PickTheBrain:あなたがイライラする相手とコミュニケーションするときは、あなたの返答次第で、相手との関係が良くも悪くもなります。火に油を注ぐようなことを避けるには、どのように返答するのかを考える前に、まず一歩引いて状況を振り返ってみましょう。

今回は、あなたをイライラさせてくる相手とするコミュニケーションの大切な心得と、相手を落ち着かせる効果的な6つの実践的なステップを紹介します。

相手に怒る前にコミュニケーションとは何かを理解する

コミュニケーションをする際、人は言葉よりも多くのものを感じ取ります。言葉以外には相手のエネルギー、身振り手振り、表情、声のトーンといったボディーランゲージがそれに当たります。あなたの中に激しい怒りやフラストレーション、動揺などがある状態でコミュニケーションをする場合、そのエネルギーが相手に伝わり、心を閉ざしたり、自己防衛的にしてしまうことがあります。このような場合、相手はあなたの発している言葉を聞き流してしまいます。

また、苛立ちを出すことなく、イライラする相手と私たちはコミュニケーションできます。感情をあらわにせずに、言葉で説明するのです。穏やかで心に余裕があれば、自分が本当に言いたいことを伝えるために、より明晰に自分をコントロールすることができます。

次に、自分のことを怒らせた相手に仕返しのような言葉を口走るのは、最初は気分が良いかもしれませんが、気分が良いのはその一瞬だけです。ネガティブなエネルギーは尾を引き、相手に怒りをぶちまけた後も長い間、後味の悪い感情が残ります。あなたに対して相手がどんなことをしたのかわかってもらうには、言葉だけでは足りないと感じることが私たちにはたまにあるものです。また、自分の伝えたいことの重要性が増す強い感情を、相手にも伝えたいとあなたは思うかもしれません。相手のエゴのせいで、自分がどれだけ傷ついたかを理解してもらうために、相手を傷つけなければならないとか、相手の行動や発言が引き起こしたことを理解させるために怒りを見せつけなければならない、というような考えに陥ることがあります。しかし、ネガティブなエネルギーによって、何かに重要性や価値が付加されることはありません。あなたの発した強い言葉をゆがめ、相手からさらにネガティブなエネルギーを引き出すだけです

冷静になり効果的な返答をする6つの実践ステップ

効果的なコミュニケーションに関する上記のポイントを読み、じっくりと考えたところで、何を言うべきか、なぜそれを言うべきかが明確になってくるでしょう。

  1. 実際に起こったことを正確に書き出します。つらい事実に目を向け、何が起こったのか、何を相手に言われたのかを書き起こします。
  2. その事実を自分がどう解釈したのかを書き出します。すると、思い込み、誇張、頭の中ででっち上げたつくり話など、事実に自分がどのような意味を追加しているのかに気付くでしょう。
  3. 目を閉じて、相手の行動や言葉に対して、本当はどのように感じているかを自問自答します。怒りやフラストレーションは大抵、心の奥底にあるものを隠している表面的な感情です。「自分を一番悩ませている元々の感情は何だろう?」と自分に問いかけます。自分を理解してもらえない、大事にしてもらえない、寂しい、孤独だ、悲しいなどではありませんか?
  4. そのときの相手の気持ちになって考えてみます。「相手の心の奥にある、自分を怒らせるような行動や発言をさせた理由は何だろう?」と自分に問いかけます。相手の態度を正当化するのではなく、理解しようとしましょう。理解すると共感する余裕が生まれます。共感できるということは、自分にも同じような人間的な部分があるということなので、相手の人間らしさを認めていることになります
  5. あなたをイライラさせる相手とコミュニケーションしなければならない理由を正確に考えます。そのコミュニケーションは何が大切で、どんな結果を求められていますか? 自分の意識を研ぎ澄ませ、本当に求められる結果に焦点を合わせます。物事が前進するためにあなたはコミュニケーションしますか? それとも、相手の悪事や間違った指摘を正し、仕返しをするためにコミュニケーションしますか? もしあなたが後者であれば、苦しんでいる相手のエゴの上に傷ついたあなたのエゴが積み重なり、さらに重苦しい状況になるだけです。誰にとっても健全な結果になることを選べば、あなたのエネルギーや身振り手振り、表情、声のトーン、そして言葉にもそれが表れ、もっと良い結果につながるでしょう。結局、ほとんどの人が求めているのは、誰かを傷つけることではなく、誰かの心を穏やかにすることです。心の平安は、人を傷つけることでは決して訪れず、自分が本当に求めている結果に集中し、意識的な選択ができたときに訪れます
  6. 自分にとって大事なことを1つか2つ選び、相手に伝えましょう。言いたいことはたくさんあるかもしれませんが、本当に大事なことは大体1つか2つです。強い感情が生まれると、頭が真っ白になり、会話で何を言いたかったのか見失うことがよくあります。大切なことを明らかにして書き留めておけば、道を見失うことはないでしょう。


イライラするような人と、ぜひ建設的なコミュニケーションをしましょう。

6 Steps for Communicating Calmly When Someone Upsets You|PickTheBrain

Bernadette Logue(訳:的野裕子)

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