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第1回社会保障分野サブワーキンググループ及び医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会の合同開催議事録
政策統括官付情報政策担当参事官室
日時
平成24年4月12日10:00~12:00
場所
厚生労働省 専用15・16会議室
出席者
構成員
石川広己構成員
稲垣恵正構成員
岩渕勝好構成員
宇賀克也構成員
大道久構成員
大山永昭構成員
小田利郎構成員
小森直之構成員
金子郁容座長
後藤省二構成員
駒村康平構成員
佐藤慶浩構成員
稲垣恵正構成員
岩渕勝好構成員
宇賀克也構成員
大道久構成員
大山永昭構成員
小田利郎構成員
小森直之構成員
金子郁容座長
後藤省二構成員
駒村康平構成員
佐藤慶浩構成員
鈴木正朝構成員
高橋紘士構成員
寺野彰構成員
冨山雅史構成員
樋口範雄座長
福井トシ子構成員
松本泰構成員
山口育子構成員
高橋紘士構成員
寺野彰構成員
冨山雅史構成員
樋口範雄座長
福井トシ子構成員
松本泰構成員
山口育子構成員
山本隆一構成員
事務局等
西村情報政策担当参事官
西村情報政策担当参事官
議題
1.開会
挨拶
2.議事
(1)医療等分野の個別法の検討について
(2)論点及びフリーディスカッション
(3)今後の検討の進め方について
(4)その他
3.閉会
挨拶
2.議事
(1)医療等分野の個別法の検討について
(2)論点及びフリーディスカッション
(3)今後の検討の進め方について
(4)その他
3.閉会
配布資料
資料1 「社会保障サブワーキンググループ」及び「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」の合同開催について
資料2 「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」関係資料
資料3 医療等分野の個人情報保護関係資料
資料4 医療等分野の個別法の検討にあたっての論点案
資料5 今後の検討の進め方について(案)
議事
- 議事内容
- ○事務局 それでは、定刻になりましたので、「社会保障分野サブワーキンググループ」及び「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」の合同開催(第1回)を開会させていただきます。
構成員の皆様におかれましては、御多忙のところお集まりをいただきまして、誠にありがとうございます。
まず、配付資料の確認をさせていただきたく思います。一番上から議事次第、座席表。
その次からですけれども、資料1「『社会保障分野サブワーキンググループ』及び『医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会』の合同開催について」。
資料2「『行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案』関係資料」。
資料3「医療等分野の個人情報保護関係資料」。
資料4「医療等分野の個別法の検討にあたっての論点案」。
資料5「今後の検討の進め方について(案)」。
そして、机上に参考資料として、医療等分野における個人情報保護関係のガイドライン指針等について、ファイルしたものを置かせていただいております。
以上でございます。資料の未配付など、不備がございましたら、事務局にお伝えいただきますよう、よろしくお願いいたします。
それでは、先に構成員の御紹介をさせていただきます。今回、合同開催ということでございますので、両検討会を合わせまして五十音順で御紹介させていただきます。
まず、日本医師会常任理事の石川構成員。
健康保険組合連合会理事、稲垣構成員。
東北福祉大学教授、岩渕構成員。
東京大学大学院法学政治学研究科教授、宇賀構成員。
社会保険横浜中央病院長、大道構成員。
東京工業大学像情報工学研究施設教授、大山構成員。
日本薬剤師会常務理事、小田構成員。
日本医療法人協会常務理事、小森構成員。
慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授、社会保障分野サブワーキンググループの座長を務めていただいております、金子座長。
三鷹市企画部地域情報化担当部長、後藤構成員。
慶応義塾大学経済学部教授、駒村構成員。
日本ヒューレット・パッカード個人情報保護対策室室長、佐藤構成員。
新潟大学法科大学院教授、鈴木構成員。
国際医療福祉大学大学院教授、日本福祉介護情報学会代表理事、高橋構成員。
本日は欠席との御連絡をいただいておりますが、一橋大学名誉教授の高山構成員。
そして、日本私立医科大学協会副会長、寺野構成員でございます。
日本歯科医師会常務理事、冨山構成員。
東京大学大学院法学政治学教授、医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会の座長を務めていただいております、樋口座長。
日本看護協会常任理事、福井構成員。
セコム株式会社IS研究所基盤技術ディビジョン認証基盤グループグループリーダー、松本構成員。
NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長、山口構成員。
東京大学大学院情報学環准教授、山本構成員。
それでは、開催に当たりまして、本来であれば統括官の方からごあいさつすべきところでございますが、所用により本日欠席ということになりましたので、情報政策担当参事官の西村からごあいさつ申し上げます。
○西村情報政策担当参事官 本日は、お忙しいところ、本検討会合同会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、今日の趣旨につきましては、また後ほど資料で御説明させていただくことになろうかと思っておりますけれども、現在、法案という形で社会保障・税番号制度、いわゆるマイナンバー法案につきましては国会に提出をされているところでございますが、これはいずれも対象となる手続は行政機関の法定手続ということでございまして、医療機関などの間の情報連携は対象となっていないところでございますし、また、医療情報そのものについてはこの情報連携の対象にはなっていないところでございます。
一方、医療などのサービスの充実や質の向上ということを考えますと、医療機関などの関係機関での地域連携、あるいは公衆衛生の向上に資する医学研究などが推進されるような情報連携のための基盤が望まれる状況にあるということでございまして、医療等の分野、こういった一般的に機微性の高いと言われる情報を扱う分野につきましては、個人情報保護法が成立いたしましたときにも、衆参両院における付帯決議で個別法の必要性というものが指摘されていたところでございますけれども、今般、番号制度というような個人の識別性が非常に向上した状況においては、情報提供、情報保護の在り方についても、医療の分野にふさわしい措置を講ずる必要があるというようなことで、現在、政府としても医療等分野における個別法制を平成25年の通常国会の提出を目指すとされているところでございます。
今回は、従来、この関係で御議論いただいてきておりました2つの検討会の合同開催ということで、特に医療等分野の個別法の在り方について御審議をいただきたいということでございます。
なお、医療を含めました社会保障分野の情報化ということにつきましては、省内の統一を図りつつ取り組むということで、この4月から厚生労働省政策統括官の下に情報政策担当参事官室という組織が新設になりました。スタッフも充実をいたしまして、厚生労働省全体を統括しまして、医療等分野を初めとする社会保障分野の情報化政策を大いに進めていこうということででき上がった組織でございます。
当面、本検討会の議題となります医療等分野における個別法が主たるテーマ、仕事になるかなと思っておりますけれども、本検討会の事務局につきましても情報政策担当参事官室が担当させていただきます。
スケジュール的に非常に厳しい状況で、限られた時間とはなりますけれども、先生方、大変お忙しいところと思いますが、医療等分野における情報の利活用と保護の在り方ということで、幅広く御意見をいただければと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。
本日欠席をしておりますけれども、政策統括官の香取、社会保障担当参事官の武田も事務局として参加させていただきます。そして、先ほどごあいさついたしました情報政策担当参事官の西村、政策企画官の須田でございます。そして、情報政策担当参事官室の室長補佐の中安でございます。同じく、室長補佐の野口でございます。最後になりますが、私、先崎と申します。よろしくお願いいたします。
それでは、「社会保障分野サブワーキンググループ」及び「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」の合同開催の1回目ということで、まず、両検討会の座長から一言ずつごあいさつをいただければと思います。まず、金子座長、お願いいたします。
○金子座長 税金とか年金の番号制度については、法案がこれから提出されるということでございます。税金というのは、取られるだけのものなので、国民にとって余りうれしくないですね。年金についても、私は、そろそろ関心がある年齢になってきているんですけれども、社会保障を資金的に支えるのは若い人ですが、若い人は年金をもらうのはずっと先ですから、あまり関心が湧かない。しかし、医療については、若い人も高齢の人も、みなさん関心がありますね。特に、官がつくるシステムというのは、おうおうにして、お金をたくさんかけるけれども、だれも使わないといった場合も多い。番号制度は、医療の部分がとても大事ですし、みながたくさん使うシステムにしたいと思います。
もう1つだけ述べますと、岩手県と医療システムの復興について話をしていますが、東日本大震災で大船渡市をはじめ、沿岸部の方々の個人情報がたくさん流れてしまいました。遠野市を中心に周産期支援のネットワークというのが動いておりまして、大船渡も参加しています。そのネット上に情報があったので、妊婦さんに関しては事なきを得ました。その情報をだれが見られるかなどの問題は、震災時に個人認証ができるかなど、我々がこの検討会で考えることになるのでしょうが、ネットワーク上に個人情報があることの重要性を示すできごとでした。どにかく、誰も使わない仕組みではなく、使いやすい、みんなに喜ばれるようなシステムをつくることをやりたいなと思っています。既に4回も会議日を設定していることから事務局の意気込みもうかがえますので、期待しております。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。続きまして、樋口座長、ごあいさつをお願いいたします。
○樋口座長 樋口です。今日は、多分、私が司会役みたいなことになると思うんですね。そうすると、司会役は黙っていないといけないので、私自身は司会ではなくて、そちらに座って構成員の一人として発言させていただくと、たまにいいことをしゃべると自分で評価できる場合があるのに、それができないので、初めのあいさつとしては異例ですけれども、2点だけ。
2点だけと言いながらあれですが、まず1つは、私自身はこうやって見たところは健康に見えるかしれませんが、いろいろな病気を抱えていて、医療のおかげで生きていられるんですね。それは何のために話しているかというと、こうやって司会役をとりあえず仰せつかってはいますけれども、もう明日は倒れるかもしれない。それは、人間みんな万事同じなんですが、蓋然性が人より少し高い。そういうときには、勿論、ここで言うまでもないことですが、横の金子先生とか、今までもずっとお世話になってきた山本さんとか、大山先生とか、いろいろな人に代わってもらったり、助けていただいてということを私は思っております。
それから、今回、司会役になっているのは、さっき西村さんからの話もありましたけれども、医療に関する特別法を何らかの形でつくらなければいけないのではないかという話で、そうすると、法学部の人が司会役をやったらいいのではないかという誤解だと思います。ただ、ここには鈴木さんと宇賀さんと、本当の法律の専門家もいるので、そういう意味でも安心かなと思っているのです。これが1点です。
2つ目は、今日第1回のこの検討会に皆さんに思いのたけをしゃべってもらおうと。だから、自分にチャンスがないから、今、思いのたけをしゃべっているわけですけれども、ともかく、第一に確認すべきことは、さっき西村参事官からの話でもうわかっているようなものなんだけれども、一体この検討会は今回何のために我々は集まって一生懸命衆知を集めることにしたのかということの確認ですよね。その上で衆知を集めて、それに少しでも中身を与えて、一歩でも二歩でも話をいい方に持っていきたいということだと思うんですけれども、その関連で、私だけではないと思いますけれども、高齢社会、あるいは超高齢社会を迎えていろいろな問題がはっきり世の中に出ていて、それが情報との関係で問題になっているのが幾つもありますね。
思いつくまま3つ。例えば、今回は年金ではないとは思いますけれども、関連もあるというわけですよね。年金をもらいたいために、特に親族が亡くなっても届けないでとにかくずっと置いておいて年金をもらい続けるなんていうことが、そんなにいっぱいあっては困るけれども、実際に起きているんですね。
それから、もっと同じようにひどいのは、いわゆる孤立死ですね。結局、だれもわからなかったという話で終わってしまう。独居老人というのはどんどん増えていくわけですから、そういう中で情報を遮断しているだけで本当にいいのだろうか。
3つ目は、私が医事法という授業を教えているものですから、去年出した試験問題ですが、皆さんに答えていただく必要はないので大丈夫ですけれども、ちょっと長い問題をつくったんです。今日との話の関連で言うと、あるお医者さんが臨床試験をやることにしました。私は自分でやったことがないから、結局のところ、50人程度でいいのかどうかもわからないけれども、とにかく被験者を50人集めて、ちゃんとインフォームドコンセントで、こういうような副作用もあるかもしれないという、ある薬だとしますね。そうしましたら、1人だけ思った以上に副作用が強いんです。もう私は途中でやめたい。これは勿論やめる自由はあるんですけれども、その人は何て言ったかというと、すごく怒ってしまって、こんなつもりではなかったんだと。それはおかしい。今までのこの臨床試験に参加したこと自体を悔やんでいるので、私が参加したことを含めて、一切全部とにかくなしにしてくれということを言う。お医者さんはどうしたらいいか。
この主張を仮に認めると、あとの49人はうまく薬が効いたという話になると、これは結果として100%うまくいきましたという臨床試験になるんですよね。それはやはりあり得ない話なので、それをどういう形で法律論として考えていったらいいかというような問題をつくったこともある。
しかし、個人情報保護法というものを考えると、患者がそう言ってきたときに、実際に困っているお医者さんはいるんですね。私が空想で考えているだけではなくて。だから、これからの一番難しい問題は、医療に関する情報というのが言うまでもなくなかなか重要で、いわゆる機微情報、センシティブ情報だということになって、それによって差別が起きたり、何だりということもあり得るわけですよね。
アメリカなんかでは、これは遺伝情報ですけれども、情報について2008年に既に連邦法ができていて、保険とか雇用で差別をしてはいけないというような差別の禁止みたいなことがあるので、日本だって同じような差別が起こらないとは限らないわけですよね。病気の種類によっては当然。
だから、そういうような情報なので保護はしないといけないんですけれども、これからさっき言った高齢社会、あるいは日本医師会の会長も言っていましたが、地域医療の中での連携みたいなことを考えていくときには、やはり情報の利活用ということもやってくれないと、助からない人もいっぱい出てくる。そのバランスをどういうふうにとったらいいかということで、お知恵をかしていただきたいという会議だと思うんですね。
個人情報保護法は本当はそういう趣旨ではなかったと思うんですけれども、やはりいろいろ問題があるということだけは私も確かだと思っているので、後で説明があると思いますが、資料1には、「情報の利活用と保護に関する法制の整備を目指す」と。「保護と利活用」ではない。この順番にはやはり意味があると私は思っているので、情報の利活用と、それから勿論保護に関する法制の整備を目指すというので、それが実際にどう具体化できるかという方向性を皆さんに定めていただけると、本当にありがたいと思っております。
本当に長広舌になりましたけれども、ここまでにいたします。よろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございました。
それでは、以降の議事につきましては、既に樋口先生からお話しいただきましたが、両検討会の構成員でもあります樋口座長に議論の進行をお願いしたいと思います。適宜、御意見も述べていただければと思いますので、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○事務局 それでは、ここからの議事につきましては、樋口座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○樋口座長 それでは、本日の検討ということですが、まず、急に今立ち上がったわけでもなくて、皆さん、今までいろいろな形で、ワーキンググループであれ、検討会にも出てきておられることもあり、それから共通番号制度のことも御存じの人が多いとは思いますけれども、まずこの経緯をもう一回振り返って復習をするところから始めて、その次へ行こうということにしたいと思います。
それで、事務局資料を基に、ここまでという御説明を伺いたいと思います。お願いいたします。
○事務局 それでは、まず議題の1つ目でございますけれども、医療等分野の個別法の検討につきまして、資料1から3まで御説明いたします。
まず、資料1「『社会保障分野サブワーキンググループ』及び『医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会』の合同開催について」でございます。まず、合同開催の趣旨についてですけれども、現在、既に御案内かと思いますが、政府において社会保障・税番号制度が検討されておりまして、現在、国会にマイナンバー法案が提出されておりますが、その法案におきましては、行政機関における法定の手続というものを対象としておりまして、医療機関等の間の情報連携といったものは対象とされていないところでございます。
他方で、医療等のサービスの質の向上でありますとか、充実のためには、医療機関等の関係機関の地域連携でありますとか、公衆衛生・医療水準の向上のための医学研究などが推進されることが期待されておりまして、そういったことのためには相当の長期にわたりまして個人を識別する基盤というものが望まれているところでございます。
一方で、医療等の分野については、一般的に機微性の高い情報を扱いますので、番号制度の下で極度に個人の識別性が向上するという状況下において、個人情報保護の在り方についても検討が必要であろうということでございます。
このため、医療等の分野につきましては、厳格な情報保護の措置を図るとともに、その利活用を適切に行うというための法制について、個人情報保護法を受けた形で特段の措置ということで検討して、その利活用と保護に関する法制の検討を行っていただくということがこの合同開催の趣旨でございます。
次に、スケジュールでございます。現在、マイナンバー法案が通常国会に提出されておりまして、医療等分野の個別法につきましてはこの4月から検討を開始し、25年通常国会への提出を目指すということとされております。
次に、検討体制です。まず、「医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会」におきましては、個人情報保護法が成立した後に、衆参両院の付帯決議も踏まえまして、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」を策定いただいております。
また、おめくりいただきまして、社会保障分野サブワーキンググループにおきましては、今のマイナンバー法案の基本的な考え方をまとめております社会保障・税番号大綱におきまして、医療等分野の個別法の検討を行うということとされておりますので、この個別法の検討については両検討会の合同開催によりまして検討を行うということで、よろしくお願いしたいと思います。
なお、個別法を踏まえて、また医療等の現場に即した執行の指針というものが必要であろうかと思いますが、これは別の検討会でございますけれども、同じく厚生労働省の政策統括官の下に設置しております医療情報ネットワーク基盤検討会におきまして検討いただくということを考えております。
以降、開催要領をつけさせていただいておりますが、説明は省略させていただきます。
続きまして、資料2でございます。マイナンバー法案、正式名称は「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」の関係資料でございます。
まず、資料2-1でございます。「社会保障・税番号制度の概要」とありますけれども、マイナンバー法案の概要につきまして、簡単に御説明をしたいと思います。
まず、趣旨でございます。マイナンバー法により、より公平な社会保障制度の基盤となる社会保障・税番号制度を導入するということでございまして、これによりまして、国民の給付と負担の公平性、明確性を確保するとともに、国民の利便性の更なる向上、更には行政の効率化・スリム化に資する効果が期待できるということとされております。
以下、法案のポイントでございます。まず、個人番号、これがマイナンバーと呼ばれるものでございますが、市町村長が住民票コードを変換してマイナンバーを定めるということとされておりまして、その利用範囲は法律に規定されているという状況でございます。
具体的には、利用範囲は1というところでございますが、国・地方の機関での社会保障の事務、国税・地方税の賦課徴収及び防災等に係る事務での利用、そしてその事務に係る申請・届出に必要な範囲での利用、そして3つ目ですが、災害時の金融機関での利用ということに限定をされているということで、その法に規定する場合を除きまして、行政機関などがマイナンバーの提供を求めるということは禁止されているところでございます。
次に、個人情報保護でございますけれども、マイナンバーにひもづいた個人情報、これを特定個人情報と言っておりますが、特定個人情報の収集・保管、そのファイルの作成というのを法に規定するものを除きまして禁止しているというところでございます。そして、その特定個人情報の提供は、法に定める情報提供ネットワークシステムと新たに設ける仕組みを利用したものを除きまして、原則として第三者に提供することは禁止しております。
更に、国民が自らの情報の提供等の記録について確認できる仕組みとしまして、マイ・ポータルという仕組みの導入でありますとか、特定個人情報を保有する機関に対する情報保護評価の実施、また、適正な取扱いを監視する第三者機関であります個人番号情報保護委員会の設置、そして罰則の強化でありますとか、そういった個人情報保護に係る措置を講じているというところでございます。
そのほか、法人番号でございますけれども、法人等に対しても国税庁の方が法人番号を通知するということ。また、個人番号カードでございますけれども、市町村が住民からの申請があった場合に顔写真付きのカードを交付するということとされております。
おめくりいただきまして、マイナンバーの主な利用範囲でございます。社会保障、税、防災の事務に利用するということで、特に社会保障分野につきましては、年金で言いますと、その年金の資格取得であるとか、資格確認、または給付を受けるときに利用するでありますとか、労働の分野でいきますと、同じく雇用保険等においての資格確認、資格取得、また給付を受ける際に利用するということとされております。
福祉・医療・その他分野ということで書いておりますが、医療については、医療保険者における保険料徴収などの手続についてはマイナンバーを利用するということができるとされております。福祉分野につきましては、福祉の各手当の受給でありますとか、生活保護の実施に当たって利用されるということとされておりますが、既に御説明しましたとおり、医療機関などの情報連携といったものは対象とされていないところでございます。
おめくりいただきまして、資料2-2でございます。施行に向けたロードマップでございます。左上、赤いところでございますけれども、現在国会にマイナンバー法案とその整備法案が提出されておりまして、御議論いただいた上で、2015年から順次マイナンバーの利用開始、2016年からその関係機関の間での情報提供ネットワークシステムを利用した情報連携でありますとか、個人がその情報を確認するマイ・ポータルの運用開始ということで、施行までの準備を目指しているところでございます。
医療分野の取扱いにつきましては、左側の真ん中の少し上のところでございますが、医療等分野の機微性の高い個人情報についての特段の措置を検討とされておりまして、2013年、平成25年の通常国会に特別法案を提出するということで記載されております。
おめくりいただきまして、資料2-3でございますが、医療等分野の個別法の検討について、社会保障・税番号大綱というものが昨年の6月に政府与党社会保障改革検討本部で決定されておりますが、その中で情報の機微性に応じた特段の措置ということで、個人情報保護法の成立の際にも、特にプライバシーの侵害につながる危険性が高いとして、医療分野等の個別法を検討するということが衆参両院での付帯決議で明確に示されております。
今般の番号制度の導入に当たりまして、医療分野等においても番号制度の利便性を高め、国民に安心して利活用してもらうために、機微性の高い情報ということで、情報の機微性に着目した特段の措置を番号法と併せて整備するということとされております。
おめくりいただきまして、資料2-4でございます。この社会保障・税番号大綱におきまして、具体的に医療等の分野においてどういった形で番号制度を活用できるかということについても記載がされております。今回のマイナンバー法案なりの検討に当たっては、社会保障サブワーキンググループの作業班におきましてもいろいろ御検討をいただいておりましたが、こういったものを参考にしながら、今般の法案の対象になっているものもございますし、今後の検討を行うものについても検討をするということだと思いますが、今回のマイナンバー法案の対象となっているものについては、まずは所得証明書なりの添付が必要とされているものについて、その添付が省略できるということで、高額療養費等の決定の手続でありますとか、高額医療・高額介護合算制度の手続について規定されております。
また、異なる制度間の給付調整に関するものとしましては、同じく高額医療・高額介護合算制度における保険者等の間の給付調整でありますとか、傷病手当金と障害厚生年金等の給付の調整といったものにマイナンバーを用いるということが規定されております。
一方で、医療等分野の今回の個別法の検討を踏まえて、今後検討を行うというものについては、医療機関における保険資格の確認ということで、オンラインでの資格確認によりまして、レセプトへの資格情報の転記ミスの防止でありますとか、異動情報の的確な確認といったことを行うことによりまして、医療費の過誤調整事務についての効率化が図られるのではないか。
また、質の向上に資するものとしまして、継続的に健診情報でありますとか、予防接種の履歴が確認できるでありますとか、乳幼児健診の履歴等を参考にしながら、例えば児童虐待等の早期発見にも使えるのではないかとか、難病等の医学研究、そして地域がん登録における患者の予後の追跡調査、また、介護におきましても介護保険の被保険者が市町村を異動した場合の認定状況でありますとか、介護情報の確認でありますとか、閲覧、そして医療機関と行政機関の間での情報連携といったものでありますとか、保険証機能の一元化といったことが記載されているところでございまして、こういった医療等の分野における医療情報の一層の利活用といったものについて検討するということとされております。
資料2については以上でございますが、資料3についてでございます。これまでの経緯ということで、医療等分野の個人情報保護の関係資料ということで簡単にまとめております。
資料3-1でございます。個人情報保護法が求める分野別の措置としまして、法の第6条でございますけれども、法制上の措置等ということで、個人情報の性質及び利用方法に鑑みまして、特に適正な取扱いが必要だというものについては、必要な法制上の措置、その他の措置を講ずるということが個人情報保護法に規定をされておりまして、今般の個別法につきましては、これを受けた形での検討ということになるのではなかろうかと考えております。
資料3-2でございます。既に説明の中でも触れておりますけれども、付帯決議でございまして、衆議院・参議院の付帯決議におきまして、医療分野についても個別法について検討する必要があるということで指摘がされておりまして、特に参議院の付帯決議におきましては、研究・開発・利用などを含めてということで指摘がされているところでございます。
続きまして、資料3-3でございます。個人情報保護に関する基本方針ということで、個人情報保護法を受けまして政府において決定したものでございますが、その中で国が講ずべき個人情報の保護のための措置ということで、格別の措置を講ずべき分野として医療というものが指摘されております。
そして、資料3-4でございます。医療機関等における個人情報保護に係る当面の取組みについてということで、これは平成16年に医療機関等における個人情報保護のあり方に関する検討会でとりまとめていただいたものでございますが、個人情報保護法の全面施行に際しましての医療機関等における当面の取組方針についてまとめていただいております。
詳細の説明は省略させていただきますが、特に個人情報保護法の対象になっていない小規模事業者でありますとか、死者の情報の取扱いを含めて、ガイドラインによりまして個人情報の的確な取扱いを図るということとされたものでございます。
こういった番号制度の状況でございますとか、経緯も踏まえまして、今般の個別法の検討につきましては、その番号制度の下での一層の情報の利活用といったことを念頭に置きまして、樋口座長の方からも御説明がありましたけれども、利活用と保護ということの法制の検討をいただければということで考えております。
資料の説明は以上でございます。
○樋口座長 ありがとうございました。今日の議事は、(1)、(2)とありますね。「医療等分野」で「等」というところが入っているのは非常に重要だと思いますけれども、「個別法の検討について」ということが大きな枠で、それで論点及びフリーディスカッションですが、その中で2つに分けられていて、ここまでの資料3までの説明は来し方、今まではまずこうだったよということを確認するという段階です。この後で、どういうふうな論点を話し合っていったらいいかという話に移りますので、そこの前に、今この資料3までの説明の中でもう一回確認しておきたいこととか、コメントをしておきたいことがありましたら、どうぞ御遠慮なくお話しください。高橋さん、どうぞ。
○高橋構成員 冒頭から質問するテーマかどうかわかりませんが、まず、座長がちょうどおっしゃったので、「等」というのが私は大変気になるのであります。要するに、「医療等」と「医療機関等」という言葉遣いがある意味では入り乱れていて、しかも、もう一つ気になりますのは、要するに厚生労働省的な政策の地域包括ケアという議論が実はあって、医療機関等で想定するのは多分医療従事者というところまでの範囲だというふうに読めるんですが、「医療等」になると、当然、介護、これにかかわる福祉生活援助サービスまで入ってくる。そうなった途端に、大変ややこしいことが多分起こるはずです。
個人情報保護のガイドラインのときは医療とか介護を合わせてやって、福祉については社会・援護局がやって、あれはたしか独自に庁内作業でやったというふうに聞いていますが、2つできているんですが、あのときから考えると、明らかに医療・介護・福祉の連携度が非常に増してきているので、是非「等」の意味をあらかじめどういう範囲でどう考えているのかということをお示しいただかないと、私は介護・福祉が専門なので、そういう立場で議論するし、もう一方はコミュニティーケア論が専門ですから、一医療機関なり、事業体内の情報保護の話と同時に、明らかにコミュニティーの中で当然医療、まさに樋口座長が重要な論点をおっしゃっていた孤立死の問題で、私も最近ある新聞に書きましたけれども、孤立死の問題はまさに個人情報保護の話なんですよね。個人情報保護法は、やらない口実に使われているというのが私の解釈ですが、そういうことを含めた「等」の意味を差し当たり出発点としてお聞かせいただきたいと思います。
○樋口座長 ありがとうございました。それは、本当は今後の論点のところにかかっているんですけれども、私のこういう切り分けなんて無視してもらって全然構わないんです。何をやるのかということを確認するのは本当に大事なことなので、これはまず事務局の方からどういうお考えかを説明してください。
○西村情報政策担当参事官 最初に大変ポイントとなる点を御指摘いただきまして、本当にありがとうございます。
私どもとしては、この「医療等」の「等」には介護が入るものと思っております。ただ、これまでの番号法の議論、マイナンバー法の議論の中で特別の措置を講じるべきとされていたものが主に医療を念頭に置いていたということと、これまで個人情報保護法をつくったときに特別措置を講じるべきとされていたのは、やはり医療を主にしていたということもあり、当面、医療をイメージしながら議論を進めていただいて、そして介護においてはどういうふうに違う点があり、あるいは共通する点があるかということで議論をいただくのかなと思っております。
前回の個人情報保護に関する検討会のときも、今、高橋先生がおっしゃったように、やはり医療の議論が先行して、その後、介護における適用も考えたということであったかと思いますので、今回は既にある検討会のメンバーの先生方に御参加いただいて議論を始めておりまして、まず議論の順番としては、やはり医療の関係をしていただいた後、介護についてもどういうふうに適用されていくかというようなことで考えていただくのかなと思っております。
ただ、この検討会は、後ほどスケジュールについても御相談させていただきますが、法律の条文をつくるところまでこの検討会でやっていただこうというふうには思っていませんで、夏ぐらいまでに基本的な考え方について御議論いただければと思っております。夏以降、また、実際の法律をつくっていく作業においては、審議会のような場で御議論いただくことになろうかと思っておりまして、今回のメンバーはどうしても医療が中心になっておりますので、その場合には介護の関係の方についてももっと御意見を聞けるような体制にするというようなことで進めていくのかなと思っておりますが、いかがでございましょうか。
○樋口座長 よろしいですか。どうぞ。
○高橋構成員 これは後半の方の議論とも絡みますが、医療といっても、実は急性期医療の話とロングタームケアで話が全く違うんですよね。個人情報保護の場合は本人許諾の議論が必ず出てくるんですが、ロングタームケアの場合は本人許諾になじまない。しかも、成年後見制度ではうまくカバーできない世界が物すごくあって、しかもWHOが人口の1%認知症になるというのをつい最近出したばかりですから、急性期医療はある種のルールが多分つくりやすいんだと思っているわけです。専門職の情報取得という議論でかけられますが、ロングタームケアの場合はそこに行政が絡みますし、とりわけ介護保険はそうですが、それが絡み、しかも社会福祉士等はそういう専門職の情報守秘義務がありますが、その辺がグレーゾーンの世界が物すごくあり、しかも許諾を取るとなった途端に、急性期医療モデル、治験の話が出ましたが、そのモデルは適用できない情報保護の問題、しかも利活用に関する要求は非常に強い。そこら辺のことは、医療のロジック、急性期医療、専門医療を前提としたロジックだけでは済まないので、是非そこら辺のことを、本筋の議論に入る前にそういうことを言って申し訳ございませんが、私はちょっと気になっておりますのであえて申し上げます。
○樋口座長 そのほか、どなたでも。ここまでの御説明について何かおありになれば、どうぞ。お願いいたします。石川さん。
○石川構成員 まず、樋口座長先生のお話ですけれども、そのお話を聞いていますと、私は番号の問題で、昨年来、いろいろな政府関係の方々のヒアリングを受けて発言してきたことを思い出さずにはおられません。樋口座長とちょうど向こう側の席で相対するような位置で、これから論議しなければいけないかなというふうに考えるぐらいです。
1つは、私は政府のヒアリングの中で副大臣か何かに聞かれたことが1つありました。これは大変印象的なことだったんですけれども、私は医療の連携だとか、医療のIT化ということについてずっとやっておりまして、そのことをどうも御存じだったようですね。そうしましたら、医療に番号が導入された方が大変いいのではないかというふうな御質問をいただいたわけです。それは、私にとってはそのとおりであるということしか言えないんですね。しかし、現状においては、利便性というもの、あるいは合理性というもの以上に守るべきものが我々にはあって、そこを守るのが今回私たちの仕事だと考えています。
その守るべきものというのは、個人の権利としての個人情報を守るということであって、それは医療従事者、医療の現場の者の共通項として、この議論の中で培ったり、あるいはこれから広めていかなければいけないと考えております。
ただ、私は医療の連携だとか、そういうことに対して否定的ではありませんで、今後の社会においては医療情報をIT化するということがどうしても必要になってくると考えております。ですから、そこは皆さんが安心してそれをやってもいいよというふうなことをできるような形で、我々は検討することが大事だと。
そのために、時間がかなり狭められているので、私はそれでできるのかなということも含めて、大変緊張しております。ですから、そういうことも含めて検討していただければと思います。
○樋口座長 ありがとうございます。向こう側に行かないで、横にいていただきたいと。思っていることにそんなに違いはないという意味です。急に政治家になったような気がしますけれども、それは本当に同じことなので、例えば私の個人情報がどんどんいろいろなところへ流れていったり、べらべらしゃべられたりするのは私だって嫌なので、それはもう当たり前のことですけれども、その上で、国民皆保険制度の下で、それから介護も本当に同じですよね。どこまでが介護で、どこまで医療かというのだって、なかなか難しい話になってきたときに、いろいろな人が私のことを知っていて助けてくれるということも、それはやはり絶対必要なので、それが全部同意原則だけでいくかという話もありますので、もし私が誤解をさせるような発言をしたら、石川先生、ブレーキ役を。実は、ブレーキ役は鈴木さんとか、宇賀さんとか、ほかにもたくさんいますから大丈夫です。
ほかにはいかがですか。どうぞ。
○稲垣構成員 健保連の稲垣でございます。これまでの議論の関係ということでお話しいただきましたので、若干実務的で、別の場での議論になる問題かと思いますが、ちょっと懸念している事項をお話します。これまでサブワーキングとか、その下の作業班で、ユースケースについていろいろ議論され、先ほどもこういうことに使われるということで、御説明いただいておりますが、その前提として情報連携をどうするかということについての議論が我々にはまだ見えていないということで若干不安になっております。
もとより、我々としては保険制度の効率的な運営ということで、この番号制度の必要性は感じているわけですが、例えば情報連携について一つ言われているのは、住民基本台帳の4情報をベースにリンクさせるというお話があります。例えば健保組合ですと、住所管理というのは必ずしも徹底してやっていない部分もあります。ですから、移行時にどうするかという話と、継続的にそれをどうフォローしていくかという問題もありますので、ユースケースということで、上辺で非常に効率的になる部分はあるわけが、その下で必死になって汗をかかなければいけないようなことになってもいけないので、情報連携のやり方について別の場でしっかり議論なり、保険者の意見も聞いていただきたいと考えております。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。私は割に大きなことを言うのが大好きなんだけれども、フィージビリティーというんですか、地に足をつけた話がないといけないでしょうということだと思います。寺野さん、どうぞ。
○寺野構成員 私も前に個人情報保護の検討会を樋口先生と一緒にやったことがあるんです。昔の話で忘れてしまいましたけれども。当然のことながら、保護の問題だから非常にネガティブが多くて、余り面白い会議ではなかったのは事実なんです。だけど、すごく役に立ったんだけれども。
ただ、今回、樋口先生がおっしゃる内容というのは、利活用という問題を先に置きたいというようなお話なんですね。要するに、この委員会は、私はしゃんしゃん委員会かと思ったんだけれども、どうもそうでもないのかなという感じがちょっとしてきた。
○樋口座長 波瀾の予感ですね。
○寺野構成員 波瀾の予感。資料2-4ですけれども、これも後で議論することだからどっちでもいいんだけれども、そこにおける利活用的なものの内容が例示してあるんですけれども、こういうものはどこで議論されたのかなということと、今後、この委員会でこれを中心にやっていくのが先に来るのかなということで、そうするとこれは大変だと。要するに、波瀾の予感がするというのがその理由なんですよ。
勿論、保護という点は重要なんだけれども、そっちの方を重視するとすれば、ここの2-4に、下にずらっと並んで7つぐらいのものが例示されているけれども、今後これは相当議論していく必要があるかなと。でも、これは夏までに終わってしまうというんだから、そんなにもできないかな。私たちもそんな暇もないし、しようがないのかなと思いますけれども、そういう観点でこの委員会は見ていていいんですね。つまり、利活用をかなり前面に押し出して。これは今後非常に重要なんですよ。前の委員会のどっちかというと保護のネガティブなあれと違う。かなり先に立つ。
そうすると、一般の社会の人たちもどう見るかということも非常に気になってくる問題もあります。皆さん、聞いていらっしゃると。その位置づけは、今お話を聞いていてちょっとはっきりして進んだ方がいいかなと感じがちょっとしたんですが、それはしようがないのかな、経過次第でいくのかもしれませんね。ちょっと余計なことを申し上げました。
○西村情報政策担当参事官 一言でまとめて申し上げにくいのですが、今、資料の中で、なぜこの医療個別法というものが議論の対象になってきたかということについては、これまでの経緯を御説明させていただいたところでございますけれども、その中では保護の必要性と活用ということと、この両方が常に語られてきたと思っております。
これはまた論点案のところで御説明させていただこうと思っておりましたけれども、情報連携の方策、利活用ということを進めるためには、当然保護が必要ですし、こういった保護法制というものをきちっとすることによって利活用もできる。その両者は表裏一体の関係にあるだろうというふうに、従来から議論されてきたものと認識しております。
先ほども樋口先生がおっしゃっておりましたが、利活用が先に来てというよりも、利活用と保護というのは表裏一体で、保護の措置がなければ利活用できないし、利活用するためには保護の措置が要る。どういうふうにこの両者を組み合わせていくか、あるいはバランスをとっていくかということを御議論いただくということなんだろうと思っております。
ただし、一方的に保護して強化するだけということで使いにくくなってしまう、使えなくなってしまうというようなことを目指しているわけではございませんので、そういう意味で利活用というものと保護というものを2つセットで御議論いただければと、こんなように私どもは考えておりますし、大綱なり、あるいはこれまでの付帯決議から我々が引き継いでいる宿題というのはそういうものではないかというふうに認識しているところでございますが、いかがでございましょうか。
○樋口座長 ここはどう考えても、もう本当に論点に入った方がいいですよね。この後、資料4を使って、事務局の方に事務局の方でどういうことを考えているかということを説明していただいた後、今日は第1回でもありますので、時間が許す限りですけれども、それぞれの方に一言ずつはお願いしたいと思っておりますので、それぞれの思いを、短くですけれども、語っていただければと思います。
それでは、事務局の方で資料4を説明していただけますか。
○西村情報政策担当参事官 それでは、資料4をごらんいただきたいと思います。「医療等分野の個別法の検討にあり方の論点案」ということで、事務局の方でとりあえず整理のために用意をさせていただいたものでございます。今回は、この検討会全体でどういう御議論をいただこうかということで、論点1から論点5まで整理してございます。
論点1は、医療等分野の個別法の必要性ということでございまして、必要性というところに書いてございますように、現在の番号制度、マイナンバー法の中ではこの医療機関等の情報連携は対象とされていないということでございますので、「このため」ということで、情報連携の方策を定めるとともに保護する法制が必要なのではないかということで、情報連携の方策と保護する法制、こういうものが必要なのではないかということで書かせていただいているところでございます。
それから、(2)は個別法により推進されることということで、ある意味でユースケースのようなものでございますが、この個別法によって何がどうよくなるのか、何のために推進するのかということでございます。これについても、これまでいろいろな方がいろいろな視点からおっしゃっているわけでございますが、4点ほどここでは挙げております。
最初は、医療機関等の役割分担と連携を通じた切れ目ないサービスの提供ということで、ある患者さんを念頭に置いて、切れ目ないサービスを提供する、こういったような体制づくりというようなことでございます。
2は、公衆衛生や医療水準の向上に資する医学研究等の推進ということで、これはデータとして活用する部分ということでございます。どちらかというと、匿名で使われるようなものが多いかと思いますけれども、データとして処理するものが中心になろうかと思います。
3は、医療保険者がどのようにデータを使っていくかというようなこと。
4は、国民すべてを漏れなくカバーするために、つまり皆保険制度を効果的に運営するために、例えば保険資格の取得・喪失事務の効果的な運営などというようなことが挙げられるかと思います。
この4つの切り口をどのように整合性をとって、この個別法の中で議論を整理していくかということかと思います。それぞれによって、本人同意の必要性とか、あるいは情報の機微性というものも違ってくるという議論はあり得るかと思います。
(3)は措置すべき事項ということで、医療等分野における効率的で安全な情報連携の手段を確立する。一方で、患者等に対するプライバシー保護措置を厳格化するということで、情報連携と保護措置というもの、この2つを掲げております。かつ、医療等サービス提供側が法的リスクに対して萎縮することがないよう措置するということで、法的措置が今までなかったために、どの程度まで情報連携をしたらいいかということについて、十分な自信が持てないというようなことで進まなかったということもあるだろうということでございますので、ここまでやれば使えるんだということをはっきりとさせていくというようなことかと思います。
それから、今日はこの論点1のあたりを特に御議論いただければと考えておりますが、今後御議論いただくものとして、やや具体的になってまいりますが、2ページ目の論点2以降がございます。
論点2は、その中でやや基本的ないし理論的なものでございますけれども、法的枠組みということで、患者などの権利と医療等サービス提供側が負うべき義務というようなこと、あるいは患者などが権利を主張する上で負うべき責務といったような議論でございます。医療等の情報に関する患者等の権利を確保するための環境整備というようなことで、やや基本的な権利と義務といったような議論をさらっておいていただく必要があるのかなということでございます。
それから、論点3は利活用ということでございます。3が利活用の方、それから4と5が主に保護とか、そっちの方になるんだろうと思いますが、論点3の方では利活用をすることを可能にする法的・技術的な仕組みということで、例えば公益目的の場合には本人同意をどのように、場合によっては必要なしにするとか、あるいは簡単なとり方をするというようなことがあり得るかと思います。そのほか、医療等に関する情報の開示の仕方。本人に対する情報提供の在り方。そして、4番目のポツは、医療等分野の効率的で安全な情報連携を可能にするための基盤ということで、今回、マイナンバーの方では情報提供ネットワークシステムというようなものができるわけでございますが、医療等の分野においては情報の機微性が高いということから、医療等分野で閉じた情報提供の基盤をつくるべきだという議論がございます。
こういったような、どういったような仕組みをつくっていくかということも、ここでの議論の対象になろうかと思っております。また、この利用目的のとおり、ちゃんと取得・活用ができたかというようなレビューするような体制というようなこともあろうかと思います。
それから、論点4は罰則ないし免責ということでございます。医療等に関する情報の漏えい等に対する罰則の在り方、一方、規制が厳格化する中で萎縮することがないようにするための措置というようなこと、あるいは公益目的の場合はどう考えるかといったようなことがあろうかと思います。
それから、論点5は、個別法の位置づけ、適用範囲と履行確保ということでございまして、個人情報保護法、そして番号法との関係ということでございます。今般は、医療等特別法ないし個別法という言い方になっておりますので、ある意味で一般法であるところの個人情報保護法ないし番号法との関係はどうなるのかということがございます。
それから、国の行政機関、独立行政法人、地方公共団体は、個人情報保護法においても別の法律になっておりますので、今回、医療という切り口の場合、こういった主体による適用関係の違いをどう考えるかといったことがございます。
それから、学術研究等に対する適用ということで、個人情報保護法におきましては、学術研究については適用除外となっておりますけれども、今回、医療の研究についてはどのように考えるべきかということがございます。
また、個別法の適用範囲ということで、先ほど高橋先生からございましたような、医療等といった場合の「等」には何が入るのかとか、あるいは例えば介護の問題、あるいは死者の情報、あるいは小規模事業者なども含めるかどうかといった適用範囲の問題があろうかと思います。それから、履行確保のための手段ということでございます。
後ろの方になればなるほど具体的になっていくわけでございますが、一通り全体像としてはこういったようなところが御議論の対象になるのではないかということで、御用意させていただきました。
説明は以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。以上の説明を伺った上で、今日はそれぞれ自由に、今の段階での御意見で構いませんのでお願いいたします。冨山さん、どうぞ。
○冨山構成員 これは論点すべてにかかわるところですけれども、資料2-4の部分に、医療等分野における番号制度の活用例というのが出ており、その下の部分に、社会保障・税番号大綱より、医療等分野における個別法の検討を踏まえ今後検討を行うものの抜粋が出ています。その中の医療・介護等のサービスの質の向上等に資するものの7の部分について非常に懸念がございます。ここには、保険証機能を券面に番号を記載した1枚のICカードに一元化して、このICカードの提示により、年金手帳、医療保険証、介護保険証を提示したものとみなすとあります。
まず、この「番号」という言葉ですけれども、いわゆるマイナンバーと番号をイコールととらえてしまうかを、我々日本歯科医師会では危惧しているところです。今までも、税番号と社会保障番号を同一で使用することについて、我々は反対しているところでございます。個人情報の保護という面からして、社会保障の部分は別建てでしていただくと。もしも、やるとしたとしても、年金、いわゆる現金給付の部分までは認めるけれども、医療、介護のいわゆる現物給付については別建てでしていただきたい。余りにもリスクが高いということです。あくまでも、この7の番号イコール、マイナンバーを使うということが事前にありきということになると、我々は非常に危惧するところでございます。
今後、このサブワーキングで、今までもユースケースでいろいろ利活用について検討しております。我々も情報連携をITで進めることについては、歯科医師会では全面的に協力するつもりです。2-4のタイトルが「医療等分野」で、現金給付の部分と現物給付の部分を今後検討されていくなか、気になるところなので、我々のスタンスを御説明させていただきました。
○西村情報政策担当参事官 ちょっと補足的に御説明させていただきます。このページは、社会保障・税番号大綱という政府文章から抜粋したものでございまして、私どもが今回整理したものではございません。
ここの赤の部分は今後検討を行うということで、これは今回の法案にも入っておりませんし、どうするんですかねということが書いてあるということでございますので、この7に書いてあるような、券面に番号を記載したカードに一元化しどうこうするということをやるということが書いてあるわけではございません。こういったようなことがどうだろうかということを検討していくということで、まさにそれをここで御議論いただくということでございますので、ここで言う「番号」というのも、例えばマイナンバーを使ってしまうというようなことが一方であるでしょうし、そうではなくて、例えば保険医療分野に閉じた番号をつくるというのもあるでしょうし、あるいは番号は使わないで、何らかのアイデンティフィケーションのやり方を考えるというやり方もあろうかと思っておりますので、このペーパーはこういうことをやるつもりであるというような趣旨のペーパーではございませんので、冨山先生が今おっしゃったような考え方も含めて御議論をいただければということでございます。
○樋口座長 山口さん、どうぞ。
○山口構成員 COMLの山口でございます。利用者といいますか、患者の立場としての参加はもしかしてこの中で唯一なのかなと思います。先ほどから伺っておりまして、論点を御説明いただけばいただくほど、非常に幅広い内容ではないかなということを改めて感じています。
私たちは、22年前から5万件を超える患者、家族の生の声を聞いてきたNPOですけれども、個人情報に関する患者側の意識は非常に二極化してきている傾向にありまして、とても敏感に反応して個人情報をとらえる方と全く意に介さない方と、とても分かれてしまっているような気がしています。
特に、先ほど治験のお話がありましたが、その治験のデータ自体もどう取り扱われているかということが全く見えない中で、不安にだけ陥っている方も多いのが現状です。実際、個人情報が守られていないというような訴えをしてくる方が、それが本当に個人情報保護法に照らし合わせたときに問題があるのかないのか、それをどこに行けば説明してもらえるのか、あるいはもし個人情報が守られていないとしたら、どこに言っていけばいいのか、そういうことも国民からすると全く見えない問題がまだ現状なのかなというようなことを日々の相談活動から感じさせられています。
その中で、例えば個人情報保護法自体が始まって8年になると思うんですけれども、医療のなかの個人情報保護法について、一般的に私たち市民の立場、患者がわかっているかというと、例えば個人情報の利用目的というものが公開されているということすら知らない方がほとんどですし、例えばそれに対して事前に反対していなければ、黙示による同意をしているんだというようなことも余り知られていないと思います。そんな中で、こういう個別法をもしつくるということになれば、どういう問題があるのかということをもっともっと周知することが大事なことではないかなと感じながら、今説明を聞かせていただいてきました。
特に、資料2-4の具体的な7つの問題点があって、先ほどから「利活用」という言葉がよく使われていますけれども、具体的にメリットということも勿論ですけれども、具体的なデメリットとしてどういうものがあるのか、そういうことを具体的に明らかにした上で考えていく必要があるのかなと思います。そして、どうすれば一般の国民がこういう問題について、今議論されていること自体を知る機会になるのかということを改めて考えないといけないのではないかなと思います。非常に漠然とした意見ですけれども、全体として感じたことを述べさせていただきました。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかに、どうぞ御遠慮なく。私は教室でも当てたりしませんので。鈴木さん、お願いします。
○鈴木構成員 利活用の重要性というのはたびたび指摘されているので、別なアプローチからお話ししたいなと思います。個々のユースケースで現行法が非常に硬直的で、利活用すべきところが十分にされていないという思いは多分一致しているので、そこに対立はないんだろうと思います。
ただ、アプローチの方法として、今日、なぜ過剰反応のような問題が起きるかというと、そもそも論として、すべての業にわたって単一の法律で解決できるということ自体あり得ないと。したがいまして、一般法のみで、特に医療・介護分野において一般民間企業と同じ義務に服するという、この立て付け自体が非常に無理があった。
そもそも、これは個別法という話が立法当初からあったように、尺に合わなかったら個々の分野で個別法をつくってくださいよという流れが当初の設計からあったということですよね。法規制一般は業、現場を萎縮させるという思いが強かったのかどうかわかりませんけれども、むしろ自らルールを決めた方が業務、仕事がスムーズになるということを、この過剰反応を経験してようやくわかったと。だから、法律が現場を萎縮させるのではなくて、むしろ尺に合わない法律の方がより一層副作用が多いということがわかったので、せめて転じて自らルールをつくるべきだということですが、現行の個人情報保護法と論点1にわたる個別法の必要性というところでかかわるところで何が違うかというと、プライバシーという言葉がいよいよ出てきたんですね。一般法のときには時間がなかったので、哲学をやる時間がないねというので、当初から納期に間に合わせるために走ったわけですが、その結果、個人情報とプライバシーの権利にかかる情報との関係性については、深掘りすることなく今日まできている。ただ、個人情報とプライバシー権、情報プライバシーと似ているものですから、日常用語としてはイコールと思う患者さん等が多かったわけですが、法を条文で見ていくとずれているんです。プライバシーの権利にかかる情報と個人情報とが重なり合う領域もあれば、互いに独自領域もそれぞれ持っているという形で、同心円ではなかったというのが結果的にわかってまいりました。
その中で、今回は患者のプライバシーということも含めて、プライバシーという言葉が出てきたということと、もう一点は、情報の機微性という単語が出てまいりました。実は個人情報保護法現行法は特定の個人が識別できるかという定義ですから、そこにはプライバシー性の有無、情報の機微性の有無については、要件上、一切要求されていないものですから、外形的に本人にたどり着くかどうかという情報の価値の重さにかかわらずに法的規律が入るということでしたが、医療の現場では、医師がやるのか、看護師がやるのか、だれがやるのか、どういう情報を扱うのかという掛け算で具体的な状況、コンテクストでルールが形成されなければならないところ、対象情報が特定個人が識別できるかだけで法の適用オン・オフになる、非常に雑駁な法規制でしたから、医療現場ではなかなか実態に合わなかった。
となりますと、一般法と今回アプローチしていく個別法との違いは、情報の価値に着目するというところで大きな転換がある。同じ法体系に入っていいのかくらいまで出てくる話ですが、そこに踏み込むというところと、もう一つは第三者機関が今回マイナンバー法が成立すると出てくる。番号情報保護委員会なるものが出てくるということになりますと、それを前提とする立法政策が可能になりますので、医療現場のベースは確かにインフォームドコンセントがベースになるんですが、先ほど高橋先生からお話がありましたように、ロングタームの医療になってくると、必ずしもインフォームドコンセントでは回らない実態があるとなると、やはりそこには患者個々人の意思表示とはまた別に、社会的コンセンサスで動いていかないとならない領域もあって、そこは何かというのを切り出していったときに、現場の思いだけで走るのはやはり危険なので、そこに第三者機関の事前の判断、事後の監査を入れ込む形で、国民の納得感、患者の納得感を立法化できるのではないかというところがありますので、利活用はむしろ保護に着目した中で見ていくべきだと。
なぜ、保護というかというと、刑法を考えてみて、ここの領域に入ると犯罪になりますよという構成要件がクリアなので、その他の領域は自由に動けるわけです。不法行為法もそうです。ここに入れば損害賠償が出ますよという、禁止区域が比較的クリアなものですから、その他のものは全部自由なんですが、個人情報に関してはわからないんですね。行政裁量の問題が多くて、わからないものですから現場が萎縮する。なぜ守るんですかというところで、個人情報をなぜ守るかというところがクリアではないものですから、特定の個人が識別されなければいいだろうみたいな潜脱行為が利活用の名目で今横行している。ビックデータだなんだといろいろな話が出ていますが、本来は何を保護するのか、保護領域をクリアにしてもらえれば、あとは自由でしょうということになるわけですから、むしろ利活用の促進のためには、保護の実質を考えていくという哲学不在だった法体系に関して、プライバシー権、これもちょっと難物ですけれども、個人の尊重の原理に関する情報の機微性に着目した法体系を目指す中で、必要な利活用を何とか達成していきたいというところでアプローチすればいいのではないかなというのが私の意見です。
○樋口座長 ありがとうございました。その他の方、どうぞ。寺野さん。
○寺野構成員 余り余計なことを言うつもりはないんですが、さっき樋口先生の前の委員会は面白くないなんて、ちょっと失礼な言い方をしたんだけれども、あのころは実際問題、面白くなかったんですよ。個人情報保護法なるもの、そのものが面白い法律ではなくて、実際、医療の世界でもいっぱい情報が漏れて、カルテを捨てちゃったとか、USBをなくしたんだとか、そんな話ばかりあった。その中であったから、当然のことながら、保護、保護という話ばかり出てきて、実際にそういうものがどう活用されるかという議論すらされなかったんですね。でも、今の鈴木先生のお話を聞いていて、確かにそういう点はあるなというところは感じます。そういう観点で、保護と利活用を表裏一体として考えていくというのは私も賛成するんですね。
ただ、個別法をつくるということになると、実際に個人情報保護法との関係というのはどういう形で持っていくのかとか、そういうことはもう法律家の方に考えていただくわけだけど、全く基本的なところから医療でやっていっていいのかという問題がありますよね。ガイドラインのときは下にあるからいいんですけれども、そこら辺が違うのかなと思う。
そうすると、こんなのは夏ごろまでに済ませましょうとか、あるいは夏から以降は医療者を離して法律家で法律をつくりましょうと言われたって、それはちょっと問題ではないかと私は思うんです。
○樋口座長 小森さん、どうぞ。
○小森構成員 医療法人協会から来ました。医療の現実の現場というところも言わなければいけないのかなと思うんですが、論点のこの最後の医療分野の個別検討に当たっては、これからの案の中の論点の2や3に少し書いてあって、環境の整備等々というところがあるんですけれども、実際、医療機関は、まず一つは電子カルテになっている病院というのが全体の何パーセントか御存じなのか、1つはそういう情報を提供していただきたい。皆さんが思われているほど100%に近い状況ではないのに、このマイナンバー制度のカードを持ってこられて、現場がきちっとした対応ができるのか。それが1点です。
実際、システムの統一性がないんですね。おのおのの病院のシステムが、データベースがばらばらですので、例えばAの病院からBの病院にデータを送ることすら現状はできない。他国では国が全部統一して一括して持っている国もあります。日本は各病院がカルテをデータ収集して持っている状況ですので、現実に、例えば今回の震災のように、一病院が失われてしまうと、個人のデータもすべて失ってしまう。将来的にはどこか一括で持っておけば、またそのデータを返していただくようなこともできるんですけれども、その辺の基盤整備も大きな意味ではしていただきたいなと思います。
それと、本当の利用の仕方ですね。先ほど歯科医師会さんの方から出ていましたけれども、そのカードを一元化して持ってこられて、医療の部分だけをちゃんと見られるような方法があるのか。また、逆にそこでもし税制の部分を見てしまったらどうなのか。そういうようなことを現場は考えてしまう。ばかげているかもしれないですけれども、今、電子カルテを開けたら、開けた人間が責任を持って画面を見ている状態で、それを何人もの人間が見るわけです。医師だけではない。当然患者も見ています。看護師も見ています。ちょっと席を離れたらほかの人間も見ています。例えばそのカルテを医事課の人間が開けて見たときに、他人の番号を打ち込んで見ようと思えば見られるんですね。そこを防止するシステムが、多分ほとんどの電子カルテにシステム上ないんです。
そういうことを含めて、今後医療機関の内部でのそういう意味での個人情報の保護の難しさ、我々は相当厳しく言っていますけれども、昔みたいにカルテをコピーして持っていくということは簡単にはできませんけれども、人のカルテの中をのぞくということは、ある意味簡単にできてしまうという恐ろしさがあるので、その辺等も、現場の意見ですけれども、また一つよろしくお願いします。
○樋口座長 ありがとうございます。どうぞ、山本さん、お願いします。
○山本構成員 2点お話をしたいと思います。1点は是非お願いしたい話で、この論点5の議論は多分今日ではないのでしょうけれども、その2つ目の国の行政機関、独立行政法人、地方公共団体、これらは今は従うべき法律及び条例が違うという状態で、現実には非常に大きな弊害が起こっている。
例えば、市立病院と県立病院の間で、珍しい小児疾患の画像をお互いにわからないことを聞き合う、こういったことがしばしばあるので、それは勿論患者さんの了承を得てですけれども、そういったことを行いたいときに、それぞれの個人情報保護委員会に諮って全部許可を得ない限りはできない状態です。これを主治医が全部やらないといけない。これはもう現実には不可能な状況になっていて、とはいえ、わからない情報で診断を進めて治療をしていくというのは、医療で許されるべき話ではないわけですね。そうすると、ではどうすればいいのか、幾つか報告されている先生がいらっしゃいますけれども、本当に御苦労なさって、やっと連携して意見を聞いているという状況がかなり多く起こっているんですね。
ですから、せっかく個別法を検討する以上は、少なくとも今のセクター毎の法令の違いをオーバーライトしていただけるように是非していただきたいというのが、実際に医療情報を扱っている人間からすると、かなり切実なお願いですので、よろしくお願いしたいと思います。
もう1点は、私、ここにいらっしゃる構成員の方々も何人か御協力をいただいて、厚生労働省が集めているレセプト情報を公益目的で利用できるように提供する有識者会議の座長をしていますが、既に数件提供されています。提供の条件は、1つは利用目的に公益性があること、もう一つは適切なデータを要求していること、3つ目はデータが安全に管理されることという、大きく分けるとこの3つの条件で提供をしているわけですけれども、公益性というのはなかなか判断が難しい話で、これからもこの検討会で議論になると思いますけれども、最初はかなり限定をしているので、公益性が問題になるような申出はほとんどありませんでした。それから、データが適切かどうかというのは、若干問題があったんですけれども、これはもともとのレセプトデータをよく御存じない方が申請をしてくるということがあったので、そういうことがありましたが、現実に大きな問題になったのは、3番目のデータを安全に管理できるかというところです。
御承知かもしれませんけれども、厚生労働省が持っているレセプトデータベースは、一定の匿名化がされています。つまり、個人を識別する情報はかなり注意深く取り除かれてはいるのですけれども、医療にかかわる行為のほぼすべてが記録されていますので、組み合わせによっては個人が特定できる可能性はあるということで、これは個人情報でないとは言えないという前提で取り扱っています。勿論、医療機関情報というのはそのまま入っていますので、医療機関を識別することは容易です。
そういった特性があるので、提供する情報はデータベースの情報の一部ですが、、お出しする限りはその情報を安全に管理していただかなければなりません。申出を行った研究者の方は我々は一定の信頼を置いてデータをお渡ししますけれども、そこから情報が盗まれてしまうと、もうどうにもコントロールができなくなる。そういう意味で、情報の安全管理に関してはかなり厳しい条件をつけています。厳しいと言いましても、机上のファイル入っていますが、医療情報システムの安全管理に関するガイドラインとほぼ同じ規制をかけて、なおかつ、実際に提供しているところには監査に行っています。
監査に行くと、どういうことがわかったかというと、さすがに大きな問題なかったのですが、小さな問題は幾つもあった。それで、どうしてもそこを指摘せざるを得ない。指摘して差し上げると、そういうことでしたか、勉強になりましたというふうに感謝はされるのですけれども、この個人情報保護法が施行されて、樋口先生がまとめられたガイドラインができて、その後に情報システムのガイドラインがつくられて、法律が施行されたわけですけれども、では事故がなくなったかというと、そうではないですね。御承知のように、たびたびUSBメモリが紛失したとか、PCが盗まれたみたいな事故があったわけですね。幸いにも、そこから個人情報が悪用されたというケースはほとんどなかった。そういう意味では、個人情報の御本人に対する被害は余りなかったとは思うのですけれども、一つ間違えばそれに至る事故はたくさんあった。これはもう七、八年それをやっているわけですけれども、それでもまだそういう状況で、今回、大学等で研究をされている研究者で、それなりにさまざまな知識をお持ちの方でも、やはりそういう状況なんですね。
これは何が問題だろうと考えているのですけれども、やはり罰則だろうと思います。つまり、正しいことをしていれば何も恐れることはないのですけれども、一つ手を抜けば、これは問題になるんだぞという気持ちが弱いのではないかなという感想を持っています。
それで、罰則についての議論がこれから行われるでしょうけれども、患者さんの情報を利活用するというのは、根底には信頼感がないといけないと思います。その信頼感を担保するものとして、信頼を裏切るようなことをしたら、それが見つかって罰させられるのですよ、その罰は信頼を裏切ったことに比例したものですよということが多分非常に重要だろうと思います。そういう意味では、今の個人情報保護法は罰則が弱いというのは、皆さん、多分一致した見解だろうと思いますので、そういう点を含めて、これから先、議論をしていただければよろしいかと思います。
○樋口座長 ありがとうございます。ほかの方、どうぞ。
○石川構成員 私、ずっとお話を聞いていまして、先ほど、IT化の推進というふうなことで、これは絶対進めなければいけない、反対ではないというお話をしたんですけれども、要するに今お話ししていることは、ITが今の現実の社会の中でかなり利用可能なり、あるいは利用しなければいけないような状況になっているからというふうなことだと思うんですよね。
一つは、アナログでいっていると、本当に本人同意のところも含めて、すっといってしまうようなことを、より大量にデータを処理したりとか、いわゆる大量に管理したりということで、こういうふうなことをどうしてもやらなければいけないというふうになっているんだと考えます。
私は、内閣府のいろいろな会議、ITの会議に出ていまして、例えばシームレスな医療連携は大賛成なんですね。早くやりたいんですね。やりたいんですけれども、いろいろな問題がありまして、例えばIT基盤の問題にしても、個人情報の問題にしても、解決しなければいけない問題はいっぱいあって、1つの大きな問題はこれなんですね。早くやりたいなと思ってはいるんですけれども、プライバシーの問題がだんだん難しくなってきまして、これが意外に簡単ではなくて、相当皆さんの知恵と、それから国民の同意が得られないと、なかなか難しいなと思っております。
もう一つは、では我々は個別法というのを言って大急ぎでつくったら、またすぐ進むのかといったら、そうではなくて、実践の段階で何度も何度も検証をかけないとだめだと思うんですね。危ないと思う。ですから、その後の実践でこういうものを使ったときの検証というのはどういう形でやっていくのか。法律ができたのだったら、法律があとはいろいろと裁判だとか、そういったようなことで検証していくのか、どうなのか。あるいは、監査するところがあるのか、そこら辺までも含めて考えていかないといけないのではないかなと思いました。
○樋口座長 ありがとうございました。ほかの方、どうぞ。松本さん。
○松本構成員 セコムの松本です。私は、社会分野サブWGの委員ですけれども、それ以外に3月まで情報連携基盤WGの委員をやっておりまして、そちらの方の見地から幾つか不安なことがあるという話をさせていただきたいと思います。
まず、特別法とマイナンバー法との関係がやはりわかりづらいなというのを一番感じるところです。特にマイナンバー法が成立されて、成立するかどうかはわかりませんけれども、一番関係がありそうなものは番号カード自身ですね。もう一つは情報連携基盤。
そこで、先ほど健保の稲垣委員がおっしゃっていましたけれども、そもそも現在の情報連携基盤の構想では、住基4情報の住基ネットと同期を前提にしているように見え、これは住基ネットとの関係性が少ない社会保障分野では、番号カードも含め非常に使いづらい仕組みに見えることです。そういったところも含めて、今回のこの検討会の目標は1年後の法案かもしれないのですけれども、実際にマイナンバー法が成立して、いろいろなインフラが先に走ってしまうと、ここで議論しているようなことが実装、実現しにくい状況になる恐れがあると思います。そういうことも含めて、番号カードがどうあるべきであるとか、その裏にある住基ネットとの係わりとか、そういったところの結論を早く出してやらないと、1年後の法案ができる前に、他のことが決まってしまうのではないかと思うのですよね。
そういうことも含めて、この検討会ではマイナンバー法自身とその後の実装がどうなるべきかといったことも議論していかないと、間に合わなくなってしまう可能性がある。だから、1年後の目標ではなくて、実際にマイナンバー法が成立した後どうなるかということも見据えて議論しなければいけないのではないか。そうしないと、まさに健保の稲垣さんが言われているようなことがあって、そこが非常に不安に感じるところです。時間がないですから、論点といってもなかなか難しいのですけれども、このことを非常に懸念しています。
○樋口座長 どうぞ、御遠慮なく。まだ、もう少し時間があります。大道先生、どうぞ。
○大道構成員 問題意識が2点ほど、入り口の段階でございます。既に出ておりますけれども、今後は、医療の枠の中にとどまることなく、先ほど高橋先生がおっしゃいましたけれども、急性期の病院ですら既にもう、老健・特養の介護施設は勿論ですけれども、在宅療養のレベルまで念頭にないと運用できないというのが現場の実情です。
そういう中で、切れ目のない連携体制、これは繰り返し言われたことで、何となく連携が大事ですよという趣旨の枕詞になってしまっていますけれども、現実に個人の情報のやりとりなどの流れは、医療機関、または関係機関の担当者同士が一般的には電話やFAX、場合によってはメールなども使われていますけれども、そういうそれぞれの担当者レベルでのやりとりで何とか連携を成り立たせているというところが実態です。昨年の秋の段階で、担当者相互の連絡というよりは、むしろ地域の中での社会資源、特に医療・介護・福祉、健康資源の総体をそれなりに情報として把握して、かつ住民のニーズとどのようにマッチングさせれば、今後の地域ケアが何とか立ち行くか、こういう地域全体の連携調整をする必要があるというような趣旨の問題提起がなされました。一部自治体ではこれはかなり以前から試みていますが、このような考え方を踏まえた連携調整というのは、これから5年か、10年かの先を見越して取り組む必要があるのではかと。
そういうときに、確かに医療における機微性のある診断名とか、検査結果とかの扱いは深刻な問題ですけれども、現実に日々の療養生活をする上では、どこに住んだらいいのか、受入れ先がどこであって、家族関係は勿論、経済環境や制度の適用など、福祉関連の情報と言ってもいいし、ソーシャルワークと言ってもいいんですけれども、そういう関係の情報が的確に把握されていないとマッチングできないんですね。しかし、ここがまさに今回、この検討の場でどういう方向になるのか、極めて関心があります。
マイナンバー法における扱いの問題が出てきますし、一方で個人情報保護法の中の個別法の問題とのかかわりが改めて提起されているわけですけれども、今私が申し上げている、地域の中での連携調整機能というようなものを、個別の医療機関、または関連機関同士で、昨年の秋の言葉だと、線形型の連携よりもネットワーク型の連携を図る、こういう言い方をされているわけですけれども、連携調整の位置づけ、ないしは役割が個別医療機関から地域の中に出ていくことになれば、だれがやるか大問題です。行政がやるのか、医療関係団体がやるのか。更には個別の医療機関でできるところはやったらいいという議論もあるわけですけれども、いずれにせよ、そこで有効に社会システムとして機能させる上では、ここで言うところのマイナンバーを使った方が有効であるのはわかっているけれど使えないとか、そういう問題を是非一定の方向性を示していただきたい。高齢化の進展で、地域の連携調整の仕組みは数年内にでもこれは機能させないと、どうにもこうにもならなくなるのではないかという危機感は現場にいると多くの関係者は持っています。そういう時期にこの問題が出てきたという意味で、大変重要であると受け止めています。
もう一つだけ申し上げると、今の問題との関連もあるんですが、個人健康データの記録、いわゆるパーソナル・ヘルス・レコードの議論が国レベルでも進んでいるわけで、一部自治体では首長の立場で推進しようというような動きもあります。個人の健康データを一元的に把握して、自ら管理することの有用性は昔から言われていることですけれども、今、メディアの発達もあって、かなりリアリティーを持ち始めています。
こういうときに、個人情報の問題とか、あるいはマイナンバー法についてどういうふうな形で位置づけて整理していくのか。一部、外国の事例では、国レベルでPHRに取り組もうという動きすらある中で、自治体レベルでこのような動きがあるときに、この検討の場で議論されることというのはやはりかかわりがあるのではないかという気がいたします。
入り口の段階で、今、2点だけ問題意識を申し上げさせていただきました。ありがとうございました。
○樋口座長 冨山さん。
○冨山構成員 マイナンバーとの関連ですけれども、今後、共通番号が進んでいくと、当然、名寄せで、医療保険、介護、健診データと、1つにまとまりますと、情報の価値というのは極めて高くなるわけです。そこで、実際、共通番号をやっている韓国でもなりすましの被害がかなり出て、国もいろいろ対策をとったという現実があります。
ということは、犯罪はどんな規制をやっても、全てとめるということは不可能なわけで、我々は利便性も重要ですけれども、安全性の担保も最初に必要でして、やはりすべての情報を一括して1つまとめるというのは余りにもリスクがある。万が一漏れたとしても、最低限の被害でとめるようなことを根本的に考える必要があると思いますので、今後、そこの部分は是非御検討いただきたい。
もう1点、山本構成員もおっしゃっていましたけれども、私もレセプトの方の有識者会議に出ていますけれども、今後、レセプト活用等も含めて、自治体や保険者等におきましても、極めて情報の価値が名寄せとかで高くなってきますので、やはり自治体の部分の条例とか、そこの部分につきましても、個別法の絡みで、是非そこの対応も研究していただければありがたいなと思っております。
○樋口座長 どうぞ。
○金子構成員 私は最初にごあいさつしましたので、二回目になりますので短めに意見を言います。皆さん方の意見を聞いていますと、大きな方向では一致しているかと思います。我々に課された問題を全部一遍に解決しようというのは、これは無理な話です。一遍にやるのは無理だから、全然やらないということではなくて、できるところからしっかりやっていこうということが必要だと思います。
それで、「マイ・ポータル」と呼ぶかどうかは知りませんけれども、しっかりとみんながよく使うシステムを作らないと意味がない。国が作るものは大げさなものになって、だれも使わないものになることがある。
というのは、現実的には、共通番号のような機能を果たすものは、便利なものとして、社会にすでにあるからです。実際にグーグルはみんな使っています。今、グーグルのアカウントがある意味では個人認証のパスポートになっているわけですね。よくも悪くもですね。さきほど、震災の話をしましたけれども、震災支援活動で被災者が今、どこにいるのかを知らせることに一番貢献したのは、私はグーグルのパーソンファイダーだと思います。これはアメリカのカトリーヌ台風のときとか、そういう時に使われた実績がある。グーグル社の若い技術者連中たちが夜を徹してソフトをつくったと聞いています。でも、パーソンファイダーが提供する情報は、みんなが見られる形になっていた。個人情報保護はどうしたのという話になりますけれども、特に大きな問題とはならなかった。ああいう緊急時には、個人情報保護はある程度わきに置いて、より緊急性の高いものを進めるということが、いわば、社会的に許されるという常識が働いたのではないかと思います。
そういう意味では、社会常識と我々が思っている、すでにわれわれの社会に存在するある種の信頼性というものをどうやって共通番号システムに移していくかということを考える必要がある。そうでないと、すごいでかいシステムをつくって、それを厚労省が管理するのか、だれが管理するのか、そんなことになってしまう。そういう意味で、われわれが目指すものは、常識的なものであり、その一方で、これだけの社会制度を新たに作るのですから、日本の社会システムの新しい考え方というか、何でもお上に任せればいい、市は県に、県は国に任せるみたいなことではなく、ひとりひとりが自主的に認めるようなシステム改革が必要だと思うんですね。
手短に2点だけ申し上げます。利活用VS個人情報保護という、対立する構図と考えて、どっちを優先させるかではなくて、できるところから始めて、いろいろなところで使ってもらい、同時に社会実験としてそれらをつなぐとともに改善をしていくという余地を残していくんだということだと思います。
それで、先ほど来、石川さんなり、いろいろな方もおっしゃっていましたけれども、例えば病院内の情報というのは、患者や医師/病院の間に信頼関係に基づくある種の合意があって、一々全部書類を作って判子を押さなくてもいい。
それから、小さな自治体は大きな病院がないこともあり、町役場とか市役所が信頼の担保をしているという場合も多くあると思います。そういう社会的資産を無視して、全ての情報を1か所に集めてだれかが権威に基づいて管理するという話ではなくて、そういう自然に成り立っているような常識的なものも、分散的にどうやって集めるのが一番安全であり、有効かという方針が必要だ。それが、多分大きな流れではないかと思います。
そのときのさまざまな技術的なディーテールは、これはやってみないとわからないところはあります。さきほど高橋さんがおっしゃるように、多くの場合は個人情報の保護の観点から個人の同意をとると言っても、高齢者の中には説明を聞いてもわからないという方も大勢いる。
それで、訪問介護のときに、新しい在宅ヘルパーさんが来るたびにまた、「おじいちゃん、どうしたの」と、すでに何回も説明したことをまた、全部,言わないとならない。このようなことをしないで済む仕組みにしないと。それには、やはり小さなところの信頼から始めて、それをどうやってつないでいくかと。そのつなぎについては、さまざまな技術はできていると思います。
国レベルでこんなことを新たに始めるというのは、日本社会で多分これが初めてではないかと思います。いろいろなサブシステムを作って、それらをスケールアウトしていくといったようなアプローチが必要ですね。そういう仕組みを目指して議論をしていけるといいのではないかなと思います。以上です。
○樋口座長 ありがとうございます。ちょっと時間が少なくなってきたので、今まで発言をされていない方を優先してと思っていますが、小田さん、お願いします。
○小田構成員 日本薬剤師会でございます。私も今ずっとお話をお聞きしておりまして、そもそも今まで医療関係というのはアナログが中心になっておりまして、個人情報もアナログを中心とした個人情報保護法であったのですが、最近になりましてITが進んでまいりまして、いわゆるネット上のガイドラインができたり、さまざまな状況があるわけですけれども、その中でこういったマイナンバーの考え方が出てきたということで、これは情報としては多くの情報がとれますから、非常にいいのではないかと思いますけれども、先ほどからお話がありましたような、医療の部分の情報については、やはり税金や納税の情報と同時に介在するということ自体がそもそもおかしいのかなと私は思っております。
もう一つは、例えばカードがあったら、そのカードを個々の国民の方が持っていて、そのカードをそれぞれ医療機関や、福祉施設や、薬局や、いろいろなところで使わないといけないケースになってくるわけですから、そのためにはインフラの整備をどういう形で国家レベルでやっていくかどうかという話も必要ではないかと思いますし、大きな負担がかかるようであれば、大きな医療機関や大きなところであればいいかもしれませんが、個人でやっている小さなクライアントというのは経済的にも厳しいという部分がございますので、その辺も含めてお話をしていただきたいなと思っております。よろしくお願いいたします。
○樋口座長 そのほか。福井さん、お願いします。
○福井構成員 資料2-4の今後検討を行うものの中の下の枠ですが、7つの項目の、「サービスの質の向上等に資するもの」の書き方は、すべて医療サービスを提供する側から見た書き方になっていると思います。ロードマップを見ると、国民対話で法案提出時からリレーシンポジウムが始まるようにはなっていますが、このワーキンググループで検討していくのと同時に、国民側から見たときにどういう利便性があるのかということを知らせつつ、広く国民からも意見を募らなければ、結局ずれるんだろうなと思うんです国民側から見たときに、これが実現するとどんなメリットがあるのかということも、国民側の言葉で整理していただくことが大事ではないかなと感じました。
もう一つは、私は周産期を専門領域にしているんですが、この制度は妊産婦さんも対象になっているのかどうかということに関心があります。いかがでしょうか。
○樋口座長 勿論入っていると思います。
○福井構成員 入っているでよろしいのですね。期待したいと思います。
○樋口座長 ほかの方。佐藤さん、お願いします。
○佐藤構成員 私の方は2点ですけれども、さっき松本さんがおっしゃったことをサポートするというレベルのものがまず1点です。マイナンバーに関しても、こちらの方から問題があれば指摘するというのは、継続していくべきだろうと。
これは、社会保障分野サブワーキンググループの方は、過去、そういう問題提起はしたんですけれども、結論から言うと、結局、親会からは何の回答も得られないという状態で、課題が解決していません。
マイナンバー制度は、制度としていいんですけれども、制度の売りである悉皆性と唯一無二性に関しては、これをITでどう担保するのかということは全く結論がない。だから、「悉皆性と唯一無二性があればいいな制度」と言ってもいいので、ここの部分はこちらが考える話ではなくて、ちゃんとそちらの制度の方でやってくださいと。それがどういうふうに担保されるかによって、こちらのITシステム、あるいは連携の仕方というのも変わるので、そこのところは引き続き、こちらからもちゃんとやってくださいねというのは打ち込んでいくべきだろうと思います。ただ、それはよそ様のことなので。
2つ目は、こちら側がどういうことをするのかというところですが、冒頭、樋口先生がおっしゃったように、利活用というところを基本に考えて、利活用するためにはどういう保護が必要なのかというところに話を持っていかなければいけないわけですけれども、そう考えた場合に、この社会保障とか医療・介護等に関しての利活用の一つは、公平性という言葉が出てくるわけですね。
公平性を担保するために、マイナンバー等を使って実際には不公正がないようにしましょうというところですが、この場合に2つの観点があって、公平性というのは現時点を公平にするという話ですね。
もう一つは、IT化といった場合、私は逆に、もしかするとここで出ているのは民間企業は私だけかもしれないですが、松本さんは違いますね。そういう意味だと、民間においてのIT化のメリットというのは、それはリアルタイム性が高まりますと、速度が早くなるという部分と、もう一つはシミュレーションができるようになるということですね。紙でばらばらにあるようなものは、それをどう組み替えたらどうなるかというのは、これは絶望的にできないんですが、これがコンピュータに入っていることによって、それの計算式を変えるだけで予測結果を出せる。
これは何を意味するかというと、社会保障とか、制度に関して言うと、新しい制度にしたときに、それがどういう期待効果が出るかというのは、本来はこれは全部のデータを集約して計算をし直すことができれば、円単位でシミュレーションができないといけないですね。これを阻害するのが今は名寄せができない。手続上、できない。あとは、実際にITシステムがないという2つですが、これがまずマイナンバー法の方で一旦こまが進んで、一応やってもいいよということになったら、次にITシステムができ上がれば、新しい制度を設けたときにどういうふうな結果が出るのかというのも、シミュレーションができるということも利活用の中に入れないといけないのではないかと思います。
過去の事例としては、医療の負担を減らすために、病院の病床数を減らしました、要は入院患者を減らしましょうというふうにした結果、本来だと、従来入院していなければいけない患者さんを家に帰しましたと。そうしたら、これが介護に変わってしまいましたと。医療費は確かに減ったんだけれども、介護費はもしかしたら増えたかもしれない。ただ、やはり入院していなくていい人が家に帰っただけで、介護費にはなっていないのかもしれないというところがわからないですね。この部分が全部連携ができるとしたら、シミュレーションができるようになります。
そういうふうに、病床数を減らすというような政策をとったときに、結果的にどういうことが起こるのかというようなことを、億の単位ではなくて、1円の単位で、現行の状態で、現行やっている制度を新しい制度にした場合に、今のデータを使ったらどういうふうな収支が出るのかというのはコンピュータを使えば出るはずなんですね。これを使えるようにしないといけない。
このときに、今、個人情報保護法が保護だけではなくて利活用もあると言っているんですけれども、これは法律で言うと、第1条の目的に「利活用」という考え方が出るだけで、ほかの条項に一切出てこないんですね。このときに、利活用に資するものは何かというと、やはり個人情報がどうなったら統計利用ができるのか、どうなったら匿名化という要件を満たすのかということは何も触れられていません。
一方で、第2条で個人情報の定義をしているわけですけれども、定義の中で特定の個人を識別することができると、せっかく書いているのに、括弧をつけて、特定の個人を識別できるようなこととなるようなものを含むと書いているんですね。可能性があれば、全部個人情報だよと言い切ったために、結果的に、世の中の社会通念でいったら、これは統計化されただろうというようなこととか、これは匿名になったよねということが、可能性としては個人情報保護法上すべて個人情報になってしまうというところで、先ほどどなたかの先生から御意見があったように、萎縮が生まれてしまって、これがいわゆる過剰反応と呼ばれている部分の一つの要素になっていると思います。
利活用をするということを掲げるからには、従来の個人情報保護法のように、目的のところには「利活用」について書きましたよというのはやはり不十分で、条項として、利活用に資することに寄与する条項というのは絶対導き出さないといけないので、この点に関しては是非この委員会でもやっていきたい。
実際には、まさに医療の部分でそこの部分は阻害されている部分で、先ほどの樋口先生の例はわかりやすいと思うんですね。50人の患者さんの中に1人消したいという人がいましたと。消してはだめなわけだけれども、統計値として考えたら使ってもいいんだよということが法律上認められていなければ、やはり先ほどのお悩みのように、現状の法律であれば、個人情報の可能性を否定できないので、結果的には個人情報保護法の第2条として、管理策云々ではなくて、もう定義のレベルでこれは個人情報として保護しなければいけなくなってしまうというところに関しても、やはり踏み込んでいく必要があるのではないかなというふうに感じました。
以上です。
○樋口座長 ちょっと時間が詰まってきて、もう1人ぐらいと思っていますけれども、せっかく手を挙げてもらったから、1人なんていうことは言いません。宇賀さんからどうぞ。
○宇賀構成員 私たちが医師の診察を受けるとき、開業医に行ったり、あるいは公立病院に行ったり、あるいは国立大学法人の病院に行ったりしますよね。同じ疾患でも、最初は開業医のところに行ったけれども、公立病院を紹介されて公立病院に行ったりということがあるわけです。
その場合に問題になるのは、日本の個人情報保護法制が、非常に分権的なシステムであることで、これは外国と比べてもそう言えるわけですね。つまり、地方公共団体が保有している個人情報の保護は、それぞれの条例でやりなさいということですから、各都道府県、市区町村、これは今、全部100%個人情報条例を持っていて、自治体ごとに独自につくっていますから、それぞれ微妙に違うわけですよね。
国の方も、これまたセグメント方式で、例えば国立大学法人の病院に行くと、独立行政法人等個人情報保護法が適用されるが、私立大学の病院に行くと、個人情報保護法の適用になっています。
実は個人情報の定義も、今ちょっとお話が出ましたけれども、どういう情報と照合したら個人が識別されるかという部分が、例えば独立行政法人等個人情報保護法と個人情報保護法でも違っているわけですね。
そういうシステムになっているので、同じ人が同じ疾患で医療を受けて、それを保護する法制が違っていますので、どこまで医療に係る個人情報を利用、提供できるかも違ってくることがあります。そういう問題は、どの分野でも共通する面があるんですけれども、特に医療の部分は同じ人が同じ疾患でいろいろなところにかかるということがありますから、特にそういう問題が顕著に出てきているので、そこはやはり個別法で統一していく必要があるのではないかなというのが1点です。
それから、個人情報保護法では、いわゆる裾切りをしていまして、5,000という数ですそ切りをしているわけですね。他方、行政機関個人情報保護法とか、独立行政法人等個人情報とか、個人情報条例では、そのような裾切りはないわけです。ですから、そこでもまた違いが出てきてしまっているんですね。
個人情報保護法で裾切りした部分についてはガイドラインは適用されることになっているわけですけれども、これからもっと医療に係る個人情報の利活用を進めていくというときに、本当にガイドラインで十分なんだろうかという問題もあると思います。
それから、先ほどちょっと出ました、いわゆるのぞき見の問題ですね。いろいろな医療関係者については守秘義務規定があるわけですけれども、これは秘密を漏らすということが構成要件になっているわけですね。ところが、のぞき見して自分の好奇心は満たしたけれども、ほかの人に漏らさなければ、守秘義務規定には違反しないわけですよね。それでいいのかどうかという問題もあります。そういったいろいろな問題が医療の部分で特に顕著に出てくる面がありますので、そこは議論していただきたいなと思います。
以上です。
○大山構成員 時間がないので、簡単に言い訳とお願いをさせていただきたいと思います。
最初に、情報連携基盤のワーキングに今残っているのは、よく見たら私だけなので、私がまずいわけです。ただ、親委員会は情報連携基盤ワーキング一つとは思わないんですが、先ほどの、上の親会にお願いをしたけれどもというのは、私は聞いたことがないので、今、初耳で驚いたという話を申し上げます。
もう一つは、今お聞きさせていただいていて、情報連携基盤というのが今回情報提供ネットワークになっていますけれども、これに関する認識が私とは大分違うので、一度これは事務局にお願いして、ちゃんと説明をしていただく必要があるのではないかなと。そうしないと、議論がおかしくなるような気がするので、この点はお願いです。
最後にもう一つだけ。今回の話は、資料4のところにも書いてあるとおり、個人を識別できる基盤が望まれると。ここにもう意思がはっきり出ているんですよね。(1)の必要性のところに書いてある。ただ、これをやろうとすると、今の法体系、あるいは個人情報保護の話を考えると、それから番号法もそうですけれども、できないので何とかしようということだと私は理解しているんです。であれば、もう少し識別できる基盤というのは何かというのを突っ込むと、1つはマイナンバーを使わないんだからほかの番号というのもあるでしょうし、あるいは個人の情報を連結するような、何か別のやり方もあるでしょうし、その辺のところにはちゃんとフォーカスした方が議論が進むのではないかなと思いました。
以上です。
○樋口座長 後藤さん、どうぞ。
○後藤構成員 三鷹市の後藤でございます。資料4に沿って何点か感想と意見を述べさせていただきます。
まず、論点1のところでございます。今日冒頭、高橋先生の方から、「医療等」の「等」は何かというような御質問、御指摘がございましたけれども、論点1の中の(2)の2「公衆衛生」、あるいは(2)の3の中に「保健指導」というような言葉があります。こういうところは、特に地方自治体がかなりかかわっている部分がございますので、そういう意味でもこれは自治体としてもしっかり考えていかなければいけない課題だというふうに認識をしたところでございます。例えば「保健指導」が医療保険者機能の強化なのかどうかという整理の仕方について、また御検討いただければと思います。
それから、論点3でございます。このあたりを拝見しておりまして、非常に重要なところかなと思いましたが、この整理の仕方の際に、最近ですと、情報セキュリティマネジメントシステム、いわゆるISMSという考え方でさまざまコントロールをしている部分がございます。そういうときには、情報の機密性とか、可用性、可用性は冒頭、金子先生がおっしゃいました、津波でシステムが流されたというようなことも含めて可用性の問題になってまいります。それから、完全性。こういう切り口で少し整理をするのも一つの方法なのかなと思います。
ちなみに、このISMSは国際規格になっておりまして、私ども三鷹市も外部の認証を受けているというようなことでやらせていただいております。
それから、論点5でございます。先ほど、宇賀先生の方からもお話がございました。地方公共団体の個人情報保護条例、これはほぼ全団体が制定をしているんですが、宇賀先生もおっしゃいましたように、自治体によって中身がかなりばらばらでございます。これはネットワークにつながる時代にばらばらでいいのかどうかということは、相当考えなければいけない部分であろうかと。
ちなみに、各団体のほとんどの条例が、現行三鷹市も含めまして、オンライン結合が禁止をされている時代につくられたものでございますので、これはやはり改めていく必要がある。
最後に、全体としてですが、今回の番号制度の議論の中で、「災害時の」という一つのキーワードがあったように記憶をしております。この個別法の議論の中でも、「災害時の」という枕詞がつくようなことについて議論が必要なのかどうかということも御確認をいただきたいと思います。
以上でございます。
○樋口座長 もう電灯も消されつつあるのですが、今日はここまでということでよろしいですか。
○松本構成員 最初に話されるかと思ったのですけれども、この検討会の資料が公開されるのかとか、議事録が作られるのかとか、そのあたりは決まっているんでしょうか。
○樋口座長 どうぞ、お願いします。
○西村情報政策担当参事官 本検討会はすべて公開で行いますし、資料、議事録についても公表させていただきます。議事録につきましては、整理をした後、構成員の皆様に確認していただいた後、ホームページにアップするという形になろうかと思っております。
○樋口座長 ありがとうございました。済みませんが、短く。
○稲垣構成員 資料4の(2)の3の医療保険者機能の強化ということで、3つ挙げておられますが、我々保険者から見たときに、これが保険者機能の強化なのか疑問に感じます。例えば保健指導の効果的な推進ということをあげていますが、長期にわたって番号を使ってフォローするとなると、相当保険者機能も進化した状態かと思います。この件は我々としてももう少し考えてみたいと思います。基本的には4の保険制度の効率的な運営ということと、1の医療機関の連携、特に医療機関のネットワークを通じた情報連携が必要です。例えば、医薬分業の下で、複数の医療機関に行って、かつ複数の薬局に行っているケースも多くあるので、必ずしも分業体制がうまく回っていない部分もありますから、情報の共有化が必要かと考えています。
以上です。
○樋口座長 ありがとうございました。時間も過ぎましたので、今日はここまでにしたいと思います。
今後の日程について、事務局からお願いいたします。
○事務局 今後の日程ですけれども、検討の進め方については既に御説明がありましたが、夏ごろのとりまとめを目指しまして、6月を目途に論点整理、その後、とりまとめに向けた議論ということで考えております。
次回日程につきましては、4月26日木曜日の10時から12時を予定しております。議題については、追って御連絡いたします。
なお、机上配付しておりますファイルにつきましては、次回以降もお配りしたいと思いますので、そのまま置いておいていただければと思います。
以上でございます。
○樋口座長 それでは、長時間にわたってありがとうございました。これで第1回の合同検討会を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
(了)
照会先
政策統括官付情報政策担当参事官室
先崎(内線7702)
鈴木(内線2244)