわけじゃないんだけど、なぜかエッチ以上に気恥ずかしくて、甘ったるくてソソられる。
卜部さんは普段はいかにも暗そうな外見で目立たないが、女の子っぽいところも見せるときはある。椿くんの愛情を感じると顔を赤らめ、うれしそうな顔を見せたりもする。普段がいかにも不思議っぽい娘であるだけに、たまに見せるはにかんだ表情がなんだか激萌えなのだ。恥ずかしがると、口からよだれをあふれさせたり、鼻血を出したり。そんな唐突なリアクションにも、なんだか胸がキュンとさせられてしまう。
作者の植芝理一は「エッチはしないんだけどエロい」という表現に、並々ならぬこだわりを見せている。実際これは読んでみると分かるんだけど、肌の露出があるわけではないのに、本作は実にエロチックで、下手なエロ漫画よりもよっぽどドキドキさせられる。「イケナイこと」をしているような、甘いトキメキが充満しているのである。興味を持たれた方はぜひ単行本をゲットして、その不思議感覚をタイケンしていただきたい。
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