中国のある企業が最近、採用条件に“特定の星座”を盛り込んでいたことがわかり、物議を醸している。企業の責任者は過去の経験をもとに星座が必要と考えているというが、ネットユーザーの大半は、こうした馬鹿げた採用条件に反発しているようだ。
中国紙楚天都市報などによると、この採用条件が確認されたのは湖北省の武漢市でのこと。教育関連企業が中国地質大学のキャンパス内に掲げた求人広告には、英語教師と事務員の募集要項が記されており、採用条件として「おとめ座とさそり座の方は不可。やぎ座、てんびん座、うお座の方を優先します」と記されていた。
この企業の責任者である夏さんの説明によると、「さそり座は個性が強く、感情の起伏が激しいので不可」「おとめ座は他人のあら探しをしてひとつの仕事に長くとどまれないので不可」とのこと。そこで地元メディアが「星座を採用条件に入れるのはおかしいのでは?」と夏さんにたずねると、「私は実際に(さそり座とおとめ座の)人材を採用したことがあるんです。彼らはほかのスタッフと衝突してばかりいました」と、自身の考えに絶対の自信を持っている様子だったという。そして最後は「例外はない!」とまで言い切ったそうだ。
また、2か月ほど前には、同地のブライダル関連企業の面接を受けた女性が、やはり星座が原因で不採用となったケースも。彼女は面接官から「ブライダルはロマンチックなもの。みずがめ座もしくはさそり座の人が好ましいのです」として、かに座の彼女はあっさり断られたという。
もちろん、これは企業側が不採用のための“口実”として星座を口にした可能性もあるが、落とされた当人からすれば納得いかないところ。彼女は「星座と私の能力は関係ないでしょ!」と、企業の対応に怒りが収まらなかったそうだ。多くの中国人も意見は同じのようで、あるポータルサイトのアンケートでは約80%の人が星座を採用条件に入れることに反対している。
この件について華中師範大学心理学院博士は「星座と性格の関連性には科学的根拠が欠ける」とし、企業側を批判。こうした企業の星座に対する考え方は「先入観にとらわれ過ぎている」と断じている。また、法律の専門家である漢口学院法学院の副院長も「星座によって人材をふるいに欠ける方法は平等ではない」と批判しており、仮に同様のシーンに遭遇した場合、労働監察部門に訴え、こうした採用条件の削除を求めるようアドバイスした。