己【おれ】

主に東京・グルメ・漫画・旅行ネタ。己【おれ】と命名するも乙【おつ】と勘違いされることもよくある残念なブログです。

【孤独のグルメ】まさかのアームロック伝説続編!三鷹の居酒屋「みさと」のあたりめ&お茶漬けetc.

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6月28日発売の週刊SPA!7月5日・12日合併号(扶桑社)に、知る人ぞ知る名作グルメ漫画「孤独のグルメ」の最新作が掲載。実に9ヶ月ぶりの新作ではありますが、例えばアタリメシーンの表情に代表されるように、今回も主人公の井之頭五郎(※以下:ゴローちゃん)さんがね、やってくれました。

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ぎ、ぐぎ、「か…固い」、いい(※放送コードギリギリの表情)

当ブログでは今回の舞台となった東京・三鷹の飲食店「みさと」の魅力を中心とした現地レポートをお届けしたいと思います。

1.帰り道の途中、何気なく見つけたお茶漬けの看板

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「居酒屋」ではなく「お茶漬」の3文字。

新宿や渋谷といったいわゆる歓楽街であれば、お茶漬け専門と謳う店がちらほらあってもおかしくはないのですが、都心から少々外れた三鷹の、それも駅から大分離れた場所にぽつんと建つ一軒のお店と、店先で入ろうか入るまいかたじろぐゴローちゃん(下戸)。

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【不審者】いくらお酒飲めないからってたじろぎ過ぎ。

結局のところ外からでは店内の様子が分からないこと、小津安二郎監督の名作映画「お茶漬けの味」を観ていたことも後押しに、いざ入店を決め込みます。

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女性店主1名による切り盛り。

誌上では小料理屋風の紹介でしたが、実際に足を運んでみると地元民に古くから愛されている居酒屋といった感じ。
これまで聖地巡礼してきたいくつかの掲載店と同様に、今回のみさとに関しても、孤独のグルメで取り上げられていなければまず伺うことのないお店だったであろうと思います。

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ホントに常連のひとり客が定位置にしてるっぽいカウンター席。

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年季入りまくりな打ち放しの床と夏は臨時休業のストーブ。

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まるで街灯を彷彿とさせる間接照明。

外観はもちろんのこと、内装にいたっても相当年季が入ってます。
詳しく聞かなかったのですが、恐らく平成ではなく昭和、ヘタしたら昭和中期から存在しているんじゃないか、店内の随所に戦後の歴史を垣間見た気がします。(言い過ぎか)
漫画で描かれていた凛とした感じとのギャップを埋めるためでしょうか、入って座って注文して落ち着くまでのしばらく、なんだか足を踏み入れちゃいけないような、場違いなところに来ちゃった感、そんなのが正直否めませんでした。

「今回は入りにくい店にしようと思ったんです。でも、入りにくい店は入りにくいので、(モデルにする)店を決めるのが大変でしたね」と語るのは原作の久住昌之氏。熱心なファンの間では、モデルとなった店を訪れ、五郎と同じメニューを食べるのが恒例と化しているが、「今回はお店を見つけるのも難しいし、見つけても入りにくいんじゃないかな」。

なるほど、確かに入りにくかったっす。

2.「ハイじゃなくて」「はい」、ある意味?高度なダジャレ合戦

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飲めないゴローちゃんはハイじゃないウーロン茶を頼むワケですが、飲めちゃうおれはウーロンハイを注文。8オンスタンブラーのグラスにこれでもかと注がれるそれは、どこぞのケチくさい居酒屋では見られない大盤振る舞い。

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ハイの方のウーロン(380円)。

今回頼まなかったから分からないけど、日本酒(400円)の場合もきっと並々と注がれての提供かもしれませんね。お通しのひじき煮の濃い味付けは、しょっぱければアルコールで洗い流せばいいじゃんと物語ってるかのようで、なるほど、ここはやっぱり酒飲み処なんだと独り勝手に思い込むのでした。

入店していきなりお茶漬けというのも変と考えたゴローちゃんはというと…

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どうしてそうなった?

ハムエッグにあたりめと、食事をしたいのかつまみを食いたいのかよく分からない組み合わせを注文しちゃうのでした。

そういえばかつて「赤羽の朝9時から飲める居酒屋」にて、「ごはんがあれば大量のおつまみがおかずとして立ち上がってくる」という、迷言名言とすべきかよく分からない発言をぶちかました経験もありますから、締めにお茶漬け=ごはんを食えばあたりめだっておかずさ的な間違った解釈なのかもしれませんね。

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案の定落ち着かないようです。

他人が作れば大体人んちっぽい味ですし、美味しんぼの山岡さんあたりが聞いたら発狂しそうな、グルメ漫画の主人公にあるまじき感想を述べるゴローちゃんではありますが、孤独のグルメはグルメであってグルメじゃない、そういった感覚を持ち合わせている読者であれば納得の一言と言えるでしょう。

…むしろ納得といいますか、主食がなくて落ち着かない様子のゴローちゃんに対して、呆れるを通り越して母性を感じずにはいられない、なるほど、本作品に意外と女性ファンが多いのも頷けちゃう1コマとも言い換えられますね。無理やりそう解釈するおれはきっと、病気です。

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そしてこの表情である。

先ほど紹介した原作者インタビューでも言及されているように、ここのあたりめ(600円)、ホントに固いんだ。

↑のようなアヘ顔こそ決め込みはしませんでしたが、もうコンビニで売ってるので固いと言ってたら全然ダメ、あれはコンビニなだけに固さもきっとコンビニエンス(便利)、老若男女が美味しくいただける噛み心地に仕上げられてるって錯覚してしまうくらいね、ホントに固かった。子供がこれ食って育とうものなら、8020運動も不要な明るい未来が訪れるかもしれません。

裂くときは、縦に裂くとポキッポキッと簡単に折れて食べやすくなる。これはイカの筋繊維が横方向に走っている為で、横に裂けば裂きやすいが、繊維が長手方向につながってしまうためよく噛まねば飲み込めず、縦には裂きにくいが裂けば繊維が寸断されるため、あまり噛まずとも飲み込みやすくなるというわけである。そのため、歯が弱い人でも安心して食べられる。
スルメ - Wikipedia

天下のウィキペディアには正しい食べ方が載ってるので参考にしよう、約束だぜ★(何のだよ)

3.嵐は突然訪れる

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ゴローちゃんの表情にご注目ください。

独りアヘアヘフェイスを決め込む店内に、突然の来客が。
飲みの席でも上下関係を強要する、いわゆるイヤな上司含む3名に対して、最初こそテーブル席を譲ろうと紳士的な振る舞いを見せるゴローちゃんではあったものの、カウンター席に陣取ってはもう飲めないをアピールする部下をよそに、勝手に酒を注文しまくる部長さん。

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とっとと帰ろうとお茶漬けを頼もうものなら、

すかさず日本酒2合で対抗する部長さん。
部下のシンドウくんは、ただただ彼の駒に成り下がるのでした。

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再びゴローちゃんの表情にご注目ください。

どっちが子供か分からない、傍若無人とはまさにこのことでしょうか、しみじみと大量のあたりめを注文しちゃったことを後悔するロンリーナイトを過ごしていた彼ですが、面白いくらいにみるみると顔色が変わって行きます。

普通ならそんな客はスルーするかとっとと帰ろうとするのでしょうが、正義感の強い漢(おとこ)、略して正義漢のゴローちゃんにとっては非常に耐え難いものだったのでしょう、

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件の部長とまさかの口論に発展します。

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それでも構わず飲ませようとする彼に「やめなさいよ」と、ガツン。

4.口論から喧嘩にエスカレート

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間もなく出来上がる梅茶漬けを食べずして去ろうとするゴローちゃん。

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まるで禅問答のような会計タイムをこなしつつ、

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そしてこの表情である。(パート2)

あたりめ食べてたさっきまでのイキ顔とは打って変わり、まるで悟りを開いた賢者ならではの面持ちで相手を諭すゴローさん。イキ顔の果ての賢者タイムだとすれば、まさに男性の真理を的確に表現している1コマと言っても過言ではないでしょう。
当然のことながら、ここまで言われて黙ってられるワケがない、少なくともこの部長はまずそうじゃない、ということで、

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まさかの場外戦の幕開けです。

店を出てからもなお語気を弱めないゴローちゃんの胸ぐらにつかみかかる部長に対して、

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出たー。

伝家の宝刀・アームロックからの…

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投げるゴローに

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浮くヤロー。

投げ技を敢行しちゃうゴローちゃん。

さすが輸入雑貨屋の社長であり独身貴族であり古武術マスターと、ユーキャンもびっくりの経歴を誇る井之頭さんだけに、向かってくる相手への身のこなし、護身術は完璧と言えましょう。

ここだけ見ると、実は彼って喧嘩っ早いと思いがちですが、ポイントはあくまで自分から襲いかかるのではなく、ただただ対策を打っただけの正当防衛であるということ。それもスマートにやってのけるものだから、相手との力量は一目瞭然、あっという間の決着なのでした。

5.…そんな一悶着があった場所なんだよねと思い返しながらおれは

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身の詰まったししゃも(350円)を食べつつ、

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キュウリとの組み合わせが面白いサラミ(450円)をつまんでは、

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これまた人んちっぽい味がする野菜炒め(450円)を頬張りつつ、

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まさしく表面張力なレモンサワー(380円)をグビグビ飲んでは、

ただただ、締めのお茶漬けを待つのでした♪
冒頭で散々入りづらいとわめき散らしたものの、食べては飲んではを繰り返すうちにそんな先入観はどこへやら、すっかりくつろいでしまった自分を自分でほめたいところです。

一応フォローしておくと、確かに入りづらい、いかにも常連だらけの雰囲気ではあるものの、気さくな感じの女将さんが接客してくれるので、一見さんでもきっと大丈夫、そう信じて暖簾をくぐってみてください。

6.そしてこちらが、ウワサのお茶漬けです

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でっかい梅をほぐしたと思われる梅茶漬けと鮭茶漬け(各450円)。

新作を読んだだけではどんなお茶漬けか想像のつかなかったお茶漬けさんとのご対面。前方がゴローちゃんが食べずじまいの梅茶漬けで、後方がなんとなく頼んでみた鮭茶漬け。

読者の皆さんからすれば前者に興味津々なんでしょうが、いやはやどうして後者の鮭茶漬けも中々捨てがたいです。

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鮭フレークじゃないよ、切り身だよ。

おれ自身別にグルメじゃないし、料理のいろはが分かるワケじゃないけれど、なんとなくお茶漬けを看板商品にしているのが分かる気がする、締めの食事にもってこいの優しい味わい。

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優しさ、それは愛。

愛はすべてを包み浄化してくれる、ほら、あの固いあたりめもその大海に沈めようものならその身は柔らかく、まあ柔らかくはなりましたけど、その分お茶漬けの出汁はマヨネーズで濁ってしまったので浄化どころじゃないよね。(結局何が言いたい?)

あと、お茶漬けを頼むともれなくお新香と緑茶がついてくるので、「うーん…お茶漬けと緑茶でお茶がダブってしまった」と、しらじらしいドヤ顔を決め込むのもまた、ファンにとっては一興かもしれません。

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かわいいのはお茶漬け食べられず自炊しちゃってる君だよ、ゴローちゃん。

ちなみにゴローちゃんはといえば、店でありつけなかったお茶漬けに対する無念を晴らすかのように、家でイカの塩辛茶漬けを独りすすり込むのでした。

おまけにこんなセリフを見せつけようものならきっと、女性読者のハートをノックアウト、孤独のグルメが孤独のグル女(め)と呼ばれるようになる日もそう遠くはないかもしれませんね。

7.最後にオマケ

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ゴローちゃんの座ったであろうテーブル席は、

ご覧のように扇風機がどでんと構えた節電仕様となっていますので、どうしてもこの席に座りたいこどグルマニアの皆さんは、どうか夏を避けての来店をオススメします。

それか、店先とはいえ一騒動を繰り広げたゴローちゃんは出禁になったのだと、そう深読みするのもアリとも言えるので、とにもかくにも機会があればぜひ足を運んでみてくださいね。

8.店舗情報

店名 みさと
住所 東京都三鷹市下連雀2-6-23(地図)
電話番号 0422-44-1052
営業時間 17:30~翌1:00
定休日 月曜日
最寄駅 三鷹駅

9.出典(作品情報)