東北電力役員ポストで甘い汁を吸った自民県議77人 月1会議だけで年200万円超
宮城・福島・青森の県議会は自民党会派が圧倒し、原発を推進。そのベテラン議員が東北電力の役員を兼務してきた。(写真上から、原発の運転状況、女川原発の被災状況、東通原発の災害対策の様子=東北電力HPより) |
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- 東北電役員ポストに自民県議77人
- 「功なり名をとげた」自民県議で役得独占
- 「適任者」の人選は自民議員仲間で持ち回り?
- 役得ゲット議員77人全リスト公開
- 「あの人たちはすべてカネ」
東北電役員ポストに自民県議77人
歴代役員に県議会議員が多いのはなぜだろう――。東北電力(本社仙台市・高橋宏明代表取締役会長)の天下り状況を調べていた筆者はそんな疑問を感じた。
東北電力にも例外なく高給官僚が天下っている。経済産業省(旧商工省・通産省)からは8人。古い順から、中川理一郎・奥田新三・鹿野義夫・宮脇参三・黒田四郎・松田泰・佐々木恭之助・西村雅夫――の各氏だ。それぞれ顧問や取締役、副社長ポストを得ている。略歴は経済産業省のホームページにある。
このほか、旧大蔵省物価庁次長の工藤昭四郎氏が1964年から75年まで取締役だった。時事通信社解説委員長で日銀副総裁を務めた藤原作弥氏は現職の監査役だ。なお初代会長は貿易庁長官を務めた白州次郎氏だが、こちらは国策人事といったほうがいいだろう。
ここまでならいまさら驚くような話でもない。だが東北電力の場合、役員のなかに「宮城県議会議員」「福島県議会議員」「青森県議会議員」の肩書きを持った人物がやたらに目についた。議員の肩書きを持った役員は1~2年といった短期間で頻繁に交替している。数が多すぎてメモを取る手が痛くなるほどだった。
いったい何人くらいの議員が役員になっているのだろうか。1950年代までさかのぼって、くまなく役員名簿を点検し、集計した。その結果が以下のとおりである。【東北電力役員になった県議会議員の数】
青森県議=31人(監査役18人/取締役13人)宮城県議=25人(監査役11人/取締役14人)
福島県議=21人(監査役8人/取締役13人)
合計77人を数えた。ほかに、議員ではないが、福島県副知事が東北電力監査役に就任した例が1件あった。
なお調査は、東北電力の有価証券報告書に記載された役員名簿を点検する方法で行った。過去5年分については金融庁のデータベース「EDINET」、1984年以降は東京都立図書館で利用可能なデータベース「eol」、さらに古いものについては国会図書館に保管されているマイクロフィルムや冊子の資料を使用した。
議員はすべて自民党会派で、ほとんどは議長や副議長、または議長などの経験者だった。77人もの議員を役員として採用している電力会社はほかにない。どんな事情があるのか、興味は深まった。
筆者がまず思い当たったのは、東北3県と東北電力との資本関係だった。地方自治体が電力会社の株を持っていることはよくある。東京都も東電株を持っている。東北電力の場合はどうなのか。
さしあたり最近の有価証券報告書を取り出して大株主の欄をみた。自治体の名前はない。そこで古いものを点検することにした。過去にさかのぼっていくつか調べていくうちに、1953年当時のものに、こんな記載をみつけた。
1 宮城県 3・473%(持株比率)
2 三菱信託銀行 3・439%
3 青森県 3・138%
4 福島県 2・778%
5 大和銀行 2・679%
6 仙台市 1・194%
1953年といえば、51年に東北電力が創業した直後のことである。当時の筆頭株主は3・5%近くもの株式を持つ宮城県だった。青森県と福島両県もそれぞれ3%前後の株式を保有する有力株主とある。
大株主であれば、株を発行する企業に役員を派遣しても不思議ではない。県が株主ということなら、役員に県民の声を託して、企業に意見を言う。あるいは役員の立場で得た企業情報を、県に伝える。そうしたことは、意義あることだろう。東北電力は公益企業だから、県民の声を届けることはなおさら重要だ。
東北電力の有価証券報告書の役員欄に記載された県議会議員の名前。約50年間にわたってほぼ途切れることなく宮城・福島・青森3県の県議会議員の名前がある。 |
宮城県など3県の議員が役員になっているのは、こうした県民の声を届けるためだったのだろうか。筆者は3県の県議会事務局にそれぞれ電話をかけて尋ねることにした。
――東北電力の役員に県議会議員の方が多数なっていますが、どういう趣旨・立場でなったものでしょうか。
1~3日おいて、3県の議会事務局や県の財務関係の部署などから回答があった
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青森県議会議長時代に東北電力取締役のポストを得た鳴海廣道・現青森県黒石市長。鳴海氏によれば議会への報告義務はなし。月1回の取締役会に出て月約20万円の報酬がもらえた。「そういうものかな」と受け取ったという。
東北電力の社史に取締役として写真が掲載された、東北3県の議員。
元衆議院議員太田豊秋氏も”役得”に預かった。
県議会議員出身の取締役は1~2年で頻繁に交替した。赤い部分が県議出身の取締役(東北電力社史より)
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「月1回の会議出席で月収20万円」と元県議
「【Digest】◇「県民の代表」の実態は単なる役得◇「月1回の会議出席で月収20万円」と元県議◇「功なり名をとげた」自民県議で役得独占◇「適任者」の人選は自民議員仲間で持ち回り」
青森、宮城、福島の3県の自民県議77人が、東北電力の役員ポストに就いていた。「のべ」なので同一人物のわたり歩きはあるのだろうが。原発推進の自民党会派内でのもちまわりだったらしい
「宮城・福島・青森3県の県議会議員のべ77人を役員として迎え入れ、月1回の役員会に出席するだけで年200万円超の報酬」「原発を推進してきた自民党会派内のみでの持ち回りポストだった」。
月に一回会議に参加するだけで年200万か…ぶっちゃけ羨ましい
こういうのって誰かが訴えたりしたらどうなるんだろう。
こういうのって贈収賄には当たらないんですかね
>東北電力の有価証券報告書に記載された役員名簿を点検 →記事とは関係ないがMyNewsJapanの仕様が一部変更されているのに気づいた。日経のポリシーとは逆方向。
あまってるなあ。いろいろと。
これの東電版も見てみたい。
http://p.tl/4rKF しかし高値電力全量買取は業者乱立で結局市民の負担に。そして反原発とは無関係。金のかからない政治活動経済基盤 官僚の身分保障 そもそも「政治家に電話して行政に圧力」、とかいうネット住民が山程
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読者コメント
必死になって選挙に勝ち、必死になって政権を取ろうとする訳は、全て権益。それはイコール金。戦後日本の「奇跡的な復興」とはまさに新たな財閥、指導者の仮面をかぶった支配階級作成の軌跡。我々に残っている武器(投票権)を盗られないうちに、しっかりと戦おう。
骨の髄まで腐りきった政治家(屋)たち!どうせ自民党なんてそんなもん。民主党も他党も似たもの同士、どうにかならないか英雄待望論
自治体が株主ということは、電力会社との運命共同体をも意味する由、株価UPの為には脱原発の表明が必須と観ますがね。どうやら泥沼に溺れる方向でしか動きがとれない様子。原発テロを防ぐ方策は議員さん方には有る訳も無し。どうなれば懲りるのでしょうかね?。
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