選手を操作するタイプの野球ゲームしかなかった時代に、監督の視点という新しい要素を取り入れたことで、戦略性に富んだ野球ゲームを実現した「ベストプレープロ野球」(前身はベストナインプロ野球)。競馬ゲームに生産や育成、調教などの概念を取り入れ、熱狂的なファンからの支持を獲得した競馬シミュレーションゲームの草分け的存在「ダービースタリオン」。これらの開発者である、現パリティビット代表取締役の薗部博之氏は、名前でゲームを売ることができる数少ない人気ゲームクリエイターの一人なりよ。
そんな園部氏が手がけた直近の作品が、サッカークラブの監督となって、選手育成やチーム強化を目指すゲームボーイアドバンス用ソフト「
カルチョビット」。ワールドカップが始まる前の5月に発売されたソフトなりが、昨今のグラフィック重視路線に走りがちなサッカーゲームへのアンチテーゼとも言える内容に、発売当初からネットでは「チョコチョコしたキャラが逆に新鮮」「サッカー好きにはたまらない戦略性」と高く評価する声が相次いでいるなりよ。ニンテンドーDS全盛の今、このタイミングでゲームボーイアドバンス用ソフトとして発売するあたりにも、何だか制作者の自信を感じるなりね(笑)。
ヒット作を世に送り出してきた園部氏自身が、「カルチョビット」の魅力はどこなのか。そして、なぜゲームボーイアドバンス用のソフトなのか。そのあたりについて答えているインタビューが毎日新聞に掲載されているなり。日本代表は敗退してしまったなりが、まだまだワールドカップは折り返し地点。サッカー熱が高まって、サッカーゲームをやりたい気分の人も多いと思うので、少しインタビューを覗いておくなりね。
「(W杯フランス大会の頃から)当初はニンテンドウ64向け、途中からゲームボーイアドバンスに変更して、僕を含めて4人でコツコツと作っていました」
「ニンテンドーDSがブレークしたので、乗り換えも考えたのですが、そうなるとゲームの完成が次のW杯になっちゃうんで、まずは世に出そうと思ってドイツ大会前に発売することができました」
「現実に近づけていくことが、リアルになるとは限らないということです。『カルチョビット』だって、2Dキャラがバタバタ動いているだけで、パッとみると全然リアルでないのに、試合を見ているとちゃんとサッカーのプレーをしているように見えてくるんです」
「4年前の長野冬季五輪から、カーリングゲームを作ってみたいと思っています。『氷上のチェス』と呼ばれるようだけに、二手、三手先を読むというところが面白い」
「カルチョビット」の構想がスタートしたのがフランス大会の頃ということは、もうかれこれ8年も前のことなりか。もともと園部氏はサッカーをよく知らなかったため、試合を生で観に行って面白さを研究するなど、コツコツと構想を固めていったようなりよ。それだけ時間をかけてゲーム性を組み立てているので、グラフィックに依存しなくとも、2Dのキャラでも十二分に面白い作品に仕上がっているなりね。
「ウイイレ」を始めとする美しいグラフィックのサッカーゲームも良いなりが、「カルチョビット」も試してみてはいかがなりか?