まったく新しい技術とコンセプトで作り上げられている、近未来のカーオーディオシステム、Clarion『Full Digital Sound』。これに対する期待値が、デリバリーが開始されて約半年が経過した現在も、高まり続けている印象がある。
同システムを搭載するショップ・デモカーの登場が、後を絶たないからである。「まずはこの音をユーザーに聴いてもらいたい」、そう考えるショップが、時間の経過とともに増え続けているのだ。
各店はこれに何を期待しているのか、そして、それらデモカーの音は、ユーザーをワクワクさせるものに仕上がっているのか…。そのあたりを確かめるべく、九州に足を運び2台のデモカーを取材した。1台は、福岡県北九州市の実力店、“Brain Child(ブレインチャイルド)”の「NISSAN・スカイライン」、もう1台は福岡県福岡市の気鋭ショップ、“asu.company(アスカンパニー)”の「HONDA・CR-V」だ。それぞれについての詳細なリポートを、じっくりとお伝えしていく。
■肩肘張らずに楽しめる、爽快な本格Hi-Fiマシン!
まずは、“Brain Child”の「NISSAN・スカイライン」からご紹介していく。
このクルマに関しては特に、そのクールなインストレーションスタイルにもご注目いただきたい。これまで数々のショーカーの製作を手掛け、専門誌の表紙を飾るなどの有名車を多数輩出してきたショップだけに、この先進のシステムを用いても、センスと技術をいかんなく発揮し、見応えある1台に仕上げているからだ。
さて、ルックスは写真でご堪能いただくとして、本文ではコンセプトと実際のサウンドについて解説していきたい。まず搭載システムは以下のとおりだ。純正オーディオをソースユニットとして活用し、そのスピーカー出力を一旦、「オーディオコントロール」社の“ハイ-ローコンバーター”で受け、マルチ出力されている音楽信号をフルレンジの音楽信号に合成し直す。それをフルデジタルサウンドプロセッサー(サウンドプロセッサー/ツィーター/コマンダー)『Z3』(税抜定価:12万5000円)に伝送し、緻密にコントロール。その上で、フルデジタルスピーカー『Z7』(2本1組、税抜価格:8万7000円)+フルデジタルサブウーファー『Z25W』(税抜価格:7万3000円)に送り込む、というスタイルだ。
「スカイライン」の純正オーディオシステムが複雑な構成だったために既製の“ハイ-ローコンバーター”を用いているが、形としては、「純正オーディオ+『Full Digital Sound』」という、同システムを搭載するときの、オーソドックスな仕様となっている。スピーカー以外の純正オーディオを交換することなく、ハイレベルなサウンドシステムを構築できることも『Full Digital Sound』ならではのメリットの1つ。このクルマでも、そのメリットが存分に生かされている、という次第であるのだ。
その上での、このクルマのコンセプトをご紹介しよう。それはズバリ、「分かりやすい予算で、リーズナブルに本格サウンドが得られることをデモすること」。
『Full Digital Sound』では、システムレイアウトがある程度限定される。使用できるスピーカーは、基本的には同システムのものだけだ。であるので、システム合計金額の組み合わせは数パターンしか存在しない。その“分かりやすさ”を前面に押し出していこうとしているのだ。
なお、音的には、“楽しく聴ける”ことを大事にしているという。かしこまって聴くのではなく、ドライブの楽しさを良い音でブーストさせよう、という考え方だ。ソースユニットには、自由な楽しみ方ができることもアピールすべくiPhone等のデジタルデバイスも接続されている。そして見た目もクールに仕上げエンターテインメント性を強く打ち出し、全方位的にそのサウンドコンセプトを具現化している。
で、実際のサウンドはどうだったのかと言うと…。
一聴して、驚いた。エンターテインメント性を打ち出しながらも、音の素性は紛れもなく骨太なHi-Fiサウンド。クセも誇張もなく、ただただ原音が忠実に再現されていたのだ。
かつ、面白みも十二分に感じさせるあたりが心憎いばかり。低音にはパンチ力があり、エネルギー感もある。ノリの良い音楽ではその良さがより生きてきて、軽快に楽しく音楽を聴かせてくれる。なるほど、これを聴いてドライブが楽しくならないはずはないだろう。リスナーの気分を上げる力も十二分に携えている…。
これまで『Full Digital Sound』というと、その先進性と、ポテンシャルから、ついついかしこまって対面しがちだったが、カーオーディオの面白みの本質を、このクルマのサウンドは思い出させてくれた。
『Full Digital Sound』に“難しさ”を感じていた方には特に、この“Brain Child”製作の「スカイライン」の音を聴いていただきたい。分かりやすい予算で、本格サウンドが満喫できる。一聴の価値は高い。お近くの方はぜひお気軽に足を運んでいただきたい。
■『Full Digital Sound』の実力を、あますことなく再現可能!!
続いては、“asu.company”の「HONDA・CR-V」を取り上げたい。
最初に、搭載システムをご紹介しよう。このクルマにおいても、フロント2ウェイ+サブウーファー×1発、という基本形のフルシステムが搭載されている。フルデジタルサウンドプロセッサー(サウンドプロセッサー/ツィーター/コマンダー)『Z3』(税抜定価:12万5000円)+フルデジタルスピーカー『Z7』(2本1組、税抜価格:8万7000円)+フルデジタルサブウーファー『Z25W』(税抜価格:7万3000円)、という構成だ。
製作コンセプトは、「『Full Digital Sound』のポテンシャルを100%引き出し、その魅力を存分に伝えること」である。ドアがカスタムされていて、デモカーとして抜かりなくキャッチーに仕上げられているものの、狙いはあくまでも“音をしっかりと聴かせる”ことにある。ドアのスピーカーはアウターバッフル(スピーカーを内張りパネル面まで立ち上げて、音をロスなく車室内に届けようとするスタイル)で取り付け、“デッドニング”と呼ばれる、ドア内部の音響的コンディションを上げるための加工も十二分に施してある。
ツィーターはAピラーにカスタムインストールし、角度と位置を最適化。トランクに積んだサブウーファーも、容量と強度が適切に計算されたボックスにセットしてある。音にとって良かれと思うことを、すべて取り入れたインストレーションが展開されているのだ。
つまりは、『Full Digital Sound』の音の上限を聴かせられるようになっている。これを気に入ったユーザーは、ここから何かをプラスする、という考え方をする必要はなく、ここから何を削るか、という思考回路でこのクルマと向き合える。安心して商談を進められるのだ。
なお、“asu.company”のオーディオ担当・小嶺さんは、『Full Digital Sound』の最大の利点をこう捉えている。それは、「リーズナブルであること」だ。アナログシステムでここまでのフルシステムを組もうとすると、ある程度高性能なプロセッサーとパワーアンプが必要であり、それだけで多くの予算が取られてしまう。このデモカーと同等の金額でアナログシステムを組もうとするとき、スピーカーにあてがえる予算が限られてしまうのだ。
しかしながら『Full Digital Sound』では、アンプとケーブルに予算を取られない分、結果として、スピーカーに予算を注ぎ込めるという形が成立する。フルシステムを完成させようとしたとき、今もっともリーズナブルにそれを成し遂げられるものが、『Full Digital Sound』というわけなのだ。
さてその音は、どれほどのポテンシャルを秘めているのだろうか…。期待しながら試聴をスタートさせた。
音が出て真っ先に感じた印象は、「サウンドが“リッチ”であること」。低域のパワー感と伸びやかさに、そして高域の余韻の美しさに、豪華さを感じたのである。『Full Digital Sound』の魅力をインパクト強く表現した、ということでもあるのだろう。同システムが高解像度であり、情報量が豊富であることを背景にして、それにきらびやかさを加え、聴き手を引き込むサウンドに仕上げられていたのだ。
もしも、予算が同等のアナログシステムを聴いた後にこれを聴いてしまったら、多くのユーザーの心は、こちらに引き寄せられるに違いない。コンセプトを効果的に表現できている。『Full Digital Sound』のメリットが、すんなりと腑に落ちた。コストパフォーマンスの高さは疑いようもない。
このクルマもまた、ぜひとも聴いていただきたいデモカーの1台だ。余すことなく『Full Digital Sound』の実力を知りたいと思ったら、“asu.company”まで、お気軽にお問い合わせいただきたい。
『Full Digital Sound』搭載のクルマの音を聴けば聴くほど、当システムの合理性を思い知る。予算を効率的に使い、満足度の高いサウンドを手に入れられて、その上で、省重量、省電力、省スペース…。エコカー時代のカーオーディオの決定版ともいえるこの『Full Digital Sound』。今後もじわじわと愛用者が増えていくのは必至だ。カーオーディオに関心を持ちつつ、未だに純正システムのままだという方は、まずはこの音を、ぜひとも1度、ご体験してほしい。
なお、9月24日(土)、25日(日)の2日間にわたって開催される『第2回ハイエンドカーオーディオコンテスト』(会場:静岡県掛川市「つま恋」)内のクラリオン・ブース内で、同システム搭載のデモカーの試聴ができ、さらには発表されたばかりの『フルデジタルサウンドヘッドホン』の試聴も可能だ。同コンテストには、ギャラリーとしての参加もOKなので、お時間があるならば、このチャンスをお聴き逃しなきように。