Inc.:ビジネスの世界には4種類の話し手がいます。
- 支離滅裂タイプ:話があちこちに飛び、業界用語や専門用語を多用し、主に自分が興味のあることを話す。
- 理路整然タイプ:事実や意見を言葉で伝えることができるが、印象的なことはほとんど言わない。
- はきはきタイプ:簡潔かつはっきりと話すが、言葉に説得力がほとんどない。
- 説得力タイプ:言葉やボディランゲージを使って聞き手の心をわしづかみにする。
説得力タイプの人は、実際の知性に関わらず賢そうに見えます。逆もまた真なりで、賢いのに支離滅裂な話し方をする人は、限られたことしか知らないように見られます。(エンジニアにそういう人を何人か知っています)
うれしいことに、説得力というのは、学び、練習し、習得することのできるスキルです。今回は、簡単にできる、説得力のある話し方をお教えしましょう。
1. 背筋を伸ばしつつリラックスする
ボディランゲージは、言葉以上に説得力をもつ場合があります。たとえば、背筋を伸ばすのはボディランゲージの基本であり、説得力の土台になります。
猫背でうつむきがちだと、自分自身や自分の言葉に自信がないように伝わります。逆に、背筋をあまりにも伸ばしすぎると、緊張しているように見えます。精神的にも肉体的にも、背筋を伸ばしつつリラックスした状態であれば、言葉も簡単によどみなく出てきます。
2. 顔を上げる
頭の位置はあらゆる心情を反映しており、背筋と同じくらい重要です。たとえば、顔をしっかりと上げると堂々としているように見えます。一方、うつむきがちだと疲れ果てているように見えます。
顔を上げるのは説得力を上げるためにも必要なことですが、生理学的にも大事なことです。首が緊張していると(うつむいていると首が緊張するのは避けられません)、言葉にも詰まりがちで、ハキハキと話せません。
3. 聞き手に意識を向ける
説得力は、相手があなたの話を聞いている場合には意味があります。あなたがほかのことを考えていたり、話しながら目が泳いでいたりしたら、相手は話を聞きません。注目されていないのに熱く語っても、それはただ演説をしているだけです。
良くない例を少し紹介すると、まず、横をチラリと見るのはやめましょう。不誠実だと思われます。それから、ノートをチェックする必要がある場合は、顔を下げずに目だけで下を見るようにしましょう。
4. しっかりと聞こえるように大きな声で
説得力を最大限にするには、1番遠くにいる人にも聞こえるような、かつ最前列の人にうるさくて耳障りだと思われないような、大きな声で話すことです。
自分の声の大きさがどのくらいかわからない場合は、1番後ろの人に自分の声がはっきりと聞こえるか確認しましょう。その人が「聞こえます」と言った場合は、「これはどうですか?」と少し声を小さくして調節します。「聞こえません」と言われた場合は、もう少し声を大きくします。
ただし、声を大きくしても、叫ぶような話し方はやめましょう。叫ぶと、説得力があるというより頭がおかしな人だと思われます。叫ばないと声が届かないような状況の場合は、マイクを使って話すか、聴衆にもう少し近寄ってもらうよう頼みましょう。
5. 強調したい言葉はジェスチャーと共に
大事なポイントを強調するには手を使いましょう。有名人やTEDのスピーカーが、話しながらどのように手を使うかを見ていれば簡単に学べます。
積極的にジェスチャーを使っていないときは、手は動かさないようにします。眼鏡をいじったり、紙や資料をカサカサと音を立てたり、体をかいたり触ったりしていると、聞き手の気が散って話の内容が頭に入らなくなり、説得力もなくなります。
6. 体の位置を戦略的に使う
体を適切に動かすことで、言葉に説得力をもたせられます。たとえば、ステージ上から団体に向けて話している場合、新しいアイデアを紹介するときは、合図として、いままで立っていた場所から別の場所へと移動します。
また、会議などでテーブルに座っている場合は、強調したいポイントで体を少し前のめりにします。現在の話題や考え方から別の話に移るときは、座る位置や体の向きを変えましょう。
7. 誰もがわかるイキイキとした言葉で
決まり文句(特にビジネスや業界用語)は説得力がありません。予想外だけれど、一般的な言葉や言い回しを使うと、大事なポイントを説明するときに記憶に残りやすいです。たとえば「月並みな」ではなく「夏の蚊のようにありふれた」などと言います。
また、聞き手が理解できないかもしれない言葉は避けましょう。小難しい言葉や業界用語を使うと、鼻持ちならないと思われるだけで賢くは見えません。難しい言葉を使わなければならないときは、必ず簡単な言葉で説明を付け加えます。
8. 話すスピードを変える
同じスピードで話していると、どんな話をしていても、一本調子な感じでダラダラとしてしまいます。伝えたい大事なことを話すときには緩急をつけましょう。
簡単に概要や背景を説明するような場合は、新しい情報について話すときよりも速く話します。大事な考え方やコンセプトを説明するときは、聞き手がきちんと理解できるようにゆっくりと話しましょう。
9. 強調するときはタメをつくる
「沈黙は金」と言いますが、それは説得力を増す最高の演出でもあります。たとえば、大事なことを言おうとする前に、少しだけ間をおくと、聞き手はどうなるのかと気になり、あなたの言葉を聞き漏らすまいとします。
同じように、大事なことを言ったあとに少し間をおくと、重要性が強調され、聞き手に話を印象づける時間を与えられます。マーチン・ルーサー・キング Jr.の「私には夢がある(I have a dream)」のスピーチは、説得力のある間の取り方について、完璧なお手本です。
9 Speaking Habits That Make You Sound Smarter|Inc.
Geoffrey James(訳:的野裕子)
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