Inc.:ビジネスライティングには、誰もが苦労しています。各企業は、伝えたいことを明確に書くための社員教育に毎年数十億ドルを費やしているそうですし、社内用語や専門用語を多用した、ひどくわかりにくい社内文書や、報告書、Eメールに泣かされ、愚痴をこぼした経験は、誰にでもあるでしょう。

ところが、他人の文章が下手だということには気づきやすいのに、自分の文章に改善の余地があることには、なかなか気づけないことが多いものです。運転やIQ に対する意識と同じで、圧倒的大多数の人が、自分の文章力が並み以上だと思っているのです。大多数の人が平均以上などということは、統計的にありえないのですが。

これは、私が勝手に言っているわけではありません。最近のあるアンケート調査で、人々に自分の文章力を1から10の尺度で評価させたところ、大多数の人が7に近い評価を自分に与えたのです。そして、他人の文章の評価は、それよりはるかに低い5、4でした。自分の文章に過剰な自信をもっている人が多いことがわかります。

実際に自分が思っているくらい上手な文章を書くには

ではこの現実にどう対処したらよいのでしょう? このまま自分の文章の欠点に気づかないのが幸せなのでしょうが、仕事で出世するには書く技術が必須だと、多くの一流ビジネスリーダーたちが、主張しています。現実を認識し、自分の文章の間違いや文体の悪癖と向き合うことは、決して楽しいことではありません。でも必要なことです。

その方法を、新刊書『Writing Without Bullshit: Boost Your Career by Saying What You Mean(ごちゃごちゃ言わないライティング:的確な文章を書いて出世する)』の著者Josh Bernoff氏が、Harvard Business Reviewのブログで紹介されていました。彼の、シンプルで実行しやすい4つの提言を以下に引用します。

1.簡潔に書く努力を怠らない。メールにせよ報告書にせよ、自分の書いた文書が長すぎて、要点にたどり着くまでが長くないか自問すること。仮に1文か2文――あるいは8文削除したら、読み手はそれが欠けていることに気づくだろうか? と問いかけてみてください。

2.自分の悪い癖を特定する。言いたいことを伝わりにくくする、社内用語や専門用語、受動態(「なんらかの策が講じられなければならない!」など)、不正確な言葉づかいを、悪しき習慣として認識するようにする。

3.ライティング仲間とペアを組む。あなたは文章が長すぎる一方、あなたの同僚は、考えを整理するのが苦手――というように、人の欠点は互いに異なる場合が多い。そして編集者や同僚に文章を見てもらうと、自分では気づかない問題を指摘してもらえる。したがって、欠点のある書き手同士で添削し合うことで、互いを高めることができる。

4.ライティングのプロセスにシステム化したチェック機構を設ける。複数の矛盾するフィードバックを一度に受けてしまうと、上手な書き手でも調子が狂う。複数の人にチェックしてもらう場合は、十分な時間をとって、段取りに注意すると、問題を修正し、調和した文章を書くことができる。

もちろん、文章上達のコツを教えているのはBernoff氏だけではありません。しばらく寝かせてから(紙に印刷して)読み返す、有名作家の文章テクニックを真似るなど、非常に多くのアドバイスが存在します。 また、よくある文法や用法の間違いに気をつけるだけでも改善になるでしょう。

4 Ways to Instantly Improve Your Writing

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Jessica Stillman(訳:和田美樹)

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